RIAAカーブとは何か。 1954年に策定されたアナログレコードの標準イコライゼーション特性(RIAA特性)で、3つの時定数(3,180μs / 318μs / 75μs)で定義されます。策定の経緯と現在の位置づけを整理します。

最終更新: 2026年4月17日 読了時間の目安: 約4分

RIAA カーブとは?

このページで答える問い: RIAA カーブとは何か。いつ、なぜ作られたのか。



一言で答えると

RIAA カーブは、アナログレコードの録音・再生に使われる標準イコライゼーション特性です。 1954年に米国レコード産業協会(RIAA: Recording Industry Association of America)が策定しました。 現在製造されているレコードは、事実上すべてこのカーブで録音されています。

フォノイコライゼーション自体については → フォノイコライゼーションとは?


3つの時定数

RIAA カーブは、3つの時定数(time constants)で定義されています。 時定数とは、フィルタ回路の特性を記述するための値で、周波数に換算できます。

時定数 対応する周波数 役割
3,180μs 50.05Hz ベースシェルフ — 重低域を強調して記録し、再生時に抑制することで、ランブルノイズや盤の反りの影響を低減する
318μs 500.5Hz ターンオーバー — この周波数を境に、低音域の振幅を抑制する
75μs 2,122Hz 高域プリエンファシス — 高音域になるほど強調して記録し、再生時に戻すことでノイズを低減する

再生時には、この逆特性(録音で抑えた低音を増幅し、強調した高音を減衰させる)を適用します。 この逆特性を正しく適用する機器が「フォノイコライザ」です。

Admittance of a parallel RL network (τ: 3,180μs, fc: 50Hz), plotted using PySpice and Matplotlib
時定数3,180μs、ターンオーバー周波数 50Hz の並列RL回路のアドミタンス
Admittance of a series RC network (τ: 318μs, fc: 500Hz), plotted using PySpice and Matplotlib
時定数318μs、ターンオーバー周波数 500Hz の直列RC回路のアドミタンス
Admittance of a parallel RC network (τ: 75μs, fc: 2,122Hz), plotted using PySpice and Matplotlib
時定数75μs、ターンオーバー周波数 2,122Hz の並列RC回路のアドミタンス

いつ、誰が決めたか

1953年初頭から、RIAA の技術委員会(Recording and Reproducing Standards Committee)で、 米国5大レーベル(Columbia、RCA Victor、Decca、Capitol、Mercury)のチーフエンジニアが 約1年をかけて調査・議論を行いました。

1954年1月29日、RIAA 標準録音再生特性が正式に承認されました。ただし、標準文書として業界に流通したのは同年6月です。

ほぼ同時期に、放送局の団体 NARTB(1953年6月)と学会 AES(1953年12月暫定承認、1954年6月最終承認)も 同一の時定数を採用しており、結果として3つの団体が同じ結論に至っています。

→ なぜ統一規格が必要だったか、どう実現したか


現在のレコードはすべて RIAA?

1958年にステレオLPが登場した際、カッティング機材はRIAAを前提に設計されていました。 これ以降、米国の主要レーベルのステレオLPはRIAAカーブで録音されています。

ただし、RIAA 策定以前(1954年以前)のレコードや、 1954〜1958年の移行期のモノーラル盤には、異なるカーブで録音されたものが存在します。

→ プレRIAA期のレコードをどう再生すればよいか?

→ 米国ステレオLPはすべてRIAAカーブか?


← FAQ トップに戻る

変更履歴

  • 2026年4月17日: 概要文の軽微な修正
  • 2026年4月14日: 図版を追加
  • 2026年4月12日: RIAA 標準文書の流通時期(1954年6月)を補足
  • 2026年4月8日: 初版公開

MATSUBAYASHI 'Shaolin' Kohji <shaolin@rhythmaning.org>