レコードコレクター と一口にいっても,いろいろな区分があるようで:
- オリジナル盤至上主義コレクター:とにかく初版のみが最高であとはダメダメという信念の下,初版を探しまくる人種.骨董収集家に近い.音質至上主義コレクターとクロス.
- 音質至上主義コレクター:最も素晴らしいレコード演奏が可能な盤を探すべく次々買い求めて比較試聴し続ける人種.オーディオマニアに多い.オリジナル盤至上主義コレクターとクロス.
- レアリティーズコレクター:とにかく「珍しい」「貴重」「殆ど知られていない」というものをかき集める人種.なんでも楽しめる広い度量が必要とされる.
- 音源重視コレクター:レコードや CD そのものはどうでもよくて,その演奏が収録されているならよしとする人種.ただし別テイク,別ミックス,別演奏には非常に敏感.音楽マニア,ディスコグラファーに多い.
- その他いろいろ
私はそのどれにも当てはまらないと信じていますが(笑)ともあれ昨日土曜日には摩訶不思議な集いがうちの家で行われました.お馴染み 紙ジャケ探険隊 のサイトを運営されている皆さん.
なんでもコレクター,ピーターハミルの日本有数のコレクター,プログレコレクター.今回お会いした 3人をひとことでいうとこんな感じになりますが,ともあれ年期の入り具合が尋常ではなく,蒐集対象といい現在のコレクションといい常人では及びもつかないレベルに達しておられる方ばかりでした.
私のサイトを見てコンタクトをとって下さったこともあり,EmArcy の盤を中心に Jazz 全般についてあれやこれやと (第三者にとってはきっとどうでもいいような下らない話に聴こえる) 議論したり,試聴したりしておりました.
自分が文字通り「コレクター」 (蒐集する事そのものが目的化してしまう人種) になってしまう事への恐れもあってそういう集まりに首を突っ込んでこなかったのかもしれませんが,ここ暫くは音楽談義といえば,音楽の趣味が微妙に (あるいは大幅に) 異なる数名で集まって,わいわいやりながら聴く,というのが多かったですし,その方が新しい発見や刺激,自分の対象ジャンルの拡大に非常に役に立ったと思います.けれどもたまにはこういう「モノ」にフォーカスをあてたコレクター的な情報交換もいいかなとは思いました.確かに非常に楽しかったです.
皆さん,垂涎もののオリジナル盤をざくざくと持参下さいまして,マトリックス番号が少し違うだけでどの位再生音質が違うか,みたいな端からみるとこの上なく下らないと思われるであろう試聴をわいわい言いながら繰り返したりしていたわけですが,確かに違うものは違いました.大したもんです.また貴重な資料として拝見させて頂け光栄でした.それに皆さん,変に凝り固まった偏執狂的原理主義者の様なコレクター ではなく,とても気さくでいい方ばかりでした.洒落は洒落として,伊達は伊達として分かったうえで馬鹿騒ぎして楽しんでいるのは素晴らしい.
幸いなことに,10年前の私だったら抑えきれない程の物欲が襲ってきたのでしょうが,今回はそうでもありませんでした.自己所有欲をコントロール出来るようになったのか,大人になったのか,興味の中心が昔に比べると徐々にずれてきたせいなのか.それはさておき,目玉が飛び出る程高価なブツを自分自身で所有せずとも,こうやって聴かせてもらえたり,レーベルやスタンパーの情報を教えて頂ける訳ですし,私的にはそれで充分満足できるのかもしれません.
無尽蔵に予算がある訳ではありませんから,その配分の具合が最も重要です.自分にとって新しい音楽ジャンルを幅広く開拓する,レコード博物学(?)的に興味のある対象を捕獲して調査する,愛して止まないアーティストのオリジナル盤を購入する,その他. 結局は自分の価値観に基づいてバランスをとるしかないんですが.それすら本能的な欲求との果てしない戦いでもあったり.
ああなんというマスターベーション的な趣味であり,なんという馬鹿馬鹿しい趣味でありましょう.