父上ノ意志ヲ受継ギテ

[MG-21060]

先日,Gary Campbell さんという方からメールを頂きました.なんと,あの Dick Campbell さんの息子さん.

私が最初に Dick Campbell さんの名前を知ったのは,2年前に CD 化された Gary Usher さんの未発表マテリアル「Beyond The Shadow Of Doubt」においてでした.Dick Cambell さんは,このアルバムの共作者であり,またこの CD 化にあたりマテリアルの提供と実質的な編集作業を行った方です.

その Dick Campbell さんがリーダーアルバムを Mercury レーベルに残してはった,という事実を知ったのは寡聞にもつい最近のことでした.しかもそれが数ある Folk Rock 期 Dylan クローンの中で圧倒的な評価を得ている,と.





そのアルバムをやっと入手する事が出来たのですが,確かにこれは The Mouse And The Traps のしょぼいガレージ風の曲なんかよりずっと出来が良く,Dylan を隅々まで研究した跡が伺えます.鬼気迫る迫力には欠けますが,1960年代中期としては極上のアルバムと言えるでしょう. B-1 "Approximately Four Minutes Of Feeling Sorry For D.C." などはモロ Like A Rolling Stone 風です (しかし単なるパクリを越えてオマージュの域まで達しています).なんといってもバックが Butterfield Blues Band の面々です.それだけで価値はぐっとあがります.

で,Gary さんにいろいろ教えてもらったのですが,Dylan が Folk Rock に転向して "Like A Rolling Stone" を大ヒットさせた頃,Mercury が「誰か Dylan 風の曲を書いて歌える奴はいないか」ということで Dick Campbell さんに白羽の矢がたったんだそうです.さすが大レーベル,この辺の動機はかなりいい加減です.Lesley Gore の時もおんなじ感じだったのでしょう.嗚呼売らん哉,てなところでしょうか.

この辺りのソフトロック,フォークロック,カントリーロックが続々リイシューされている日本のことです.もしこのアルバムが CD 化されればかなりの人気を博し,売れるに違いありません.そう思って Gary さんに CD 化の予定を聞いてみたところ,「マスターテープはまだ Mercury にある.私もマスターテープのコピーを所有していて手元に CD 化したものがあるがそれはそれは素晴らしい音がする.現在 Mercury に CD 化の交渉をしているところだ」とのことです.

特にここ数年様々な活動をされていた Dick Campbell さんは,残念な事に昨年逝去されました.息子の Gary さんは,その知られざる幻のシンガーをより多くの人に知ってもらいたいと,サイトを設けておられます.

是非 CD 化されて欲しいものです.

追記 (2004/03/03):

Dick Campbell さんの Mercury レーベル における全録音のディスコグラフィーを まとめて みました (とはいっても LP 1枚,シングル 1枚しかないんですが).





Pages

Powered by Movable Type 4.23-en

About this Entry

This page contains a single entry by Shaolin published on May 16, 2003 12:34 AM.

至福ノ車社會 was the previous entry in this blog.

Blue Note 日本盤 LP is the next entry in this blog.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.