Wimbledon 2007 Men's Singles Final Review

去年の決勝 からもう 1年がたちました。早いものです。

そして今年の男子決勝は、予想を裏切らない、いや、予想を裏切る程の歴史的名勝負になりました。

ビヨン・ボルグ (Bjorn Borg) 以来の大会5連覇か。 はたまた、同じくボルグ以来の全仏全英の同一年優勝か。

もはやそういうレベルを越えた、二人にしかなしえない世界がそこにはありました。

ずっと BShi で観戦していたので、今日は寝不足気味です . . .








R. Federer def. R. Nadal 7-6(7), 4-6, 7-6(3), 2-6, 6-2

4時間近くもかかった、なんというハイレベルな試合。完全に二人だけが抜きん出た、なんというライバル関係。ウィンブルドン男子シングルス決勝で久しく見られなかった (前回は 2001年のイワニセビッチ対ラフター?)、なんという緊迫した内容。雨に泣かされた今年の大会ではありましたが、大会13日目にセンターコートで生でこの試合を目撃できた人達は本当に幸せだったと思います。

しかし、世界ランキング 2位に長く居座ってもなお日々進境著しい ラファエル・ナダル (Rafael Nadal) をもってしても、ロジャー・フェデラー (Roger Federer) を、今年も天然芝で破ることが出来なかった。

しかし今年は本当に、文字通り 紙一重の差 でした。去年のナダルは、決勝まで行けたのはある意味ラッキーという感じで、完全に挑戦者として向かっていって、そして 4セットで負けた。それでもナダル本人は充分に満足しているようにみえました。しかし今年は充分にチャンスがあると信じてセンターコート入りしたはずですし、その自信に裏打ちされたかのように、素晴らしい内容のテニスでした。フェデラーのきわどいアングルショットにも自慢のフットワークで見事に切り替えし、去年はかなり苦労していたフェデラーのスライスショットに対しても、逆に強烈なトップスピンでストロークエースを奪うことすら出来ていました。

試合は第3セット終了まで完全にがっぷり四つの状態。フェデラーからみて 7-6, 4-6, 7-6 というスコア。これでフェデラー残るは 1セットとなったところで、やや集中力が途切れたのか、少しミスが目立ち初め、ナダルの反撃が始まりました。ラインジャッジの判定 (やホークアイ判定に対する主審の対応) にいらだちを見せはじめたフェデラー。そして第4セットはナダルがやすやすととり、7-6, 4-6, 7-6, 6-2。ファイナルセットへ。

意外と試合中に波が上下するフェデラーに対して、常にプレイのレベルと集中力が一定しているナダルは素晴らしい。しかも、もはや芝だのクレーだのといった違いを感じさせない対応力が、明らかに去年との違いとなってプレイに表れていました。

そしてファイナルセット。1-1 で迎えた第3ゲーム、フェデラーのサービスゲームでナダルが 15-40 とする大チャンス。しかしビッグサーブの連発で辛くもキープ。更に第5ゲームでもナダルが 15-40 とするも、またしても薄氷のキープ。タイブレークのないファイナルセットはどこまでも続くかと思われました。

しかし運命の第6ゲーム、息詰まるラリーののち、フォアハンドダウンザラインに素晴らしいウィナーを決めてブレークした瞬間、仁王立ちで吠えるフェデラー。これで 4-2、試合がほぼ決まってしまったようでした。第7ゲームも余裕でサービスキープして 5-2、しかしナダルは最後まであきらめず持てる全ての力を注いで対抗。最後までどうなるか分からない緊迫した展開が続きました。

しかし最後はフェデラーがストロークで押し切って第8ゲームをブレーク、3時間45分の歴史に残る名勝負に終止符が打たれました。




Two Great Rivalries

意外と一方的な試合結果に終わることの多かった最近の四大大会決勝で、ここまで実力が伯仲した二人が終始緊迫した内容の濃い試合を見せてくれたのは、本当に久しぶりのことでした。私が応援していたラファが全仏全英連覇できなかったのは本当に残念でしたが、近年稀にみる試合をたっぷり見せてくれたことに対して、両選手に対して感謝感激。まだまだこの二人は世界ランキング1位と2位に君臨し続けるでしょうから、あと数年間は素晴らしいライバル関係の元、いくつもの歴史に名を残す名勝負を生み出してくれることでしょう。

以下、両者の過去の対戦成績とその結果。現在ナダルの8勝5敗となっています。

  • 2004年 ATPマスターズシリーズマイアミ 2回戦 ハードコート
    ナダル 6-3 6-3
  • 2005年 ATPマスターズシリーズマイアミ決勝 ハードコート
    フェデラー 2-6 6-7 7-6 6-3 6-1
  • 2005年 全仏準決勝 クレーコート
    ナダル 6-3 4-6 6-4 6-3
  • 2006年 デュバイ決勝 ハードコート
    ナダル 2-6 6-4 6-4
  • 2006年 ATPマスターズシリーズモンテカルロ決勝 クレーコート
    ナダル 6-2 6-7 6-3 7-6
  • 2006年 ATPマスターズシリーズローマ決勝 クレーコート
    ナダル 6-7 7-6 6-4 2-6 7-6
  • 2006年 全仏決勝 クレーコート
    ナダル 1-6 6-1 6-4 7-6
  • 2006年 ウィンブルドン決勝 天然芝コート
    フェデラー 6-0 7-6 6-7 6-3
  • 2006年 ATPマスターズカップ準決勝 室内ハードコート
    フェデラー 6-4 7-5
  • 2007年 ATPマスターズシリーズモンテカルロ決勝 クレーコート
    ナダル 6-4 6-4
  • 2007年 ATPマスターズシリーズハンブルグ決勝 クレーコート
    フェデラー 2-6 6-2 6-0
  • 2007年 全仏決勝 クレーコート
    ナダル 6-3 4-6 6-3 6-4
  • 2007年 ウィンブルドン決勝 天然芝コート
    フェデラー 7-6 4-6 7-6 2-6 6-2

この全ての試合を、(ナダルがまだ駆け出しだった最初の 2004年マイアミ2回戦を除いて) 全部完全版で TV で見てこられたことは本当に幸せです。きっと、のちのち更に強く実感することになるでしょう。

ナダルがいなければ、フェデラーはもっと楽々と優勝回数を伸ばし、より多くの記録を更新できていたはずだった。

フェデラーがいなければ、ナダルは 2006年にはやすやすとランキング1位になれていたはずだった。

他を圧倒する二つの実力、そして伯仲した二人の実力。幸いにも、ここ数年はこの二人のトップ選手が世界の頂点でしのぎを削り、それを目の当たりにできる、素晴らしく恵まれた時代です。





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This page contains a single entry by Shaolin published on July 9, 2007 10:14 AM.

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