昨晩の女子決勝は、意外な結果に終わりました。準決勝まで完璧な試合内容を続け、生涯グランドスラム達成ほぼまちがいなしと思われていた J. Henin-Hardenne がフルセットの末 A. Mauresmo に負けてしまいました。私は Mauresmo を応援していたのですが、やや意外な結末。
第1セットは完璧に Henin の一方的な展開。執拗にネットに詰める Mauresmo に十分な体勢でのボレーを許さない足元へのショット、そして走らされての見事なパッシングショット。第1セットが 6-2 で終わった直後は、誰もが Henin の優勝を確信したことでしょう。
ところが、第2セットから Henin の調子がやや不安定に。ラリーでの主導権は常に Henin が握っていましたが、最後の詰めでのミスが出始めました。ここでひきずられずに最後までテンションを維持して堪えた Mauresmo が第2第3セットを連取して、決着がつきました。
この二人の対戦は、今年のオーストラリアンオープン決勝の再現でした。その際には、Henin が体調不良を訴えリタイア、なんとも後味悪いかたちで Mauresmo がグランドスラム初優勝を遂げたのでした。しかも準決勝の K. Clijsters 戦でも、ファイナルセット 3-2 となったところで、Clijsters が足首の捻挫のためリタイア。「あの優勝はマグレだったのでは」と陰口をたたく人もいたようですが、ともあれ今回の優勝で名実共にランキング1位の責任を果たしたといえます。おめでとう。
さて、今晩の男子決勝が近付いてきました。しっかり昼寝をして、夜の放送に備えましょう。
こんなにもあっさりと、Nadal が苦手な芝生での戦い方を習得し、まさか決勝にまで進出するとは、大会が始まる前に予想していた人は少なかったのではないでしょうか (そうなってほしいと応援していた人は多かったでしょうが . . . 私もその一人でした)。
Federer、Nadal 共に絶好調。準決勝までにブレークされたサービスゲームの数は共に 2ゲームのみ。直前の全仏の決勝戦と同じカードが、同じ年のウィンブルドンで再現されるというのは、オープン化 (1968年) 以降としては初めてのことだそうです (オープン化以前では 1952年が最後だそうです)。
かたや芝コートで前人未到の48連勝を記録している史上最強の完璧なプレーヤー Federer、かたやクレーコートで同じく前人未到の60連勝を記録し、唯一 Federer との対戦成績で大きく勝ち越している、ドラゴンボールの孫悟空に憧れてマッチョな体をつくりあげたスーパーサイア人 Nadal。
興味深いことに、Federer が今年に入って負けた 4試合 (なんと全て決勝) というのは、全て相手が Nadal (ハードコート1回、クレーコート3回)。試合の途中で、たまに集中力が切れたかの様に調子を崩すことはよくありますが、すぐに立て直して、結局最後には勝っている、といういつもの試合運びは (対 Nadal 以外は) 健在。しかも、今年のウィンブルドンでは、ほぼ全ての試合において、途中で崩れたりすることなく文字通り完璧な試合内容で、やすやすと決勝進出。もし今年も優勝すれば、P. Sampras に並ぶウィンブルドン 4連勝という大記録が。
一方の Nadal は、昨年末から怪我でツアーを離れており、オーストラリアンオープンにも出場しませんでしたが、その後復帰してツアーを回るうちに、あれだけ強さが目立った昨年より更に強くなっている。今年 Nadal が負けたのは同じく 4試合で、順に A. Clement (2月のマルセイユの準決勝、ハードコート)、J. Blake (3月のインディアンウェルズの準決勝、ハードコート)、C. Moya (3月のマイアミの2回戦、ハードコート)、L. Hewitt (6月のウィンブルドン前哨戦クイーンズの準々決勝でリタイア、芝コート) となっています。ウィンブルドン直前の大会で怪我の大事をとってリタイアした最後の試合を除いては、戦列復帰後の調整期間といえ、調子の良さが伺える戦績です。 もし優勝してしまえば、1980年の B. Borg 以来の快挙となる、全仏〜ウィンブルドン同年優勝という記録が。
芝コートですから、やはり Federer 有利であるのは間違いありませんが、相手が相手だけにその可能性は 100% とは言えません。私が独断と偏見で考える可能性は 60% から 70% といったところです。Federer が完璧な試合内容であっさりと挑戦を斥けるのか、もつれにもつれて大熱戦の結果どちらが勝ってもおかしくない試合となるのか。テニスファンとしては、後者であることを強く願っています。Nadal を応援しますが、とにかく歴史に残る様な素晴らしい試合を見せてほしい。