1997年10月25日に知り合いから購入してから一度たりとも嫌いになるスキを与えてさえくれず、ベタボレ状態で家族や友人と共に過ごしてきた 1993年式プジョー405Mi16チェリーレッド と、17年目の車検を直前にして、熟慮の結果、大変名残惜しいのですが、ついにお別れすることを決めました。しくしく。
つぎのくるまは、25日に納車される予定です。
4年落ち、60,000km の状態から、17年落ち、178,000km まで乗りました。正直、メンテをきちんとしさえば 200,000km オーバーも問題ないんでしょうし、当初は 200,000km を目標にしていました。
このクルマに 1mm たりとも飽きたりしていません。それどころか、乗れば乗るほど、この車以外は考えられないという程、私の体に馴染みまくっていました。とてもフツーの自家用車。フツーなのに隅々までステキで気持ちいいくるま。快適なハンドリングと挙動、気持ちよすぎるシート、過不足ないエンジンレスポンス。絵に描いたようなフツーのフランス車。
別に特別速くもないし、エンジン音が官能的でも全然ない。
内装のたてつけなんかは、いまのレベルからしたら信じられない程ゆるゆる。
フランス車、イタリア車あたりでお馴染み、エンジンルーム内の信じられない整備性の悪さ (なんでこれを交換するのにこれを外さないとアクセスできないの、などなど)。
それでもこのクルマが心底好きです。フツーに街乗りしていても、高速道路を走っても、山道や郊外のワインディングを適度に飛ばしても、シャーシ、足回りとそれらがもたらす挙動、そしてシート。この美点は余りにも素晴らしい。コンパクトな4ドアセダンでありながら、後部座席は広々、トランクは広大。パッケージングも完璧です。
金銭事情さえ許せば、最終年式の 405 SRI あるいは 405 グリフの極上の中古車が手に入れば、考えうる限りのフルレストアを施して、MT に載せかえて乗りたい、と今でも思っていますし、いつかはそういう日が再び訪れたらたまらなく嬉しいことでしょう。
けれども、現実的な線で考えてみれば、今回降りてしまうと、残りの人生で 405 を所有することは恐らくないだろう、ということが、決断にあたっての最大の悩みでした。
3年ほど前にエアコンが故障し。
2年ほど前から冷却水の水漏れが少しづつ始まり。
去年は助手席パワーウィンドウが動かなくなり。
昨年末にはダイレクトイグニッションコイルが1個不良となり、コールドスタートから30分前後経過すると3気筒状態になってしまったり。
どれもこれも、すぐに直せる類の故障 (部品の寿命によるトラブル) ですが、多忙やら金欠やらを理由に、だましだまし乗ってきたことにより、せっかくのこの車の余命を短くしてしまったのではないかと思うと、とても残念でなりません。いや、いまでもまだがっつり直せば乗り続けられるわけですが。
30万円 (あるいはそれ以上になるかも) 出して、上述のトラブルをがっつり直してから、総計40万円程度で車検を通すか。
それとも、なんか適当な安い中古車に買い換えてしまうか。
年明けから、ずっと悩んでいました。
悩んだあげく、今の 405 への未練もたらたらのまんま、買い換えを決断しました。
買い換えの最大のモチベーションとしては、都内に住んでいるのであれば もう少し小さな車 の方がなにかと便利ではないか、というものがありました (4ドアセダンとしては 405 も非常にコンパクトでかつ車内が非常に広い、そういう意味では優秀なくるまではありましたが)。2007年に家族が増えましたが、それでも今より小さな車の方が都心の狭い道路を走り回るにはいいんじゃないか、という気持ちが心の片隅にずっとありました。
というほど、東京に引っ越してきてからの10年、そんなに車に乗りまくっているわけではないんですが (大津に住んでいた頃は年30,000kmペース、こっちに越してきてからは年3,000~5,000kmペース。ほとんど走ってないも同然です)。ともあれ、都内に住み続けるのであれば、小さいくるまの方がなにかと便利かと。
もうひとつのモチベーションは、小さいくるまにすれば、かつ、私がマニュアル車を諦めれば、AT限定免許所有者・ペーパードライバーである (お世辞にも運転が得意とは言えない) 妻も運転できるかもしれない、ということ。ちなみに大津に住んでいた頃、妻が田舎道で運転していたのはルノー・トゥインゴ・イージー (クラッチレスマニュアルなので AT限定免許でも運転可能)。コンパクトなのに車内はびっくりする程広く、サンクあたりを彷彿とさせる古き良きルノーのまったり系の快適な乗り心地で、パワーはないもののとことこと楽しく走る、いいくるまでした。
その他、妻のひとこと「もう少し、新しいクルマにしたら?」という何気ないことばから受けるプレッシャー、などなど。
乗り換える車を選定するにあたり、私がどうしても生理的に受け付けられないもの。それは AT (より正確には トルクコンバータ 式や CVT 式のトランスミッション) です。くるまが 405 ならば、くるまの魅力が自分にとっては異常に高いから AT でも我慢できるかもしれない。けど、あのうにょにょーんとした感覚だけはどうにもこうにも気持ち悪くて、好んで乗りたいと思うことは決してありません。可能な限り、いや全力で避けたいところ。JIS 配列キーボードを使わされるより、まぐろの寿司ばかりを食べ続けさせられるより、ユーロビートばかり聞き続けさせられるより、カップ酒を1ヶ月飲み続けさせられるより、絶対イヤ。
ということは選択肢は二つ。いわゆるクラッチレスマニュアル (自動制御式マニュアルトランスミッション、AMT) のくるまにするか、あるいは妻と相談 (というかお願い) の上普通のマニュアルトランスミッションのくるまにするか。
とりあえずは前者に重みを置きつつ考えることにして、おもしろそうな中古車を適当に調べてみるところからはじめました。予算もあまりかけたくないので、できれば安い奴。
小さくて、つまらなくなくて (できれば楽しくて)、クラッチレスマニュアルも選択肢に存在するくるま。方面としては、どうしてもヨーロッパ車になってしまうわけですが。
(その2に続く)