自宅のリビングのテレビに接続するメディアサーバ (xbmc とか vlc とか) 的な、省電力で安価なマシンが欲しかったので、ION + 定電圧 (CULV) 版 Celeron SU2300 という、変態(?)構成なマザーボード ZOTAC IONITX-P-E を購入し、ちょうどベータ版がリリースされている Vine Linux 6.0 をテストがてらインストールしてみました。
このマザー、通常 Atom と組み合わされる ION が CULV Celeron と組まれてる以外は、意外と素直な構成というか、ほぼ全てのコンポーネントが特に問題なく使えました。これを 80W 電源がついた小さなケースに入れ、2GB メモリを2枚と、いちばん安い 2.5インチ 320GB ハードディスクを積んだものが今回のマシンです。
以下、やったことのまとめ。
インストール
USB に書き込んだ DVD インストーライメージ (x86_64) から起動、普通にインストール。特に問題もなく終了。
初回起動・確認
コンソールは vesa モードで起動、普通に plymouth によるスプラッシュが出てきました。X も16bitで上下左右が幾分欠けてはいるものの、とりあえず動作しています。オンボードの無線ネットワーク (Atheros AR9285) も特になにもせずに使えました。やや拍子抜け。
以下、lspci
の出力。
00:00.0 Host bridge: nVidia Corporation MCP79 Host Bridge (rev b1)
00:00.1 RAM memory: nVidia Corporation MCP79 Memory Controller (rev b1)
00:03.0 ISA bridge: nVidia Corporation MCP79 LPC Bridge (rev b3)
00:03.1 RAM memory: nVidia Corporation MCP79 Memory Controller (rev b1)
00:03.2 SMBus: nVidia Corporation MCP79 SMBus (rev b1)
00:03.3 RAM memory: nVidia Corporation MCP79 Memory Controller (rev b1)
00:03.5 Co-processor: nVidia Corporation MCP79 Co-processor (rev b1)
00:04.0 USB Controller: nVidia Corporation MCP79 OHCI USB 1.1 Controller (rev b1)
00:04.1 USB Controller: nVidia Corporation MCP79 EHCI USB 2.0 Controller (rev b1)
00:06.0 USB Controller: nVidia Corporation MCP79 OHCI USB 1.1 Controller (rev b1)
00:06.1 USB Controller: nVidia Corporation MCP79 EHCI USB 2.0 Controller (rev b1)
00:08.0 Audio device: nVidia Corporation MCP79 High Definition Audio (rev b1)
00:09.0 PCI bridge: nVidia Corporation MCP79 PCI Bridge (rev b1)
00:0a.0 Ethernet controller: nVidia Corporation MCP79 Ethernet (rev b1)
00:0b.0 IDE interface: nVidia Corporation MCP79 SATA Controller (rev b1)
00:0c.0 PCI bridge: nVidia Corporation MCP79 PCI Express Bridge (rev b1)
00:10.0 PCI bridge: nVidia Corporation MCP79 PCI Express Bridge (rev b1)
00:15.0 PCI bridge: nVidia Corporation MCP79 PCI Express Bridge (rev b1)
00:16.0 PCI bridge: nVidia Corporation MCP79 PCI Express Bridge (rev b1)
00:17.0 PCI bridge: nVidia Corporation MCP79 PCI Express Bridge (rev b1)
00:18.0 PCI bridge: nVidia Corporation MCP79 PCI Express Bridge (rev b1)
03:00.0 VGA compatible controller: nVidia Corporation C79 [ION] (rev b1)
04:00.0 Network controller: Atheros Communications Inc. AR9285 Wireless Network Adapter (PCI-Express) (rev 01)
プロプライエタリグラフィックドライバの追加
このままでもまあまあ使えますが、今回はメインが動画閲覧目的ですので、まずはプロプライエタリな nvidia
ドライバをインストール。
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install xorg-x11-drv-nvidia
あとは以下の手順で、とりあえず nvidia ドライバで X が使えるようになります。
$ sudo nvidia-xconfig (雛形的な xorg.conf が作られる)
$ sudo nvidia-config-display enable (必要な module path が追加される)
$ sudo reboot
具体的には、Files
セクションに、以下の ModulePath
が追加され、
Section "Files"
ModulePath "/usr/lib64/xorg/modules/extensions/nvidia"
ModulePath "/usr/lib64/xorg/modules"
FontPath "/usr/share/fonts/default/Type1"
EndSection
Device
セクションでドライバに nvidia
を指定するだけのようです。
Section "Device"
Identifier "Device0"
Driver "nvidia"
VendorName "NVIDIA Corporation"
EndSection
その他、DefaultDepth
や Deph
も明示的に 24
になっています。
Section "Screen"
Identifier "Screen0"
Device "Device0"
Monitor "Monitor0"
DefaultDepth 24
SubSection "Display"
Depth 24
EndSubSection
EndSection
今回は、うちにあるテレビ (TOSHIBA REGZA 32R1) に HDMI 接続していますが、そのままだと上下左右が欠けてしまうので、OverscanCompensation
の値を調整して、適切な表示になるようにします。設定は nvidia-settings
から。この画面では、OverscanCompensation=60
に指定しています。
毎回 X が起動する際にこの値を有効にするため、
nvidia-settings -a "OverscanCompensation=60"
というコマンドを、どこかに書いておくことに。
今回は、リビングで使うメディアサーバ的で、gdm
で自動ログインするような使い方を念頭においてますので、/etc/X11/gdm/PreSession/Default
に書いておくことに。もっと別の場所に書く方がスマートかもしれません。
サウンド
今回はテレビと HDMI 接続するので、オーディオ出力も HDMI にします。が、デフォルトのままではオーディオが出力されていないようです。
いろいろ調べると、HDMI 経由のディジタル出力が alsa 的にミュートされているらしいことが分かりました。なので、alsamixer
でミュートを解除してみます。この画面では、一番右の S/PDIF
、S/PDIF D
、S/PDIF 1
あたりが該当します。
これで、次回起動時にもこの設定が有効になるように、以下のコマンドを実行して、/etc/asound.state
に書きだしておきます。
$ sudo alsactl store
残りいろいろ
もうこれで、普通に使う分には問題ない状態になってしまいました。拍子抜け。もっといろいろクセのあるハードであれこれいじりたかったところですが、まあそれだけ当たりのマザーを引いたということで、よしとしておきます。
あとやったのは、今回必要となるあたりのソフトウェアをインストールしたり、
$ sudo apt-get install task-all-codecs self-build-vlc \
self-build-xbmc chromium
gdm2setup
などを使って自動ログインを有効にし、テレビからある程度離れて操作することを考えて、GNOME デスクトップのフォントや Chromium のフォントを大きめに設定することくらいです。
これで、仕事部屋に置いてある NAS サーバ上に NFS なり SMB なりを経由して、動画ファイルや DVD からリッピングした ISO ファイル、それと写真などを xbmc
で閲覧できる環境が整いました。
CULV Celeron SU2300 (1.2GHz Dual Core) + ION という構成ですが、まあ普通に 1080i や 720p な動画を見る分には充分な感じです。また、妻が使っている DELL のノートPCの調子が最近特に悪く(使っていると勝手に電源が落ちたりする)、その当座のバックアップ環境ということで、web 閲覧環境がリビングに用意できたという面もあるかもしれません。
あとは、うーんと、手元には USB なり Bluetooth なワイヤレスキーボードがないので、適当によさそうな奴を探すことくらいでしょうか。なんかオススメのものってありますかね。