大津に約五年間住んでいた頃には結局口にすることのなかった鮒鮨.以前から,今度滋賀県を訪れる際には買おうと決めていたのですが,この年始に大津の親戚を訪問した際,ついに念願叶って初体験と相成りました.
さてさて,そのお味は....
現在の握り寿司の祖先である鯖鮨,その更に原点に相当するのが鮒鮨.樽に敷き詰めたご飯の中に漬け込むこと半年〜一年.その大変な手間と,琵琶湖に棲息する二ゴロ鮒の減少から,価格は高め.独特の風味と味の為,二度と食べたくないという人と,病み付きになる人と二分されてしまうというあの鮒鮨です.
今回は親戚訪問 (兼お墓参り) がメインだった為,時間の関係上大津西武 1F に入っているお店で購入することにしました.鮒鮨の他,一尺はゆうにあろうかという丸々と太った真鮒の煮つけ,鯉のアラ,そして琵琶湖固有種をふんだんに含んだ佃煮などが売られていました.この中で食べたことがないのは鮒鮨だけ.
大津に住んでいた頃にも,近所のスーパーや名神大津IC の売店で鮒鮨が売られているのを良く目にしていましたし,その値段の高さに驚きましたが,今回改めてびっくり.二ゴロ鮒の子持ちで一尺位だと,10,000円は越えていました.真鮒でも大きいものは 8,000円程.子無しで 5,000円位.また,鮒鮨と同等の製法で,二ゴロ鮒をウグイに替えたウグイ鮨 (というのかな?) も並んでいました.こちらが 2,000円位.
もし口にあわなかったとしたら,これが最初で最後の購入.そう考えると美味しい奴を買って食べてみたい.もし廉価な奴を食べて吐きそうになったとしたら,「もしかしたらもっと高い奴は美味しいのかも知れない」と思ってしまいますので....
ということで,お店の方とも相談して,7,500円の鮒鮨を買うことにしました.矢張り高い買い物です.
家に戻って緊張の試食.薄くスライスしている間にも,予想した通りの独特のすっぱい香りがたちこめます.通常は,鮒の回りについた,発酵したご飯は除いて召し上がるんだそうですが,今回は其の儘口にしてみることにしました.
なんというか,ともかく酸味が強い.鮒自体は程好い感じの味と香りで,特に卵の部分が非常に美味しいのですが,回りの発酵したご飯と一緒に食べるとなかなか強烈です.胃腸もびっくりというか,物凄く腹持ちがします.少なくとも,どこぞの誰かがゆうてはったのを聞いた「チーズみたいなもの」という形容は全く的外れでありました.
半年程発酵させた鯖鮨,という感じでしょうか.正にそのまんまなんですが....
ところが二切れ,三切れと食べ進むうちに,これはなかなか癖になるものだと思いだし,ぱくぱくと食べてしまいました.お酒との相性も最高.ああ,けど値段からしたら全部一気に食べるのは勿体無いよなぁ,ということで途中で止めましたが...
テレビ番組で鮒鮨初体験の芸能人が,一切れ口にしてすぐに「これはおいしい!」というのは真っ赤な嘘だ,ということも分かりました(笑) なんというか,最初は不思議な味で,食べれば食べる程美味しさが分かってくるというか,そんな感じの味.
価格からして,そうおいそれと口に出来るものではありませんが,幸いな事に私の好みの味ではありました.それが確認出来ただけでも収穫でした.未だ半分程残っているので楽しみながら頂くことにしましょう.
私、嫌いなものってほとんど無いんですが鮒鮨だけはダメなんです。
我慢して食べれば克服できそうな気はしますが、そこまでせんでもええやないか、ということで。
形容しようの無い味でしたが,強いて言えば「腐ったカラスミ」という感じでしょうか(笑)