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Mysteries of “Cannonball Adderley Quintet In Chicago”

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実は 1960年リリースだった!

まず最初にびっくりしたのは, “Quintet In Chicago”もともと EmArcy MG-36161 というリリース番号が割り当てられていた という事実でした。 恐らくは,倉庫に保管されていた当時の膨大なマスター台帳の調査が ベースになっていると思われる The Mercury Labels - A Discography (by M.Ruppli & E. Novitsky, 1993) に載っていたその事実は,好奇心を更に掻き立てるのに充分でした。


      MG36161      Cannonball Adderley  (not released - transferred to Merc.MG20449)

まさに,先に触れた「EmArcy 自然消滅」の時期にリリース予定が重なったため, 急遽 Mercury レーベルに番号が振り直されたという事情がみてとれるかの様です。 ちなみに,MG-36161 に限らず,この末期 EmArcy では多くの盤がキャンセルされ, Mercury や Philips で改めてリリースされています (MG-36149, MG-36151〜MG-36153, MG-36156, MG-36159〜MG-36161)。




[Mercury Booklet 1960]

ふと,当時のカタログ/広告類を調べてみようと思い立ち, 既に入手していた 1960年頃に出たと思われるカタログ を見てみました。 すると,MG-20592 / SR-60250 まで載っているこのカタログのどこにも MG-20449 / SR-60134 が 載っていないではありませんか!

最初は,単に載っていないだけかと思っていましたが,その他の盤については ほぼ洩れがなく掲載されている様でした。ですので,このカタログが出た当時には まだリリースされていなかったと考えるのが自然な様です。 どうやら,必ずしも番号順にリリースされていないどころか, この混乱時期にはかなりバラバラにリリースされていたようです。




[Down Beat Jazz Reviews 1960]

後に (2004年10月頃) 有名な Jazz 新聞/雑誌である Down Beat に掲載されていたアルバムレビューを 一年ごとに単行本に纏めた “Down Beat's Jazz Record Reviews Volume V” を入手しました。このハードカバーの単行本には, 1960年の Down Beat 誌で紹介されたレビューが 全て収録されていますが,この本の 31ページに “Quintet In Chicago” のレビューが載っているのを見付けました。 ちなみに五つ星 ★★★★★ の最高評価でした。

なお,この単行本には, MG-20586 / SR-60246 “After The Ball / Frank D'Rone”MG-20588 / SR-60244 “The Two Of Us / Dinah Washington & Brook Benton” のレビューも掲載されていました。 ちなみに,それらのアルバムは上述のカタログにも掲載されています。

より確実には,1960年に発行された全ての Down Beat 誌を調べて, 何月頃にレビューが載っているのかを調べる必要がありますが, 以上のことから, “Quintet In Chicago” は恐らくは 1960年末にリリースされたものと考えられます。 なんと,当初の予想に反して,録音からリリースまで 2年近くの間が あいていたことになります。

1959年といえば, Cannonball AdderleyRiverside レーベルに活動拠点を移し,幾多のヒットアルバムを量産し始めた時期です。 一方 John Coltrane は, Atlantic レーベルに移籍して名盤 “Giant Steps” を吹き込む年にあたります。 それらの契約事項の絡みもあったのか, Mercury レーベルの混乱期に重なったためか, ともあれ録音からリリースまでにはかなりの間があいてしまったのは事実の様です。

以上のことから,アルバム “Quintet In Chicago” は,1960年末にステレオ / モノーラル同時リリース だったと考えるのが自然でしょう。


予想外に短命だった?

[LS-86009]

もうひとつ興味深い記述を見付けました。 “Quintet In Chicago” は,のちに (1964年末?) Limelight レーベル から “Cannonball & Coltrane” (LM-82009 / LS-86009) としてリイシューされましたが,その見開きジャケットの内側に貼付されている ブックレットに,以下の記載が見られます。


      This album originally appeared on Mercury Records as
      THE CANNONBALL ADDERLEY QUINTET IN CHICAGO.
      Unavailable for several years, it is herein reissued
      because of historical importance.

Several years なのですから,1年ではないでしょう。 少なくとも 2年近くは廃盤だったということになります。 つまり,逆算すると 1962年末か1963年初頭には すでにリリースが止まっていたということになり, オリジナルの “Quintet In Chicago” (MG-20449 / SR-60134) は,ほんの 2〜3年しかリリースされていなかったことになります。 これまた予想に反して,この名盤のオリジナル盤は,意外と短命な リリースだったことになります。

余談ですが,この Limelight レーベル からのリイシューのあと,1960年代末期にもう一回リイシューが行われています。 廉価リリース専門の Wing レーベル から SRW-16362 (ステレオのみ) として “Quintet In Chicago” のジャケを使ってリリースされています。 ただし,ディスコグラフィーによると,収録曲が変更されており, “Limehouse Blues”“The Tune Of Hickory Stick” に どういうわけだか差し替えられているそうです。




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