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A Few Facts About EmArcy Label, Pt.1 (Page 3 of 3)
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EmArcy Catalogue Brochures![]() さて、次なる資料は、上に示した 当時のパンフレット です。 現時点で入手した EmArcy 専用のパンフレットは この 3種類だけなのですが、これをよく読みとくと、興味深いことに気付きます。 ![]() まず最初のパンフレット。発行年月はどこにも記載されていませんが、 1954年暮れ (あるいは 1955年初頭) に発行されたものと思って間違いないでしょう。 というのも、残り 2つのパンフレット (発行年月記載あり) に掲載されている タイトルと、それらの録音年月日を比較してみると、録音されてから 3-4ヶ月くらい たってからやっとリリースされている、ということが見受けられるからです。 ちなみにこのパンフレットに掲載されているタイトルのうち、最新の録音は 1954年8月14日のものです。 掲載されているタイトルは以下の通りです。
これを見て、あることに気付いた方は、相当 EmArcy に入れ込んでおられるコレクターかマニアでしょう。
そう、ちょうど
「(1) 大ドラマー銀縁なしレーベル」
「(2) フラットエッジ盤」
「(3) ブルーバック」
「(4) Indy プレス以前 (自社工場プレス)」
の時期の盤が全て記載されているのです。
特に、(3) 以外の特徴については、このパンフレット記載のタイトルよりあとから
変更されるもので、ちょうどこれらの特徴の切り替わりの時期が 1954年暮れから
1955年初頭であったことを証明しているといえます。
![]() 続く2冊目のパンフレットは、表紙に「June 1955」 と記載があります。ちなみに、本パンフレットに掲載されているタイトルのうち 最新の録音は 1955年 3月16日です。 掲載されているタイトルは以下の通りです。
10インチ LP で、今回新規掲載されたのは MG-26046〜MG-26048。12インチでは MG-36003〜MG-36009 と MG-36011、MG-36012。 そう、ちょうど 「(1) 大ドラマー銀縁ありレーベル」 「(2) グルーヴガード盤」 「(3) ブルーバック」 「(4) Indy プレス」 の時期の盤が全て記載されているのです。 そして、MG-36013 からは、「小ドラマー銀縁あり」 レーベルしか (少なくとも私の知る限り) 確認できていない事実と見事に一致します。 MG-36010 がこのカタログで欠番になっていることは非常に興味深いです。 というのも、過去に調べた限りでは、このタイトルはカタログ番号順からいくと 「大ドラマー銀縁あり」であるはずなのに、今のところ 次のバリエーションである「小ドラマー銀縁あり」しか確認できていないのです (もし「大ドラマー銀縁あり」をお持ちの方がおられましたらご一報下さい)。
つまり、MG-36010 については、番号順にリリースされたのではなく、
若干遅れてリリースされたのではないか、と推測できるわけです。
![]() 最後の 3冊目のパンフレットは、 表紙に「March 1956」 と記載があります。 ちなみに、本パンフレットに掲載されているタイトルのうち最新の録音は 1955年11月12日です。 掲載されているタイトルは以下の通りです。
1955年6月付のカタログに掲載されていたタイトルと比較すると、 この 9ヶ月の間に随分大量にリリースされている様に見受けられます。 ただ、MG-36020番台〜MG-36040番台には、 10インチで出たアルバムの 12インチ化がかなり含まれていたり、 Keynote / National 音源のコンピレーションも 多く見受けられます。 ですので、 この時期 (1955年後半〜1956年初頭) にリリースされた盤のうち、 新規録音ものの割合は比較的少なかった、ともいえます。
さて、本カタログに未掲載のタイトル (MG-36048〜MG-36055) ですが、
ちょうど例の The Jazz Greats
シリーズに相当します。つまり、これらのタイトルも、番号順には
リリースされず、少し遅れてから市場に出回ったことを意味していると
考えられます。
事実、これら MG-36048〜MG-36055 のジャケット裏は「ブルーバック」
ではありません。MG-36056 のジャケットが、最も新しいブルーバックで
あることとあわせて考えると、必ずしも番号順にリリースされては
いなかったことがより真実味を帯びてくると思われます。
Down Beat Magazine, January 25, 1956![]() さて、ここでもう1つ別の資料とつつきあわせてみましょう。 以前、別のページ で紹介した、Down Beat の 1956年 1月25日号、EmArcy 特集号です。 本号の広告で「Dazzling January Releases」 として掲載されているのが MG-36039、 MG-36040、 MG-36044 の 3タイトル。 そして「Just Released」 として紹介されているタイトルが MG-36047 です。 ちなみに、この MG-36047 というのは、 「小ドラマー銀縁ありレーベル」 が確認されている、最も新しいカタログ番号のものです。 さて、この1月付の広告に掲載されている盤は 全て「ブルーバック」が確認されているものです。 で、上に掲載した 3月付のカタログでは、「ブルーバック」ではない タイトル (MG-36057〜MG-36065) が掲載されています。 ということは、「ブルーバック」の終了時期は 1956年1月末〜3月頃、 と推測できます。 もちろん、ある日を境に突然ブルーバックがなくなる、銀縁ありレーベルがなくなる、 というようなことではなくて、 ブルーバックで印刷されたジャケットや、銀縁ありで印刷されたレーベルの在庫が なくなり次第、順次切り替えられていったというのが 真相なのでしょう。ともあれ、おおよそこの頃が切り替わり時期といえそうです。
なお、ここに掲載されている4タイトルのうち
MG-36040 だけが「小ドラマー銀縁なし」しか確認できていません
(もし MG-36040 の「銀縁あり」をお持ちの方がおられましたらご一報下さい)。
絶対に存在しない、とは言えないのであくまで推測ですが、
このタイトルは、1956年1月25日号の Down Beat 広告に載ったものの、
なんらかの理由でリリースが少し遅れてしまい、
銀縁なしレーベルしか存在しない、ということなのかも知れません。
補足最後に、ディープなマニア以外にはなんのことやら分からないタームについて 説明しておきましょう。 「ブルーバック」というのは、 文字通り、ジャケット裏の印刷が青色インクとなっているものです。 以下に載せたものは、ブルーバックが確認されている盤のうち 最も新しい盤「Presenting The Gerry Mulligan Sextet」の ブルーバックジャケットと、その後切り替えられたブラックバックジャケットです。 ![]() ![]() 左は MG-36056 “Presenting The Gerry Mulligan Sextet” のジャケット裏 (ブルーバック) 右は MG-36057 “Helen Merrill With Strings” のジャケット裏 (ブラックバック) 「大ドラマー」 「小ドラマー」 というのは、文字通り、レーベルに描かれている (David Stone Martin デザインと勘違いされている方も たまにおられますが、Arthur Talmage デザインです) ドラマーのイラストの大きさを表します。 現時点では、大ドラマーレーベルは 10インチの全て (MG-26000〜MG-26048)、 及び MG-36000〜MG-36009、 MG-36011、 MG-36012 で確認されています。 小ドラマーレーベルは MG-36010、 MG-36013〜MG-36104 で確認されています。 なお カナダ盤 (ジャケットはアメリカ製であることが多い) では、 かなりあとのリリースまでずっと大ドラマーレーベルが使われていましたので、 それと勘違いしない様に注意が必要です。 ![]() ![]() 左は MG-26000 “Relaxing After Hours” のレーベルA面 (大ドラマー、銀縁なし) 右は MG-36056 “Presenting The Gerry Mulligan Sextet” のレーベルA面 (小ドラマー、銀縁なし) なお、今回は詳しくは触れませんが、EmArcy 後期 (MG-36105〜MG-36141、一部例外あり) では、「後期大ドラマー」あるいは「中ドラマー」と言われる 別のデザインのレーベルが使われています。 これについては次回のコラムでもう少し詳しく触れる予定です。 ![]() MG-36141 “Newport '58” のレーベルA面 (後期大ドラマー) 「銀縁」(Silver Ring あるいは Silver Rim) というのは、レーベルの縁に銀色の印刷が 施されているタイプのことで、上のカタログリストや、実際に確認されている タイトルなどから類推すると、1955年初頭から1956年初頭までの間だけに 使われたタイプということになります。 このタイプを「初版で」確認したのは、10インチで MG-26046〜MG-26048、 12インチで MG-36003〜MG-36047 (一部例外あり) となっています。 ![]() ![]() 左は MG-36006 “Helen Merrill” のレーベルA面 (大ドラマー、銀縁あり) 右は MG-36045 “Herb Geller Plays” のレーベルA面 (小ドラマー、銀縁あり) 「YMG」というのはマトリクス刻印の接頭辞で、 ある時期までにプレスされた盤でこのタイプが見受けられるというものです。 下のスキャンを見ても分かる通り、刻印タイプ自体が異なります (YMG スタンパーの方が大きい刻印が使われている)。 EmArcy に限ると、この YMG 刻印が確認された最も新しいタイトルは MG-36038 となっています (これより後にリリースされた盤で YMG マトリクスのものをお持ちの方は ご一報下さい)。 逆に、 MG-36036 の様に YMG が見つかっていない盤、 MG-36037 の様に 片面だけ YMG しか見つかっていない盤などもあり、 リリース順とカタログ番号順が一致していたわけではない、 という例の話にもつながります。 ただ、この「YMG マトリクス」は EmArcy に 固有のものというわけではなくて、Mercury の ポピュラーシリーズ、及び Mercury Living Presence シリーズにおいても、1950年代初頭から1955年秋くらいまでの盤で見られるものです (つまり、自社工場プレスの時代と、Indy プレスの時代を 通じて確認されています)。 この「YMG」と「MG」の違いが何を表しているのかはまだ分かっていませんが、 この時期にカッティングマシーンの変更などがあったと推測されます。 ![]() 上が YMG 刻印 (MG-36037 のA面) 下が MG 刻印 (MG-36037 のB面) 「フラットエッジ」「グルーヴガード」 というのは、盤を横から見たときの形状で、 前者は完全にまっ平らなもの、後者は最外周とレーベル部分だけ 若干盛り上がっているものです。 レコードをジャケットから出し入れする際に、音が記録されている 部分にできるだけ傷がつかないようにするために、最外周とレーベル部分を 盛り上げたものとされています。Mercury や EmArcy では 1955年頃からグルーヴガード盤が見られます。 EmArcy だけに限ると、グルーヴカード盤になるのは 10インチでは MG-26046 以降、 12インチでは MG-36003 以降となり、 上述の銀縁レーベル出現のタイミングと同一となっています。
「 次回に続く...
EmArcy レーベルの四方山話、まだまだ続きます。
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