Big Apple / Teddy Wilson

本命の盤が落札できず、ついでに入札した盤があっさり落札。オークションだとよくあることですね。

Couldn’t win the “odds-on” favourite disc, while won the other disc(s) by incident – that’s what sometimes happens at the auctions.

「ついでに」買った、なんて言ったら、この盤で素晴らしい演奏をされている皆さんに対して失礼ですね。 1937年の Teddy Wilson コンボの熱演です。

I may be very sorry to the performers on this 78rpm, if they happen to know that I bought this disc by incident 🙂 This is a very HOT swing combo performance headed by Teddy Wilson in 1937.

. . . the rest of this article is available only in Japanese . . .

[Brunswick 7954 Side-A]      [Brunswick 7954 Side-B]

Big Apple c/w You Can’t Stop Me From Dreamin’ / Teddy Wilson
(Brunswick 7954)

A面 Big Apple は、女性シンガー Frances Hunt をフィーチャーした、心地好くスウィングするミドルテンポのナンバー。第1コーラスはインストで、第2コーラスからヴォーカルが入る、という、当時一般的だったスタイルです。とにかく全編を通して Buck Clayton Harry James のはりきりっぷりというかフィーチャーっぷりが目立ちます。 第1コーラス中盤の御大 Teddy Wilson のザクザクと切れ味抜群にスウィングするピアノも心地好い。ヴォーカルが入ると、今度は後ろのアンサンブルで Buster Bailey Archie Rosati のクラリネットがさりげなくサポートしつつ、その後ろではミュートをつけた Clayton Harry James が遠くから合いの手をいれる。第3コーラス冒頭でやっと Lester Young Vido Musso のソロが聴こえてきたかと思うと、再び Clayton Harry James 主導のアンサンブルであっさりと終了。あっという間の夢のひとときです。

B面 You Can’t Stop Me From Dreamin’ は、うってかわってアップテンポのごきげんにホットなインストナンバー。御大 Teddy Wilson の転がる様なイントロから始まり、やはり Clayton Harry が主導でテーマを演奏、そこへ Pres Musso の力強い B メロが入り、再び Clayton Harry 主導で第1コーラスは終了。続く第2コーラスは Buster Bailey Archie Rosati の電光石火のクラリネットソロが堪能できます。これはカッチョエエー。御大のピアノソロにつないで (ここで、あまりのアップテンポにギターとドラムスが少し乱れるのはご愛敬) 第3コーラスへ。今度はミュートをつけた Clayton Harry が軽やかにインプロヴァイズしてみせます。続いて Pres Musso のソロ、彼にしては図太いトーンですが、上へ下へと縦横無尽に力強く同時に滑らかで優しいメロディを紡ぎ出すその演奏には感服。特にフレーズが低音へ下がる部分なんぞ、音だけで気持ち良い。御大のピアノがひきつぎ、最後はアンサンブルで性急に終了。いやーあっという間に駆け抜けた両面でした。素晴らしい。

この時代の Brunswick ということで、 うちの Re-Equalizer に付属の資料だと、この時期の Brunswick はターンオーバー 300Hz、ロールオフ NAB (-16dB) となっていますが、うちのオーディオでは、もう少し細かく微調整したいな、という感じの音でした。 連続可変イコライザなんて持ってないので、どうしようもないのですが . . . ま、盤質やプレスの新鮮さによっても印象は変わってしまうので、これで決まり、ってのもなかなかないんでしょうか。 ちなみに盤質はかなり良く、スクラッチもかすり傷もありません。ただ、マトリクス番号の他に刻印されている「2」と「4」 (上のレーベルスキャンをクリックして拡大すると、レーベル上部にかすかに見えると思います) が、スタンパー番号かマザー番号を表しているのだとすると、もっと若いフレッシュな音のする盤もあるってことなんでしょうか。この辺りの盤については、ほとんど知識を持ち合わせていないので、よくわかりません。

それにしても、やっぱり SP っていいですね。両面でたったの 6分程度しかないのに、物凄い緊張感と集中力でもって聴かされてしまう。とても BGM として聴く気にはさせられない (ってそもそも片面3分では BGM 的聴き方が不可能ですが)。これくらいの長さの方が、より集中して聴けるというのが最大の魅力でしょうか。




Side-A (LA1404A) : Big Apple
Side-B (LA1405B) : You Can’t Stop Me From Dreamin’

Buck Clayton Harry James (tp),
Buster Bailey Archie Rosati (cl),
Lester Young Vido Musso (ts),
Teddy Wilson (p),
Freddie Green Allan Reuss (g),
Walter Page John Simmons (b),
Jonathan Jones (Jo Jones) Cozy Cole (ds).

Recorded on August 27, 1937?
(I don’t have the discography book(s) which might contain exact recorded date – please let me know)


10 thoughts on “Big Apple / Teddy Wilson

  1. この盤は持っていませんが、年代からすると500Hz/-8.5dBかも知れません。私が持っている資料によると250Hz/-16dBになるのは39年頃からと思いました。ただし、マトリックスがLAとなっている数少ないロサンゼルス録音なので断定は出来ません。
    この盤、古いディスコグラフィではメンバーが違っていました。
    Harry James(tp), Archie Rosati(cl), Vido Musso(ts), Teddy Wilson(p), Allan Reuss(g), John Simmons(b), Cozy Cole(d), Frances Hunt(vo)という記載でした。だから持ってない?

  2. 瀬谷さん、イコライジングについての情報ありがとうございます。今度いろいろ試して聴いてみます。
    マトリクスが LA で始まるのは LA 録音って意味だったんですね、勉強になりました。
    ところで、メンバーが異なる件、もし瀬谷さんが書かれた内容が合っていたら、私の耳がイカれているってことですよね (笑) もしそうだったら大赤面ものですが、はてはて。

  3. うーん、LA 録音ってことは、やっぱり瀬谷さんが書かれたパーソネルの方が正しそうですね . . .
    そういえば、この時期の Pres にしてはややビッグトーンぽく聞こえたり (Vido Musso は他に聴いたことがないのでなんとも分かりません)。はぁ、Harry James と Buck Clayton を聞き間違えたとなると岡村さんに怒られそうだ (笑)
    お恥ずかしい限りですが、本文はこのままにしておきます。
    レーベル記載のパーソネルを先に見てしまったがための思い込みというところでしょうか。
    まぁ内容は依然ゴキゲンなのが救いですが。

  4. いやいや、どちらが正しいかは私もチェックしてみないと分かりません。今、職場なので・・・。
    最新のディスコを見ると簡単に分かると思います。でも、レーベルの記載が違っているなんてあまり見たことがありませんね。フレディ・グリーンのギター、ジョー・ジョーンズのハイハットは聴いて分かるような気がするのですが、はたして?
    今、自宅のPCが逝かれてしまい、HDの交換中です。
    今まであったものがないと不便ですねぇ。

  5. それがですね . . .
    ギターとドラムスはあんまり目立ってないんですよ。
    本文にも書いた「途中でどたばた」ってのも「あれおかしいな」って思いましたから。あんまり「らしくない」です、はい。
    ハイハットは、というと . . . 聴けば聴くほど Jo Jones らしくないと思えてきました (笑)
    はぁ、今晩は落ち込みそうだ。がっくし。

  6. あー、今もう一回思い込み抜きで聴いてみましたが、やっぱり瀬谷さんのパーソネルで正解です。はぁはぁ。
    本文直しておきました。がっくし。

  7. 後日談。
    昨晩、瀬谷さんから連絡があり、瀬谷さんの手元に「正しい」パーソネルが記載されたレーベルの盤があるとのことでした。
    私の盤は、記載間違いの「珍盤」ということになりそうですが、それにしても「思い込み」が耳を曇らせるなんて . . . かなり凹み気味。

  8. 家へ帰ってチェックしたところ、同じ盤がありました。ただし、私のは正解のパーソネルが記載されている盤でした。
    この盤は2種類あるのですね。Shaolinさんのは珍盤ですよ。大切にしてください。
    私も聴いてみましたが、やはりパーソネル通りですね。
    フレディ・グリーン、ジョー・ジョーンズが演らないようなテンポだし、クレイトンにしてはソロが長すぎます(笑)
    調べた結果、ロサンゼルス録音(37年6月30日~9月5日)直前のニューヨーク録音がShaolinさんのと同じパーソネルでした。しかも、Jo JonesがJonathanとなっているところまで同じでした。
    ラベル担当者の単純なミスでしょうね。ということは、Shaolinさんのが1stプレスですか?

  9. こんばんは、木下です。
    この盤、手放して現物が手元にないので確かなことは言えないのですが、過去、5、6枚手にしたことがありますが、僕の手にしたものは全て誤ったパーソネル(写真のものと同じ)でした。
    過去、レスター関連の78を集中的にやっていたときにこの盤を入手しましたが、「どうもレスターっぽくない??」と悩んだものです、はい。

  10. 木下さん、コメントありがとうございます。
    瀬谷さんや木下さんの様にまだまだ 78rpm どっぷりな生活になっていないし、コレクションと呼べる程の枚数も全然ない私ですが、皆さんの web を拝見して目の保養をさせて頂いています。
    > 過去、5、6枚手にしたことがありますが、僕の手にしたものは
    > 全て誤ったパーソネル(写真のものと同じ)でした
    そうでしたか。ということは、パーソネル間違いのレーベル分がかなりの枚数リリースされてから、のちに正しいものに差し替えられた、ということなんでしょうかね?
    > 「どうもレスターっぽくない??」と
    そうなんですよね。なんか元気よすぎるなぁ、と。バックのリズムもややずんどこ系ですし。しかし私はレーベルを先に凝視してしまっていたがために「へー、こんな演奏もするんだー」とか思ってしまったのでありました (涙)

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