You Brought A New Kind Of Love To Me / George Wettling

There are so many masterpiece performances of Mainstream Swing Jazz left on legendary Keynote label. Some might love Lester Young Quartet’s 1943 session too much; other recommendations might include Dinah Washington’s debut recording with Lionel Hampton Sextet in 1943, Coleman Hawkins’ quintet session featuring Teddy Wilson (1944), Kansas City Seven’s swingy session featuring Lester Young (1944), Cozy Cole All-Stars’ awesome recording featuring Earl Hines and Coleman Hawkins (1944), Lennie Tristano Trio’s debut recording (1947), and many more . . . We must deeply thank to the producer Mr. Harry Lim, who recorded most of these legendary recordings.

極上の中間派ジャズがこれでもかという程大量に録音された、伝説の キーノート (Keynote) レーベル。 その中でも、レスター・ヤング (Lester Young) カルテットの 1943年録音を愛して止まないファンは多いでしょうし、他にもダイナ・ワシントン (Dinah Washington) の初録音 (1943)、コールマン・ホーキンス (Coleman Hawkins) クインテット (Teddy Wilson 入り) の劇的な名演 (1944)、カンザス・シティ・セブン (Kansas City Seven) のスウィンギーなセッション (1944)、コージー・コール・オールスターズ (Cozy Cole All-Stars) 名義の、アール・ハインズ (Earl Hines)、Coleman Hawkins などを含む完璧なセッション (1944)、レニー・トリスターノ (Lennie Tristano) の初録音 (1947) など、名演を挙げればきりがありません。ただただ、これらの伝説的セッションの大半を録音し後世に残してくれたプロデューサー、ハリー・リム (Harry Lim) 氏に感謝するのみです。

BTW, for me, there was a 10-inch LP a few years ago, Side-A of which opened my eyes to the greatness and the artistry of mainstream Jazz and to Keynote label (although I already enjoyed many prewar Jazz before that). It was . . .
( . . . the rest of the English edition will (hopefully) be available in the near future . . . )

さて、私にとって、いわゆる中間派ジャズや Keynote レーベルの素晴らしさに初めて気付かされた (もちろん、それまでにも戦前ジャズはいろいろ聴いていましたが) のは、4年ほど前のこと。ある 1枚の 10インチ LP (の A面) に魅せられたのがきっかけでした。それは . . .




[EmArcy MG-26019 Front]      [EmArcy MG-26019 Side-A]

Holiday In Trombone / Various Artists
(EmArcy [US] MG-26019)

EmArcy レーベルの 10インチの中でも、特に人気がある訳でもないこの盤。たまたま、私にとっては 2枚目の EmArcy 10インチだったのですが、この A面 1曲目 “Home” にヤラれました。

Jack Teagarden お得意の、ほのぼのしたミドルテンポに設定され、そこでの Teagarden の寛ぎに満ちたヴォーカルとトロンボーンソロは筆舌に尽くし難い哀愁をたたえているかの様。そして、Coleman Hawkins の力強くよく歌うテナーソロ、Hank D’Amico のツボを心得たクラリネットソロ。そしてなにより、シンプルなフレーズながらよく歌い、えもいわれぬ美しさのトランペットの音色が圧倒的に素晴らしい。

その素晴らしい演奏を聴かせるトランペッター Joe Thomas を知ったのは、この時が最初でした。絶妙にコントロールされ、透き通る様に奏でられるその美しいトランペットの音色、原曲のメロディを尊重しつつ展開される、控えめながら芸術的なアドリブライン。この Joe Thomas のトランペットと他の腕利きミュージシャン達との対比が余りにも美しく、ややもすれば野暮ったい演奏になってしまう恐れのある “Home” が、こんなにもメランコリックな名演へと昇華しています。




さて、当時の私はそんな A-1 “Home” を堪能したあと、裏ジャケットを眺めながら続く A-2 “You Brought A New Kind Of Love To Me” に備えていました。ところが、実際に聞こえてきたのはなぜか “Too Marvelous For Words” だったのです . . . あれ? クレジットミスですかこれは? . . . ターンテーブルを止めて、レーベルを見直してみても、やはりそこには “You Brought A New Kind Of Love To Me” と書かれていました (上の写真を参照)。とはいえ、この曲も踊りたくなる程ゴキゲンなナンバー。設定されたミドルテンポも絶妙で、冒頭の Teagarden のトロンボーンだけでニンマリ。Joe ThomasHerman Chittison のソロの連続部分が最高にスウィンギーです。

続くアップテンポの A-3 “Somebody Loves Me” も同様にゴキゲンな演奏で、オープニング直後の Herman Chittison のピアノソロは Teddy Wilson を彷彿とさせ、続く Joe Thomas の 1コーラスに渡るトランペットソロは美しいのひとこと。更に続く TeagardenHawkins の 2コーラスに渡るソロも見事。特に Hawkins の迫力満点のソロは絶品です。そして本セッションのリーダーである George Wettling の各ソロミュージシャンに対する自由自在なバッキングも圧巻。

この MG-26019 という盤は、EmArcy 初期の 1954年リリースで、自社工場プレスですから、盤質に恵まれた現存コピーは少なく、私の所有する盤もやや盤面が白濁しているように見えます。サーフェスノイズはやや多めですが、カッティングレベルは充分に高く、メタルマザーから直接カッティング用マスターテープにトランスファーされたであろう本盤の音質も悪くはありません。




MG-26019 を入手して約半年後、そのオリジナルイシューである Mercury 10インチ LP を入手しました。1951年頃にリリースされたものと思われます。ジャケットはフリップバック付の紙スリーブタイプです。


[Mercury MG-25071 Front]      [Mercury MG-25071 Side-A]

Trombone Time / Various Artists
(Mercury [US] MG-25071)

上で触れた A-2 のクレジットですが、本盤では “Too Marvelous For Words” となっています。へぇ、珍しいなぁ。Mercury の初版では正しいクレジットで、EmArcy からの再発でクレジットを間違えるなんて . . . そう思いながら針を落としてみると。

あれれ、流れてきたのは “You Brought A New Kind Of Love To Me” ですよ . . . なんと、両方の盤とも、A-2 のクレジットが間違っている という凄いオチでした。Keynote から音源を購入した Mercury が、ファイルを作る時に、両者を書き間違えてしまったんでしょうか。いやはや。

さて、本盤に収録されている “You Brought A New Kind Of Love To Me” ですが、“Home” に負けず劣らず、Teagarden お得意のけだるいムードのヴォーカルが冴える好演奏。ここでは Hank D’Amico のクラリネットソロが特に素晴らしい出来となっています。

この MG-25071 はといえば、ヴィニール製 SP かと思ってしまう、固めのヴィニールで、レーベルもコーティングされているタイプ。この時期の盤は、カッティングレベルが低いものが多く、本盤も例外ではありません。ただ、音質的には MG-26019 と同等 (イコライジングカーブは異なりますが) といっていいと思います。




このセッションはもともと、当然ながら Keynote レーベルから SP としてリリースされたものです。 K-1311“Home”“Too Marvelous For Words” が、K-1318“You Brought A New Kind Of Love To Me”“Somebody Loves Me” が収録されてリリースされました。ともに 12インチ SP で、演奏時間はどれも 4分弱となっています。

最近入手したのは K-1318 です。4年前に私を興奮させた “Home” を収録した K-1311 の方は、 残念ながらいまだに入手出来ずじまいです。


[Keynote K-1318 Side-A]      [Keynote K-1318 Side-B]

You Brought A New Kind Of Love To Me c/w Somebody Loves Me
/ George Wettling’s New Yorkers

(Keynote [US] K-1318)

あぁ、この音でんがな。いやぁ〜、やっぱり SP 時代の録音は SP で聴くのがいいですなぁ . . . って、これまた LP とは 別テイク じゃないですか。調べてみると、ふむふむ、確かに Keynote K-1318 に収録されたのがテイク2で、Mercury MG-25071 のはテイク1とのこと。しかも Ruppli のディスコグラフィー、間違えてるし . . . またですか Ruppli さん。

それはさておき、この曲に関してはテイク1、テイク2共に甲乙付け難い出来で、どちらもアンサンブルのアレンジや基本的に同じで、ソロのオーダーも同じ。SP で聴けるのはテイク 2 だけ、というのが残念です。




[The Complete Keynote Collection]

The Complete Keynote Collection
(Nippon Phonogram [J] 18PJ-1051/71)

実は、かの有名な、1986年にリリースされた 21枚組 (!) LPボックスに、上で触れた別テイクの類は全て収録されています。更にいうと、私がこの LP ボックスを購入したのは MG-26021 で “Home” にヤラれた直後だったんです (笑)。たまたま渋谷の某店舗で中古を格安で発見し、児山紀芳さん直筆によるシリアルナンバー35番が書かれたそのボックスを即座に購入したのでした。

“Home”“You Brought A New Kind Of Love To Me” はそれぞれ 2テイク、 “Too Marvelous For Words” は 3テイクが収録されています。 “Somebody Loves Me” は 1テイクのみしか録音されていません。 こうして、同セッションの全テイクをまとめて聴ける、というのは、非常に便利です。 特に、“Too Marvelous For Words” の 3テイクは、全てアレンジが異なり、 各ミュージシャンのソロもそれぞれ味があるもので、お徳感満点です。

しかし、さすがに 21枚組のしかも LP ともなると、おいそれとラックから取り出して聴こうという気になりにくいのも事実なんですよね。だから、既に本テイク、別テイク共に所有していたのに、SP を聴くまでそのことを思い出せなかったのかも。

もちろん、第一級の資料としては他に類を見ない、素晴らしいボックスだと思いますし、児山さんの執念ともいえる発掘作業と調査、情報整理の成果ですから、本当に感謝してもしきれません。 音質については、さすがにオリジナルの SP や 10インチ LP と比べるのは酷というものでしょう。




最後に、本音源を CD で聴く手段はといいますと、現時点では The Essential Keynote Collection Vol.6 – The Complete Coleman Hawkins という、10年以上前にリリースされた 3枚組しかない様で、この CD も最近では見付けるのが難しいかも知れません。


[The Complete Coleman Hawkins]

The Essential Keynote Collection Vol.6 – The Complete Coleman Hawkins
(Mercury [US] 830 960-2)

Amazon.co.jp で買う

私は上述の 21枚組 LP ボックスを持っているので、この CD は買っていなかったのですが、Keynote レーベルに残された Coleman Hawkins 参加の全セッションがまとめられたこの CD、今頃になって急に欲しくなってきました。なんといっても、Hawkins 参加のセッションはどれもこれも最高の出来で、それが気軽に CD で聴ける、というのは大変な魅力だからです。全て SP で揃えるには、さすがに時間がかかるでしょうし . . . (私はまだ 2-3枚しか持っていません、はい)。




GEORGE WETTLING'S NEW YORKERS:
Joe Thomas (tp), Jack Teagarden (tb, vo), Hank D'Amico (cl), Coleman Hawkins (ts),
Herman Chittison (p), Billy Taylor (b), George Wettling (ds).
NYC, December 12, 1944.
HL72-2    Home (voJT)                   Keynote K1311
HL72-4    Home (voJT)                   Merc.MG25071, EmArcy MG26019,MG36053
HL73-1    Too Marvelous For Words
HL73-2    Too Marvelous For Words
HL73-3    Too Marvelous For Words       Keynote K1311
EmArcy MG26019,MG36038,MG36053
HL74-1    You Brought A New Kind Of
Love To Me (voJT)    Merc.MG25071
HL74-2    You Brought A New Kind Of
Love To Me (voJT)    Keynote K1318
HL75-1    Somebody Loves Me             Keynote K1318
Merc.MG25071, EmArcy MG26019,MG36053
All titles issued on LP Nippon Phonogram [J] 18PJ-1051/71, CD Merc. 830960-2.
(these info based on Ruppli's disco, then updated upon actual listening)



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3 thoughts on “You Brought A New Kind Of Love To Me / George Wettling

  1. SP盤を始めた頃、Commodore, Keynote, HRS は良く買いました。この3レーベルは期待を裏切らないので、持っていない盤は躊躇なく買いました。
    最近は何を聴こうかなという時はshaolinさんのここに来て、決めています(笑)。そんな訳で、今夜はKeynoteでした。最初に1318番、そして1311番を聴き、あとは手当たり次第に聴きましたが、お酒の飲んでいるせいか30分くらいで寝てしまったようです(笑)。
    Keynote、まとまっているところだけ数えたのですが、100枚弱でした。例の21枚LPボックスが発売されてからは一枚も買っていません。

  2. > Keynote、まとまっているところだけ数えたのですが、100枚弱でした
    それって、もう限りなくコンプリートに近いってことちゃいますか . . . 恐れ入りました。瀬谷さん恐るべし。
    うーん、せめて、Hawk 参加盤、Joe Thomas 参加盤だけはコンプリートしたいです。いつになることやら。
    > 最近は何を聴こうかなという時はshaolinさんのここに来て、決めています(笑)
    それはなんとも畏れ多くも身に余る光栄、大恐縮です (笑)

  3. Keynote でのHawk、Joe Thomas は良いですね。私もこの時代の演奏は好きです。ハリー・リムはHawk がお気に入りだったのか、録音が多いですね。12-inch、10-inch と結構あったと思います。
    それに比べ、Keynote のLester はあまり印象にないですね。ベースがSlam Stewart だからかな?
    これから出張です。

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