(本エントリは、私が別の web に 2004年 8月 19日付で掲載していたものを転載後加筆訂正したものです)
(this entry was originally made public at my another web site on August 19, 2004)
(English version of this article will be available in the near future)
ここ最近「この人が参加していたら有無を言わさず入手」というミュージシャンが何人かいます。そのうち特にずばぬけて注力中なのが二人。一人は Don Fagerquist (恐らく西海岸きってのトップトランペッターでしょう。流れる様なフレーズといい、透き通った美しい音色といい、ぞっこんです)、もう一人は Big T こと Jack Teagarden。リーダー作の少ないスタジオマン Fagerquist さんはまたいつか触れるとしまして,ずっと時代を遡ったプレモダン期の巨人 Teagarden さんをここはひとつ。
Jack Teagarden – Jazz Great
(Bethlehem BCP-32)
Dixie 時代から Swing 全盛期に渡って一世を風靡し、そしてモダン到来後も中間派セッションで晩年まで気を吐き続けた才人 Jack Teagarden さん。トロンボーンをフロント楽器に押し出すことに成功した全盛期の 1930年代を含め、戦前の録音の殆どは良質な編集盤 CD で楽しむことができます。しかし,続く戦後のコンボによる中間派セッション (Capitol、Roulette、Verve などに録音あり) にも素晴らしい演奏が多く、手頃な値段でオリジナル盤が入手可能なジャンルということもあって、この辺は非常に買い得感の高い盤が並んでいます。
知名度という点では Louis Armstrong との Town Hall Concert や、 Bobby Hacket との一連の Captiol 録音に一歩譲りますが、この Bethelehem に残したリーダー録音もかなりの高水準です。全10曲は 3つのバンドによる演奏で、特に A-2, A-4, A-5, B-2 のセッションがずば抜けています。御大 Teagarden さんはもちろんのこと,やはりこの人がバックにいるだけでリズムの弾み方が全然違う Jo Jones さん、明朗なヴィブラートのクラリネットが魅力的な Edmond Hall さん、フレージングといい音色といい Dixie の範疇を大きく逸脱するかの様な Jimmy McPartland さんの見事なトランペット、Count Basie 風にキザなバッキングでまとめたピアニスト兼アレンジャーの Dick Cary さん、がっちりと底辺を支える Walter Page さん。他の2セッションも聴きどころ満載 (実妹の Norma Teagarden さんがピアノのセッションと、あの Leonard Feather さんがピアノのセッション) ですが、この 4曲は特に光っています。
後のケントンスクール卒業生の様な超絶技巧は持ち合わせていないものの、一小節聴いただけでわかるやわらかい音色、実に丁寧で歌心溢れる (ぎくしゃくする一歩手前の芸術的な) フレージング、そして独特のブルースフィーリング溢れる温かいヴォーカル。この 1954年録音のアルバムでもその魅力は全く損なわれる事なく見事な出来栄えとなっています。
A-2, A-4, A-5, B-2:
Jimmy McPartland (tp), Jack Teagarden (tb, vo), Edmond Hall (cl),
Dick Cary (p, arr), Walter Page (b), Jo Jones (ds).
Recorded in New York City, November 1954.
A-3, B-3, B-4:
same personnel as above, except:
Dick Cary (tp, arr) replaces Jimmy McPartland,
Leonard Feather (p, prod) replaces Dick Cary,
Ray Baudic (ds) replaces Jo Jones.
Recorded in New York City, November 1954.
A-1, B-1, B-5:
Fred Greenleaf (tp), Jack Teagarden (tb, vo), Kenny Davern (cl),
Norma Teagarden (p), Kass Malone (b), Ray Baudic (ds).
Recorded in New York City on November 12, 1954.
こんにちわ。
ドン・ファーガキストは、僕も愛聴しております。モードへの
「テンテット」だったかな?ファーガキストはバラードもいいです。ベツレヘムの「ジャズ・シティ」もよかった。(共に復刻盤で聴いております)
Jack Teagarden は・・・恥ずかしながらほとんど未聴です。ハケットとのキャピトル盤は持ってますので、聴いてみますね。そういえば「柔らか~い」音色だったような。