2012年1月4日、一足先にひとりで帰省先から戻った私の家に、 いつもテニスをご一緒させて頂いているオーディオ好きの Iさん が遊びに来て下さいました。昨年、いちど遊びに来て下さって以来、2回目となります。
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Part 1 (Bethlehem, Fantasy, Pacific Jazz)、 Part 2 (Roost, Atlantic, Blue Note)、 に続く第3回は、1956年〜1957年発行の、とある有名なジャズレーベルのカタログ 2種類です。今回は SP やシングル盤は掲載されていないものです。
bassclef さん のところの 「Jazz On The Bounce (bel canto)」 というエントリ。ここのコメントで、SP、10インチLP、12インチLP、シングル盤、EP などの価格についての話題がありました。
何年か前に、たまたま古いカタログパンフレット (いろんな時期のいろんなレーベルのミックス) をロットで買う機会がありまして、bassclef さんのところに書いたのも、それらを一部参考にしました。せっかくなので、なにかの参考になればと思い、何回かに分けて紹介してみようと思います。
Monk's Music / Thelonious Monk
(Riverside [US] RLP-1102)
(stereo 2nd cover, Orpheum turquoise label)
はじめに (愛すべきハッタリステレオとの出会い)
誰もが知ってる Monk's Music。演奏破綻寸前のカオス状態が逆にえもいわれぬ迫力を生み出しているという、不思議な魅力に満ちた傑作です。1957年 6月 25〜26日録音。
上に載せたのは ステレオ盤 (の後期プレス、いわゆる Orpheum 盤)。大学入学直後、まだジャズを聴きだしたばかりの私が、大阪梅田の某中古レコード屋で確か 1,800円で買ったものです。私が買ったモンクのアルバムとしても 2枚目 (*1) でした。すでにその頃、初心者には嬉しい OJC なる LP リイシューの存在も知っていましたが、ジャケットを見る限り OJC の方はモノーラル。たまたまステレオ盤の中古を安く見付けたのでそちらを買ったというわけです。ですから、私にとっては長らく、“Monk's Music” といえば、このハチャメチャっぷりが更に増幅された音が楽しめるステレオ盤を意味していました。ステレオ盤に入っていない B面ラストの “Crepuscule with Nellie” も、やはり OJC から出ていたアルバム “Thelonious Monk with John Coltrane” (オリジナルは Jazzland レーベル) で聴けたステレオバージョン (“Monk's Music” 収録のものとは別テイク) で長らく親しんでいました。 モノーラル盤を初めて聴いたのはその約2年後、確か日本盤 CD だったのですが、そのあまりの録音の違いに愕然としたことを覚えています。
(*1):
私が生まれて初めて買ったモンクのアルバムは、当時 CBS から出ていたディジタルリマスターの編集盤 LP “Standards”。Columbia 時代のソロピアノを中心にまとめあげたものですが、実はこれが私が生まれて初めて買ったジャズのレコード 2枚のうちの 1枚でした。もう 1枚はエバンスの “Alone” のポリドール盤。クラシックピアノを少し前まで習っていた当時の私は、とりあえずピアノを聴けば少しはジャズが分かるかも知れない、と思って、なにも分からないままこの 2枚を買ったのでした。
その後随分たってから、ステレオオリジナル盤 (ジャケット表に金色のシールが貼り付けられたタイプ) も買いましたが、しばらくして売り払ってしまいました。その頃にはもう、このステレオ盤の常軌を逸したミックスのことを、愛情を込めて「ハッタリステレオ」 (疑似ステレオではありません、ハッタリステレオです) と呼んでいましたから。けれども、私にあのハチャメチャセッションの醍醐味を初めて教えてくれた Orpheum ステレオ盤への愛着はたちがたく、そちらは今でもレコードラックに残っているというわけです。
オーディオ的な意味で真に「ステレオフォニック」な素晴らしい録音の LP や CD をいろいろ聴いてきた今、このハッタリステレオ盤が 1957年6月にステレオ録音エンジニア Ray Fowler によって一体全体どうやって作られたのか、冷静に分析してみることにしました。(*2)
(*2):
あ、念の為、私はこのステレオ盤、今でも大好きです。ただし、「素晴らしい」という意味での好きではなくて、「おもしろおかしい」という意味での好きですが。
少し古い音楽が守備範囲の音楽ファンの間では、いまだにアナログレコードをメインに聴く方が少なくありません (私もそのひとりですが)。いわゆる「名盤」と呼ばれるアルバムは、過去に何度も LP や CD で再発されてきていますが、それでもファンは当時リリースされたオリジナル盤と呼ばれる古いレコードを血眼になって探し、時には (常人には理解不能な程の) 大枚をはたいて手に入れようとすらします。
Analog records are still main source for listening, for many of music fans who like old recordings (I am one of them of course). So-called “masterpiece albums” has been reissued so many times in various formats like LP and CD, but such people will try to find old original pressing LPs and pay so expensive money for them (ordinary people will be surprised to know how expensive the original pressings are in the vintage market).
その原動力は、「もっと良い音で聴きたい」という一点に集約されるでしょう。録音されたばかりのマスターテープを使って、当時の機材で、実際に録音をプロデュースした人やミュージシャンの意見をとりいれつつ音決めを行い、カッティングされ、プレスされた当時のレコード。再発盤LPや日本盤、リマスターCDでもかなわないことの多い、そのオリジナル盤の音の素晴らしさはしばしば「鮮度」「過渡特性」「エンジニアの音」「時代の音」といったタームを使って説明されます。確かに、サーフェスノイズやスクラッチノイズの彼方から、とほうもない音の魔力が襲ってくるかの様なレコードは枚挙にいとまがありません。その代わり、アルバムによっては、常人には理解できない程の高額で取り引きされている盤も少なくないのですが . . .
In short, the primary motivation toward original pressings would be “the thirst for better sound quality” - they were cut and pressed from very fresh master tapes, using equipments at the time of the recording, by including the preferences and concepts of producers, engineers and (sometimes even) performers. Many of such original pressings surely sounds far better than later LP reissues and remastered CD reissues. The greatness of the sound of original pressings is sometimes referred as “freshness”, “better transiency”, “the sound of the engineer”, “the sound of good old days”, etc. Actually, we can easily count so many vintage albums which sounds superb beyond surface/scratch noise - they really have fascinating power of sound. On the other hand, such albums costs too expensive, and beyond ordinary people's common sense.
そんな中、ごく稀に、オリジナル盤LPは余り欲しくないと思える盤、のちにリリースされた CD を持っていれば (文字通り) 充分だ、と確信を持って言える盤があります。
However on the other hand, I sometimes encounter a rare example (although there are few) - an album of which I don't necessarily want an original pressing. In such case, a certain CD reissue is (literally) enough for me for sure.
( . . . the rest of the English edition will (hopefully) be available in the near future . . . )
私が Jazz を本格的に聴き出した 1989年からお世話になった OJC (Original Jazz Classics) の再発 LP 達。当時大学1回生だった私は、大阪梅田のレコード屋さんで、1枚1,200円から1,400円という非常にお買い得な値段に惹かれて、多数の OJC 盤を買い求め、Riverside、Prestige、Contemporary、Fantasy といったレーベルの再発盤を楽しんでいました。
その後、大学院生の頃にアルバイトをしていた某レコード輸出入卸会社で、社員価格 700円 (要するに卸値ってことでしょうかね) で買える事を知るや、OJC の購入は更に加速していきました。
1万円のオリジナル盤を 7枚買うより、700円の OJC を100枚買う方が、自分の音楽的嗜好を広げ、知識を蓄積する上でどれだけ役にたったことか。
当時既に OJC の CD リリースも本格的に始まっていましたが、下宿先にはアナログプレーヤーしかなかった (笑) こともあり、ひたすら LP イシューでのみ買い続け、いろんなミュージシャンの演奏を日々楽しみ覚えていきました。何度も聴きまくってノイズが増えてしまい、買い直した盤も何枚かあったっけ。 OJC-655 (Portrait of Sonny Criss) を最後に LP リリースが終わってしまった時は残念だったなぁ。
僕にとって Jazz 入門時にとてもお世話になった OJC の LP 達。去る 1月末に、他のダブり盤と一緒に、とうとう某中古レコード屋さんに売りに出してしまいました。買い取り価格は当然安かった (どの盤も200円から350円の間でした) のですが、収納スペースに乏しい現在の住居では致し方ありません。それに、ほとんどの盤は飽きる程聴き込みましたし、どうしてももう一度聴きたい盤があったとしても、その都度中古で買えばいいだけですし。 お勉強代としては安かった というものです、はい。
今まで本当にありがとう、OJC の LP 達。新しいオーナー達のところで、また活躍してあげて下さいな。
