The Beatles From Liverpool To San Francisco

昨日 6月25日は WOWOW にて、来日40周年記念と銘打ってあれこれ Beatles 関連の放送があり、ハックに行き詰まりイライラとしていた私はリビングでボーッと観てしまいましたが。

例の「Concert For Bangla Desh」、過去に何度観たか分かりませんが、 Klaus Voormann のベース、Jim Keltner のドラムスが、 このコクのあるリズムを底辺で支えていることを再確認。

全曲やってくれるのか? という淡い期待を見事に粉砕された 「Live In Washington D.C. 1964」 は余りにも期待外れでしたが (たった 3曲だけかよ?!)、意外や意外、その直前に放送していたドキュメンタリー 「From Liverpool To San Francisco」 は、全然違う意味で見どころがありました。 本ドキュメンタリーでは、演奏シーンは一切出て来ず、 主にインタビューや報道フィルムなどで構成されているのですが . . .




まずこの映像。1964年2月末、アメリカツアーから帰国したばかりの 4人が空港に降り立った直後のシーン。


[Beatles Return To London]

お、Paul が脇に抱えているのは、 Major Lance のベストアルバム 「Um, Um, Um, Um, Um, Um – The Best Of Major Lance」 (Okeh OKM-12106) じゃあーりませんか。


[Um, Um, Um, Um, Um, Um]
(オリジナル盤LPを所有していないので、某所から拝借した画像で . . . 失礼致します)

Impressions 在籍中の Curtis Mayfield が、Major Lance というヴォーカルを得て その才能を全開させたこの時期の録音は一曲として外れがなく、全てが素晴らしい出来。 R&B/ポップチャート両方で当時ヒットした「Um, Um, Um, Um, Um, Um」、 「Monkey Time」をはじめ、 「That’s What Mama Say」、 「Hey Little Girl」、 「Mama Didn’t Know」 「Think Nothing About It」 などなど (挙げるとキリがないねホンマに)、弾ける様に楽しく同時にコクのある極上の (イギリス風に言えば) ノーザンソウル。 それを支えるバックのスタッフは、当時 Okeh が揃えた腕利きの ミュージシャン達。作曲、ギターの Curtis Mayfield はもちろんのこと、 Maurice White (ds)、Louis Satterfield (b) なんて意外な名前も (もちろん後の Earth, Wind & Fire のあの二人です)。 そのほか Al Duncan (ds)、Floyd Morris (p) なんて渋いメンバーも。

このアルバムをアメリカで買ってきた Paul を含めた 4人にとって、 このサウンドはどう聴こえ、そしてどう影響を受けたのか、考えを巡らせてみるのも面白いでしょうね。

手元にあるのは 2枚組 CD。 Curtis Mayfield にハマりだした頃 (10年程前?) に新譜で購入したものです。 これひとつで Major Lance 全盛期のほぼ全体が一望できる、好編集盤です。音質もグー。 けど、この辺りの基本アイテムは、いつかちゃんとシングルで揃えたいよなぁ . . .


[Everybody Loves A Good Time!]

Everybody Loves A Good Time! – The Best Of Major Lance
(Legacy / Epic E2K-66988)



続く映像は、同じく1964年。6月に開始されたワールドツアーを前に、Ringo が扁桃腺及び咽頭炎を悪くして入院する直前のインタビュー。


[Ringo Talks Favorite Artists]

入院中にどうやって過ごすか、と聞かれた Ringo が「テレビを観たり、本を読んだり、それにレコードも持ち込んで聴けるしね」と答え、どういうアルバムを聴くのか、更に問いかけられたときのシーン。

Bob Dylan」と「The Supremes」は、まぁ予想範囲内ですし、続く「James Brown」も彼ら (というか Ringo) ならアリですね。実に面白く興味深いのが、その次に Ringo が挙げた 2人の名前。

Yusef Lateef」それに「Chico Hamilton」ときましたよ旦那! Chico Hamilton は同じドラマーだから分からないでもないですが (しかしなぜ Ringo にとっては Chico なんやろう?)、Yusef Lateef の名前はかなり意外かも。とはいえ、この 2人の名前を口にする時の Ringo の表情は、「(どうせあんたらには分かんねぇだろうねぇ、ケッ!)」みたいな感じなので (あるいはジョークの照れ隠し?)、口からデマカセなのかも知れませんが。

それはさておき、素直に考えると Ringo の口から「レコードを持ち込んで」と聞けるので、自分で買って持っているアルバムってことですよね。さて、Ringo がこのとき念頭に置いていたアルバムって、どれなんでしょうね? Chico は恐らく「Man From Two Worlds」(Impulse! A-59) 辺りじゃないですかねぇ (特に理由はないけど、なんとなく)。


[Man From Two Worlds]
(こちらは手持ちのオリジナルステレオ盤のジャケットからスキャン . . .)

Yusef Lateef の方はどれだろう? やっぱり時期的には New Jazz / Prestige / Moodsville 時代か Impulse! のアルバムかなぁ。 「Into Something」とか? はたまた「Psychicemotus」とか?! (時期的にそれはないか)。ということで勝手に「Eastern Sounds」ということにしておきましょう . . . ?? (特に意味なし)。ということは RingoLex Humphries のドラミングに「うむうむ」と聴きホレていたということになるのか?? (更に謎) いや、このアルバムだったら、むしろ Jazz として聴いていないんやろうな (というかもうええって)


[Eastern Sounds]
(手元には OJC の CD しかないんですわ)



. . . とまぁ肝心の 4人そのものでないところに反応してしまいましたが、非常にバランスのとれた、良心的なドキュメンタリーではありました。あとで気づいたのですが、DVD でも販売されてたんですね、これ。まぁ、買う程のものか、という気はしないでもありませんが、一度は観ておいて損はありません。

のちに当時を振り返って語る本人達ではなく、間違いなくその当時の本人たちの口から直接語られる意外なことばの数々。ディープなマニアでも再発見することがひとつやふたつはあるかもしれません。


Leave a Reply

Your email address will not be published.