Beyond The Little Willies (5) : I Gotta Get Drunk

. . . this article deals with The Little Willies’ newest album, as well as original performances they covered on the album. Currently available only in Japanese . . .

Little Willies のアルバム でカヴァーされた楽曲のオリジナルバージョンを探訪する本企画。

  1. Night Life / Ray Price” (CD track 12)
  2. Roly-Poly / Bob Wills” (CD track 1)
  3. I’ll Never Get Out Of This World Alive / Hank Williams” (CD track 2)
  4. No Place To Fall / Townes Van Zandt” (CD track 6)

ときまして、今回はアルバムの 8曲目、ふたたび大御所 Willie Nelson 作曲の “I Gotta Get Drunk” です。最初にヒットしたのは1963年リリースの Joe Carson バージョンのようです。




[Liberty 55578 Side-A]      [Liberty 55578 Side-B]

I Gotta Get Drunk (And I Shore Do Dread It) c/w Who Will Buy My Memories
/ Joe Carson

(Liberty [US] 55578)

テキサスのローカルシンガーだった Joe Carson を一躍全国区のヒットシンガーにしたのは、Willie Nelson 作曲の “I Gotta Get Drunk”。それにより、Joe Carson がそれまでに CapitolMercuryD といったレーベルを転々としつつ吹き込んできたシングルへの評価が高まろうとしていた矢先、あっけなく自動車事故により27歳で夭折してしまったんだとか。現在では「伝説のカントリー/ホンキートンクシンガー」としての評価が確立しているようです。

それにしても、アメリカには将来を約束されていながら自動車事故で命を落としたアーティストがどうしてこうも多いんでしょうね . . . さすがは広い国土の自動車大国、という一言で済ませるには惜しいほど、あまりにも多くの才能が失われている様に思ってしまいます。

さて、本題の “I Gotta Get Drunk” (And I Shore Do Dread It)”。まず、バックの演奏のユニークなアレンジに耳を奪われます。なんというか、ツイスト系の乗りとでもいうんでしょうか。この絶妙にアカ抜けたアレンジと底なしのノリが、この演奏のキャッチーなイメージを決定づけています。ただ、現代の耳からすると、やや古くさいアレンジに聴こえてしまうのが少しもったいないという印象もあります。もちろん私にとってはこのシングルを聴くのは今回が初めてのこと、カントリーフリークの方々にとっての印象とは異なるかも知れませんが、そこは御了承下さい。

そのキャッチーなアレンジの上で自由奔放に歌いきる Joe Carson のヴォーカルは、これはもう素晴らしい。完璧なコントロールでもって、オクターブを自由に上下させながら、強弱、ヴィブラートも見事で、このシンガーの評価が高いのもうなずけます。

B面 “Who Will Buy My Memories”Willie Nelson 作曲のナンバーで、こちらはスティールギターの響きが特徴的なカントリーバラード。やはり Joe Carson の完璧な歌唱が光る出来です。




さて、作曲者である Willie Nelson 本人は、本格的なソロ活動を開始した 1970年代以降、この “I Gotta Get Drunk” をアルバムで再録したほか、ライブでも幾度となく演奏していました。ここで取り上げるのは、2003年にリリースされた 1961-1966年のデモ録音集に収録されている、最も古い作曲者自演テイクです。心地よいホンキートンク風のシャッフルビートに乗り、デモ録音とはいえ実にゴキゲンな演奏で、彼の底知れぬソングライティング能力の一端を垣間見るような気持ちにさせられます。

[Greatest Hits & Rare Tracks]

Crazy – The Demo Sessions / Willie Nelson
(Sugar Hill [US] SUG-CD-1073)



Little Willies のバージョンでは、意表をつく超アップテンポのアレンジで、この楽曲に新しい魅力を付加しています。Norah Jones のヴォーカルも、いつもの歌詞の一行一文を噛みしめながら歌い込むといったものではなく、このアップテンポにあわせて吐き捨てる様にざっくざっくと歌っていきます。バックの演奏も実にタイトで、バンドの一体感が伝わってくるかの様。同時に、軽やかに転がる様なシャッフル系のニュアンスも絶妙にブレンドされていて、これは心地よい。Joe Carson バージョン、Willie Nelson バージョンと比較してどうの、とかではなく、Little Willies の楽曲として評価できる、良い演奏です。

ここまで聴いてきた 5曲の中でも、原曲とほぼ同じテンポ/アレンジでカヴァーしたもの、あるいは原曲のアレンジを大幅に変えて別の曲に仕立てあげたもの、という二パターンがありましたが、やはり後者の方が Little Willies というバンドの本領を発揮するには効を奏しているように思えます。



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