78rpm Record Concert at Minton House, Nishi-Ogikubo

うちから自転車でたったの10分。こんな近くに、こんないい場所があったなんて。

誘って下さった瀬谷さんありがとうございました。


[Minton House, Nishi-Ogikubo, Tokyo]

JR 中央線西荻窪駅からほど近いところにあるライブハウス。その名は ミントンハウス

ライブスケジュール をご覧頂ければ分かる通り、ディキシー・トラッド・ホットスウィングなど、プレモダンの良質なジャズバンドのライブがほぼ毎日のように開催されているという貴重なライブスポット。右も左もモダンばかりで食傷気味なジャズファンにとっては (笑) 砂漠のオアシス、救世主的な存在といえるでしょう。

私が伺った日というのは 8月23日 (木)。この日はバンドによるライブではなく、ポータブル蓄音機による SP レコードコンサートでした。前半は Blue Note 12インチ SP 盤特集 (?)、後半は Commodore 12インチ SP を中心としたアラカルト。この日 DJ をなさったのは、 阿部寛トリオなどでベースを弾いておられる 小林真人 さん。プロのミュージシャンでありながら筋金入りの SP コレクターというとても面白い方でした。


[Minton House, Nishi-Ogikubo, Tokyo]

ポータブル蓄音機の音を 2時間にも渡ってじっくり聴くのも生まれて初めてですし、この日にかけられた音楽をじっくりと聴くのも生まれて初めて。うちに日本盤の LP 復刻とかあるので聴いてはいるんでしょうが、ここまで一音一音に「集中」して聴くことが出来たのは、やはり SP というメディアならではなのかもしれません。


[Minton House, Nishi-Ogikubo, Tokyo]

ミントンハウスのオーナー、福元さんは、ずっとゴキゲンな表情で小林さんのアシスタントをされていました。当日は、ポータブル蓄音機が 2台用意され、一方で再生をしている間に、もう一方の蓄音機の鉄針を交換し、SP をセットし、ゼンマイをせっせと巻き . . . という作業が絶え間なく行われ、そうか 電気がきてなくても音楽は聴けるんや と意味の分からないところで感心してしまったり (笑) 音はさすがに低域は弱くて高域はキンキン、長時間聴き続けるとやや耳が疲れてきましたが、それでも体験できたこと自体は個人的には貴重なものでした。


[Minton House, Nishi-Ogikubo, Tokyo]

最後に唯一撮影した映像を。前半のピアニスト特集しょっぱな辺りの “ Holler Stomp / Pete Johnson” (Blue Note 12) がかかった時のものです。このブギウギピアノだけに限らず、戦前のブルーノートの素晴らしさに改めて気付かされたわたくしでありました。

熱く語る小林さん、せっせと鉄針交換とゼンマイ巻きに余念のない福元さんを始め、気持ちよさそうに聴き入る瀬谷さん柳澤さん阿部さんやその他の皆さんなどもバッチリ写っております (笑)



この映像を見ていただくと分かると思いますが、面白いことに 12インチ SP は長い と思ってしまいますね (笑) たった 4分強なのに。これはブギウギピアノソロだからではないと個人的には思います。もちろん演奏形態や楽曲の構成にもよるんでしょうが、たった 3分だの 4分だのといった短く限られた時間内であっても、最初から最後まで一瞬の隙もなく充実感を与えてもらえる。きっと SP というメディア華やかなりし時代はそういうものだったんでしょうね。

10 thoughts on “78rpm Record Concert at Minton House, Nishi-Ogikubo

  1. お疲れ様でした。ライブより早く終わったというので、一杯飲みに・・・、結局TX の最終でした。
    >音はさすがに低域は弱くて高域はキンキン、長時間聴き続けるとやや耳が疲れてきましたが、
    今回かけたブルーノートは録音が40年前後、やはり蓄音機では無理があります。
    やはり、アコースティック録音のODJB あたりを楽しむのが本来の聴き方なんでしょうね。
    イコライザー的には、演奏中にふたを閉めると、高域が減衰し、ちょうど良いカーブになると思います。低域も少しは稼げると思いますが、少しこもったように聞こえるので、開けて聴く人が多いようです。 スピーカーの後面解放のような感じかな。
    今回の卓上は、ヴィクトローラのコピー品でしたが、本物のV1-90 で聴くと、これでいいかぁと思うくらい素晴らしい音ですよ。

  2. > 一杯飲みに・・・
    それだったらお付き合いさせてもらえばよかったですね (笑)
    > やはり、アコースティック録音のODJB あたりを楽しむのが本来の聴き方なんでしょうね
    それは未体験ですが、いつか機会があれば . . . .
    > 本物のV1-90 で聴くと、これでいいかぁと思うくらい素晴らしい音ですよ
    興味あります (笑)
    けど、普段の何十倍もの針圧をかけるとなると、心の準備も必要かもしれません (笑)
    蓄音機愛好家の皆さんには笑われてしまうかもしれませんが。

  3. ただ一言、
    釘付けになってしまいました。
    良いものを見せて頂き、ありがとうございました。

  4. 類似コラーニさん、楽しんで頂けた様で光栄です。
    オーディオ的ネタはほとんどない本サイトですが (ひぃ〜!)、またお越し下さい。

  5. 今日は見せて頂いたVを頼りに、再生系を調整してみました。
    当方は当然電気再生でして、カートリッジはShaolinさんもお使いの国産品ですが、あるトランスを使ったら、不思議な現象が起こりました。
    音の鮮度はそのままに、カドがとれてふわっとした羽毛のような感触が得られ、高域がさらさらとしつつも、スクラッチがほとんど気にならないんです。
    ぼくは、SP本来の音がどんなものかまだ自分の中に基準が無いもので、好き勝手にやっておりますが、少なくとも今まで聞いてきたLPの音とは、全く次元が異なるものである、ということが分かって来ました。
    もう少し時間をかけて、様子を見てみたいと思います。

  6. 瀬谷さんへ
    会の方へお伺いしたいとメールしたのですが、届いていますでしょうか?
    メールが届いていないと方々で云われてしまったので、こちらをお借りしてご連絡させて頂きます。

  7. > 音の鮮度はそのままに、カドがとれてふわっとした羽毛のような感触が得られ、
    > 高域がさらさらとしつつも、スクラッチがほとんど気にならないんです。
    とっても良さそうな感じの音なのでしょうね。素晴らしいです。
    ほんと、適切と思われる再生環境で SP を聴かせてもらうと、スクラッチノイズが
    ふつふつといった感触になり全然気にならず、いちばんおいしい中域がとても豊かに
    かつ力強く聴こえてくるんですよね。
    残念ながら、うちの環境ではまだまだそうはならないので (涙)
    高域アッティネータを若干しぼって、あとは脳内イコライジングに頼るしかないのですが . . .

  8. 瀬谷さん、いよいよ今月ですね。
    私が参加できない理由である例の件ですが、9/12 予定が 9/4 になったため、
    もしかしたら行けなくはないかも、と思い出していますが (笑)
    こればっかりは予定がまだ未定なので、明言はできず残念です。
    ともあれ、良い20周年になりますよう、祈っております。

  9. ひぃ〜さん、こんにちは。
    メール、私のところには届いていません。予約リストに入れておきますので、よろしくお願いします。
    Shaolinさん、こればかりは神様に任せるしかないですね。
    行けるように祈りましょう(笑)
    類似コラーニさん、初めまして。
    良い演奏はスクラッチがまったく気にならないが、つまらない演奏の時はスクラッチが気になると云います。がんばってください。

  10. 瀬谷様
    初めまして。SP再生に関しては本当に始めたばかりでして、手探りの状態です。
    でも、先達の方々がなぜあれほど礼賛するのか、やっと分かり始めたところです。
    いつか機会がございましたらぜひともご指導頂きたく、今後とも何とぞ宜しくお願い
    申し上げます。

Leave a Reply to 類似コラーニ Cancel reply

Your email address will not be published.