ジャケットは同類(数学と化学)だけど。
どちらも(わたしの大好物な)ボーダーレスな音楽だけど。
それぞれ、方向性が全く異なるのが面白い、2作品です。
ジョン・ゾーン (John Zorn) の Calculus (2020, Tzadik) 。
こちらは、伝統的フリージャズ(ってなんじゃそりゃ)の延長線上にあるように思わせておいて、突然現代音楽風になったりハードバップぽくなったりラウンジミュージックぽくなったり、と、静と動の対比が美しい作品。
これ、全てアドリブじゃなくて、譜面通り弾いてるんでしょうね。
ほぼ全ての Tzadik 作品に共通する、生々しい録音とミキシングも好印象。
演奏はブライアン・マルセラ・トリオで、御大はいつものように作曲、アレンジとプロデュースのみ。
Brian Marsella(p) Trevor Dunn (b) Kenny Wollesen(ds) Recorded at Oktaven Audio in Mount Vernon, NY on January 10, 2020. Recording Engineer: Ryan Streber
一方、Wollny – Parisien – Lefebvre – Lillinger の XXXX (2021, Act) 。
こちらは、8時間に及んだ完全即興演奏をジェイソン・キングスランドが10曲45分に編集したもの。
ボーダーレスな活躍で有名な4人による、もはやジャンル分け不可能な秀逸の演奏群。どこまでも気持ちいいです。
なお、タイトルの XXXX は “eXplore / eXpand / eXploit / eXterminate” という意味だそうで。
このアルバムは LPも出ている ようなので、機会があれば入手してみようかな。
Michael Wollny(p, el-p, synth) Emile Parisien(ss) Tim Lefebvre(el-b, electronics) Christian Lillinger(ds, perc) Recorded live at A-Trane, Berlin in December 2019. Recording Engineer: Gleb Zagrebin
どちらの作品も、聴き込めば聴き込むほど新しい発見がある、スルメ的アルバム。
しばらく楽しめそうです。