動ク Francois 樣

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昨年リリースされたのを数ヵ月前に知ってから,ずっと欲しいと思っていた DVD. 愛しの Samson François 様 の映像ですから.

特に「左手」.フランソワの代表的名演の一つと言える アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団との録音 (1959年) の LP は愛聴盤で,この前 茶魔 から,デュトワ指揮モントリオール交響楽団,ロジェ (1982年) の CD を貸してもらい,更に先日某店頭でアバド指揮ロンドン交響楽団,アルゲリッチの CD を聴いたので,これが 4つめの演奏となります.

演奏している皆さん,というか,指揮者のフレモーさん,フランソワさんの変幻自在のペースにあわせるのが相当辛そう.フランソワさんも多少のミスタッチと一部ぎくしゃくした部分あり,周りにお構いなしで,いつもの様に自分だけの空気の中で演奏してはります.しかし,そんなものをもろともしないこの魅力はいったいなんでしょう.

クラシックと他ジャンルをいっしょくたにするのが無茶苦茶であることを承知の上で,フランソワさんは希代のスタイリスト (いかなる演奏でも,一音だけで演者が特定出来てしまうという意味で) だということなんでしょう.正統的な楽曲解釈に基づいた模範的な演奏 とは決して言えないフランソワさんの演奏.けど,クラシックどっぷりでは決してなくむしろ門外漢の私にとっては,演奏技術がどうのとか解釈がどうのとかいうことはもはやどうでもよくて,最も魅力を感じるものであるのは間違いありません.

しかし,映像というメディアのこの説得力はやはりもの凄いものがあります.この手の古い (1964年収録) 映像に付属する音声としてはかなり良好な部類 (モノーラルですが) に属しますが,ミキシングがけっこういい加減で,実際のオーケストラのバランスを無視してピアノの音が余りにも前面に出てきています.けれども,動くフランソワさんとあわせて見るだけで,こんなにも引き込まれてしまうとは.

グリーグのピアノ協奏曲の他にボーナスとラックとして収録されている,弱冠18歳のポリーニさんによるショパン前奏曲もこれまた必見.

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