Funk Power 1970: A Brand New Thang

(本エントリは、私が別の web に 2004年 7月12日付で掲載していたものを転載したものです)
(this entry was originally made public at my another web site on July 12, 2004)

Foundations of Funk と同じく, CD リリース当時 (1996年頃) に web に載せていた文章.8年前のレビューなので,内容が古くなっているところもあるかもしれません.




[JB]
Funk Power 1970: A Brand New Thang / James Brown
(Polydor 314 531 684-2)

やっぱり出ました! “Foundations of Funk” の続編!

今回は,1970年初頭に Maceo Parker, Fred Wesley 以下有力なメンバーが殆ど去ってしまった(詳細はライナーノーツ参照)後に,JB の重要な1時代の音を担った オリジナルJB’s がバックを担当した,1970年〜1971年の音源です.

もともと,Bootsy / Catfish の Collins Bros. が在籍していたこの時期のスタジオ録音はさして多くなく,コンピを作るには絶好の素材であると思いますが,こうやって実際に纏めてリリースされるのは恐らく今回が最初で,しかも,丸でオリジナルアルバムであるかの様な見事な纏まりが非常に印象的です.

  1. 既発シングルバージョンと同じ (正確にはシングル用バージョンの完全版).
  2. 恐らく LP “Super Bad” に収録されているものと同一の, 9分以上に及ぶ完全版.
  3. Motherlode” 収録のものの別ミックス.
  4. “Sex Machine” 所収のものからオーバーダブを省いた オリジナルバージョン. “In The Jungle Groove” 収録バージョン より若干長い(ブレーク部分が補修されている).
  5. 完全未発表バージョン! “In The Jungle Groove” には “I Got To Move” が収録されているが,オリジナルの “There Was A Time” から “I Got To Move” へと変化していく 正にその過程がうかがえる.録音時期も “I Got To Move” より 少し前となる.
  6. Star Time” のバージョンより相当長い完全版.まさか 完全版が 14分以上もあったとは想像だにしていなかった….
  7. これも既発バージョンより長い完全版.
  8. In The Jungle Groove” にもリミックスとして長いバージョンが 収録されていたが,これが本当の完全版.12分以上にも及ぶ.
  9. LP "Sex Machine" 所収の疑似ライブからオーバーダブを 取り除いた,いわゆる LP バージョンの完全版.
  10. 最近リリースされた Bobby Byrd のベストにも彼の録音が 収録された,当時の麻薬撲滅キャンペーン用のアルバム用の録音. 惜しいことに,CD の規格外の最外周に収められているため, 少々再生が不安定ではある.

この時期の音は,言わずと知れたことですが,とんでもない程のグルーブを叩き出す Bootsy Collins のベースと,痙攣を起こしそうな 程鋭いカッティングを生み出す Catfish Collins のギターに尽きる でしょう.

5. を“Foundation of Funk” 収録の “There Was A Time” と比較すればすぐに分かりますが,以前はギターとホーンとドラムスが一体となってグルーブを作り出していたのに対し,このバージョンでは Bootsy のベースが全てのグルーブを生み出し,そこにギターやドラムスが華を添える,といった感じになります.どちらも捨て難い魅力がありますが,いづれにせよ,この時期 JB は正に絶頂期に あったことだけは間違いありません.

過去にリリースされた各種編集盤を軽くしのぐ,これぞ正しく決定版と呼ぶに相応しいアルバムです.このアルバムと組になる “Foundations of Funk” と “Make It Funky” を揃えれば,あとはアンソロジー “Star Time” だけあれば JB のほぼ全キャリアを総括出来るほどの必聴盤です!

けどねぇ,Polydor さん,我々はまだまだ満足していませんよ!ここに収録された楽曲以外にも,完全バージョンで聴きたい曲は他にいっぱいあるんですから!


Similar Posts / 関連記事:

Some similar posts can be found on this website (automatically generated).

  • Foundations Of Funk: A Brand New Bag: 1964-1969 (2004/07/11)
    (本エントリは、私が別の web に 2004年 7月11日付で掲載していたものを転載したものです) (this entry was originally made public at my another web site on July 11, 2004) 某所 にて,昔よくメールのやりとりをさせて頂いた 佐藤さん (恐らく日本一,世界でも有数の JB コレクターでしょう) と思いがけず再会. 以下,その頃 Geocities に持っていた個人サイトに載せていたレビューをそのまま再掲します.もともと 1996年に書いたもので,内容的に古くなっている箇所もあるかもしれません.…
  • Make It Funky – The Big Payback: 1971-1975 (2004/07/12)
    (本エントリは、私が別の web に 2004年 7月12日付で掲載していたものを転載したものです) (this entry was originally made public at my another web site on July 12, 2004) Foundations of Funk, Funk Power と同じく, CD リリース当時 (1996年頃) に web に載せていた文章.8年前のレビューなので,内容が古くなっているところもあるかもしれません.というか,どれもこれも今読むとちょっと「イタい」文面ですが,ご勘弁を.…
  • James Brown Live in Virginia 1970 (2016/02/29)
    ジェームス・ブラウン (James Brown) のものすごい音源が、公開されています。 James Brown‘s amazing recording is available here.   1970年(月日不詳?)、バージニアでのライブ音源です。音質はかなり悪いですが、内容の濃さと興味深さがそれを補って余りあります。 According to the video description, it is from a live concert in Virginia, 1970. Although its sound quality is far from good, intensity and excitement of the performance itself is like “out of this world”.   あの1960年代後半の黄金期を支えたバンドメンバーの大半が1970年3月9日に脱退し、同じ日に呼び寄せられたペースメーカーズのブーツィー (William “Bootsy” Collins) とキャットフィッシュ (Phelps “Catfish” Collins ) など若手が加入後、さほどたっていない時期の音源ではないかと思われます。とはいっても、ソングリストに「Super Bad」が入っており、この曲のスタジオ録音は1970年6月30日(ナッシュビル)ですし、イントロのダニー・レイ (Danny
  • サイモンガー・モバイルを聴かずして死ぬべからず (2015/06/08)
    さまざまな愛聴曲(?)溺愛曲(?)を持つ、7歳の娘が、最近別次元で完全に虜になっている音楽があります。 サイモンガー・モバイルです。マジで毎日鼻歌うたってます(笑)ソウル好き、ファンク好きはもちろんのこと、あらゆる音楽ファンにおすすめです。
  • Get On Up: The James Brown Story (Original Motion Picture Soundtrack) (2014/08/05)
    It’s a real pity – we can’t see the movie until next spring in Japan – get on up! All I can do so far is to listen to the Original Soundtrack album, watching the official trailers, seeking and reading the reviews online, etc… 日本では、来春公開予定とのこと。。。とても待ちきれません。サントラCDを聴いたり、予告編を観たり、オンラインでレビューを探して読みあさったりが関の山。       Here’s the quick review (in Japanese) by “Mr. Soul Searcher” Masaharu Yoshioka-san: Soul
  • I Got The Feelin’ – James Brown In The ’60s (2009/03/30)
    1968年4月5日、伝説の Boston Garden ライブ、ついに公式リリースされました。本当はもっと早くに載せたかったのですが、ここを更新する時間的・気分的余裕がなくて、こんなに遅くなってしまいました。それはさておき未見の方には文句なし、「これを観ずして死ねるか」レベルでおすすめです。。。

Leave a Reply

Your email address will not be published.