Touch The Sound / Evelyn Glennie

… this article is my impressions of the movie “Touch The Sound”, a very impressive documentary film with full of fine improvisation music, pictures, and the sound experience. And the English version of this article will not be available.

土曜の昼間っからいい気分になった 後、京王井の頭線に乗り、渋谷へ向かう。

前々からずっと気になっていた映画 (ドキュメンタリー) を観にいくために。

[Touch The Sound]

Touch The Sound
(2004, Germany)

映画が始まって 10分後か15分後あたりで、あの事実はいともあっさりとインタビューの中で彼女自身の口から触れられます。誰もが気になってしまうその事実、観る前からどうしても頭の片隅に予備知識としてのさばりバイアスをかけようと挑んでくるその事実。しかし、この映画の中では、その事実はどうでもいいことなのです。

Evelyn Glennie さんが音をどの様に感じ、どの様に触れ、どの様に聴いているか。彼女自身が語る場面が随所に挿入されますが、過度に説明的なシーンはほとんどなく、美しい映像とによって、彼女の感性が次々と表現されていく99分間。 彼女を通して描かれる、「聴く」という事の意味、奥深さ。頭でっかちな説教じみた展開を一切使うことなく、そのデリケートなニュアンスをふつふつと紡ぎ続けます。

あの Fred Frith との、ドイツの廃工場でのレコーディングセッションを中心に、スコットランド、ニューヨーク、富士や京都でのバラエティに富む演奏シーンを通じて、「聴く」という能動的で主体的な行為と感覚を体で感じさせてくれる圧倒的な映画。

99分後、映画が終わったあとに、体中の五感が研ぎ澄まされた様な感覚に陥ります。 そして、映画館を出て、雑踏の中をとぼとぼと渋谷駅に向かうその時に既に、自分をとりまいていた様々な色や音や気配が敏感に感じとれているかの様な錯覚すら覚えます。静寂という音すら、雑踏の喧騒すら、全てを楽しんで感じ聴くすべを教えてもらった様な気分にすらなります。まるで体全体が耳であるかの様な。

普段、レコードやコンサートを通じて音楽を「聴いて」いると思っていたのに、我々はそれらのごく一部分しか享受していなかった、という事実に気付かされもしました。「聴く」という意味を広げさせてくれる、あるいはそのきっかけを与えてくれる、とてもいい映像詩であり音楽詩でした。




Directed by Thomas Riedelsheimer.
Music and Performance by Evelyn Grennie, Fred Frith, Horacio ‘El Negro’ Hernandez,
Ondekoza (鬼太鼓座), This (Masa x Saikou), and many more.

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