Going To The Movies with The Jerome Richardson Quintet

(本エントリは、私が別の web に 2004年 8月 2日付で掲載していたものを転載後加筆訂正したものです)
(this article is a brief review of Jerome Richardson’s nice LP on United Artists label, and it was originally made public at my another web site on August 2, 2004. English version of this article (probably) will not be available.)

最近某所の某コミュニティで Jerome Richardson が静かなブームになっているので、今回はこれを紹介。あっちにも全く同じものを書き込みましたが、まあいいことにしときます(笑)

[UAJ-14006 Front Cover]      [UAJ-14006 Back Cover]

Going To The Movies with The Jerome Richardson Quintet
(United Artists UAJ-14006)

「リーダ作には駄盤が多い」だの「スタイルの手をひろげすぎ」だの、時にひどい言われようを耳にすることもある Jerome Richardson さんですが、決してそんなことはないことくらい、何枚か聴けば分かるはず。リーダー作としては “Roamin’ with Richardson” (New Jazz 8226) あたりが最も有名でしょうが、今回とりあげたこの盤でも Richardson さんの最良の演奏の一つを楽しむことが出来ます。アルバムのタイトルが示す通り、映画やミュージカルにちなんだ楽曲から 5曲が選ばれています。

A-1 “No Problem” は、確かにボッサ・ノーヴァを想起させるリズムフィギュアではありますが、演奏そのものはもちろんボサノヴァ的では全然なく (Grady Tate さんがこの手のハネ気味なドラミングが得意ですしね)、Richard Wyands さんのブロックコード気味なソロも実にハマっていて、楽しさの中にも緊張感溢れる演奏となってます。この曲に関しては、DJ 世代なジャズファンにも充分受け入れられるであろうカッコイイ演奏です。エンディング部分では Jerome さんはピッコロに持ち替えてはります。

A-2 “Moon River” は、余りにも耳慣れたメロディのテーマ部を、3/4 と 4/4 を行ったり来たりすることで飽きさせないアレンジにしてます。Les Spann さんのギターのディストーションがかかった様な不思議な音も面白い。テーマが終わったらゴリゴリのバリトンソロに突入 (裏ジャケには “MOON RIVER has Jerome’s tenor sax and Spann’s guitar” と書いてますが…)。

[UAJ-14006 Label Side-A]      [UAJ-14006 Label Side-B]

B面オープナーの “Never On Sunday” は、アルバムの中では最もステディなアレンジではありますが、やはり Jerome さんの聞き応え満点のテナーソロが十二分に堪能できます。Jerome さんに続く Les Spann さんの、オクターブ交えつつのギターソロも手堅くまとまってます。

B-2 は Jerome さんと Les さんの二人のフルートが絡み合いつつ、かなりアップテンポでリズミックな “Tonight” になっており、聞き応え抜群。

そして白眉は B-3 “Delilah”。 テーマ部ラストでギターとフルートがユニゾンした直後、即座にテナーに持ち替えて怒涛のソロに突入。 この瞬間はかなりカッチョエーです。

Jerome さんは、ほとんどの楽曲でテナーあるいはバリトンを吹きまくってます。Les Spann さんがギターとフルート持ち替え (一曲の中では両方演奏したりしてます) なので、Jerome さんはこのアルバムでは安心してリード楽器に専念出来たんでしょうね。

United Artists 独特の、中域にピークのある若干こもった感じにも聞こえる録音ですが、充分に演奏の熱気と迫力は伝わってきます。観客の拍手が若干冷静に聞こえるのが不思議ですが . . . ,

ところでこの盤、写真の通り、ジャケ表に「Specially imported by E.M.I. RECORDS LTD」という金ステッカーが貼付されています。恐らく英国向けに販売された盤だと思うのですが、当時 United Artists のアルバムは英 EMI が契約して英国に直輸入盤を流していたということなんでしょうかね。お馴染みのサックスレーベルで、A面のみ Blue Note などでお馴染み「耳マーク」がデッドワックスにあります。

[UAJ-14006 Dead Wax Side-A]

A面のマトリクス (手書きで UAJ-14006A - 1A)
左上の鉤型のエッチングが、いわゆる「耳マーク」 (Etched “Ear”)



A-1: No Problem (from Les Liasons Dangereuses)
A-2: Moon River (from Breakfast At Tiffany’s)

B-1: Never On Sunday (from Never On Sunday)
B-2: Tonight (from West Side Story)
B-3: Delilah (from Samson & Delilah)

Jerome Richardson (bs, ts, fl, piccolo), Les Spann (g, fl),
Richard Wyands (p), Henry Grimes (b), Grady Tate (ds).
Recorded live in New York City, April 1962.

Produced by Alan Douglas.
Engineered by Bill Schwartau.


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6 thoughts on “Going To The Movies with The Jerome Richardson Quintet

  1. お~ これがNOTさんも大好きとおっしゃってたJerome RichardsonのUAJ盤ですね。
    A2とB3がぜひとも聴いてみたいですねぇ。
    新聞の芸能面?を模したようなジャケットもなかなか秀逸ですね。
    で、NOTさんのものと同じように、イア・マークはA面のみってことは、この盤については、このパターンのみなんですかね?
    私も一枚買ってみようと思います。

  2. あっそうそう。
    > United Artists 独特の、中域にピークのある若干こもった感じにも聞こえる録音
    これ、3 blind Miceはあんまり感じなかったんですが、Booker Little 4 + Max Roachが、ずいぶんこもった感じの音でした。
    鮮度はあるので、イコライザーで高域を少しもちあげてやると、素晴らしい音になりますが(笑)
    同じUAでも、たとえばエンジニアの違いによって、いろいろあるのかもしれませんね。

  3. > 3 blind Miceはあんまり感じなかったんですが
    そうですね、私のも感じませんでした。
    モノーラルとステレオという違いもあるのかもしれませんね。

  4. そういえば、この記事を最初に書いた2年程前に、LP でリイシューされていました。
    今も廃盤にならずに売られているのかは良く知りません。
    どうやら DJ さん達の間で A-1 がかなりブームになっていたということみたいです。なので一時期 14006/15006 のオリジナルも値段が上がっていたみたいです。今は落ち着いたんじゃないでしょうか。

  5. > そういえば、この記事を最初に書いた2年程前に、LP でリイシューされていました。
    さっき、早速イーベイで検索してみたら、このリイシューが出てました(笑)
    UAZのシリーズからめぼしいものが再発されたみたいですね。
    3 Blind MiceもUndercurrentも、イーベイで検索すると、シールドのリイシューがずいぶんひっかかります。
    > モノーラルとステレオという違いもあるのかもしれませんね。
    あっ、そうですね。
    ステレオのほうが良いのかもしれませんね。
    3 Blind Miceはモノラルも買ってみようかと思ってますから、買えたら、比べてみたいと思います。

  6. > 3 Blind Miceはモノラルも買ってみようかと思ってますから
    > 買えたら、比べてみたいと思います
    私も Undercurrent のステレオを買って聴いてみたいです(モノは手元にあります)。
    以前うちにあったステレオは Blue Note から再発されたコーティングジャケでしたが、もう手元にはありません。

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