Soul Machine / Richard Barbary

(this article deals with Richard Barbary’s only leader album left on A&M / CTI label in 1968. English version of this article (probably) will not be available.)

コレクションを整理して、一部買い取りに出そうかな〜と作業をしていた時に、10年ほど聴いていない懐かしいアルバムに出会いました。はて、どんな内容だっけ、と、久し振りにターンテーブルに載せてみると、あれびっくり、こんなにゴキゲンな内容やったっけ?? ということで、10年越しで愛聴盤に昇格したと同時に、買い取りに出されるのを免れたのでした。

[A&M / CTI SP-3010]

Soul Machine / Richard Barbary
(A&M / CTI SP-3010)

クリード・テイラー (Creed Taylor) が Verve を離れて1967年に興したレーベル、CTI。当初は A&M レーベルから配給され、1970年になると CTI は独立レーベルとして引き続きリリースを続けていきます。ジャズ、ソウル、ボッサ・ノーヴァ、クロスオーヴァー(フュージョン) を含め、幅広いジャンルの音楽を独特の統一した世界観で網羅したこのレーベルに対しては、特別な思いを抱く人も少なくありません。

さて、レーベル初期の 1968年にリリースされた本アルバムは、間違いなくソウルの範疇に入る音楽です。ただ、比較的大人しめの歌唱のため、タイトルから想像していたような「汗だくソウル」な内容とは異なります (恐らくそれが、JB に代表される熱血ファンクなどに夢中になっていた10年前の私には良さが分からず、このLPが長いことラックで眠っていた理由なのでしょう)。

しかし、改めて聴いてみると、アップテンポなソウルからノーザンソウル系のゴキゲンナンバー、のちのフィリーソウルを彷彿とさせるアレンジ、しっとり系バラードまで、楽曲のバラエティも豊富で、なかなかスルメ的魅力に溢れたアルバムです。B-1 “Please Stay”、B-4 “Let The Music Play” と、バート・バカラック (Burt Bacharach) ナンバーが 2曲収録されているのも好印象。

リーダーの リチャード・バーバリー (Richard Barbary) なるヴォーカリスト、このアルバム以外に録音を残していないようで、どういった文脈から出てきた方なのか全然分からないのが残念ですが . . .

[A&M / CTI SP-3010 Side-A] [A&M / CTI SP-3010 Side-B]

アレンジャーはあの ジミー・ワイズナー (Jimmy Wisner) と ホレス・オット (Horace Ott) が担当するトラック (A-1, A-4, A-5, B-2) と、アーティー・バトラー (Artie Butler) が担当するトラック (その他) とがあります。

バックの演奏も腕利きのスタジオミュージシャン達が名を連ねていますが、その中でも チャック・レイニー (Chuck Rainey) の存在感は群を抜いて物凄いものがあります。これはベーシストのリーダーアルバムなのか? と思ってしまう程の大フィーチャーっぷり。このアルバム全体を文字通り底辺でがっちり支える名演奏といえます。

それに対して、恐らく全曲でドラムスを叩いているはずの御大 バーナード・パーディ (Bernard Purdie) は、珍しくあまり遊びを入れず、かっちりとアレンジ通り叩いています。

全体を通した印象としては、まったりと聴くのに最適な、マイルドなコクのあるソウル、という感じなのですが、細かく聴きこんでいくと、実はうねうねとソウルフルなグルーヴが感じられる、良いアルバムです。

なにげなく dead wax を眺めてみると VAN GELDER 刻印が。そうか、このアルバムも Van Gelder Studio 録音だったのですね。どうりで、数曲で聴かれるピアノがあの「鼻をつまんだ様な」響きをしているわけだ . . .

個人的なベストトラックは、A-4 Call On Me と B-5 Nothin’ In This World。前者では、転がる様なリズムと Chuck Rainey のぶっとい 16ビートのベース、ジョー・ニューマン (Joe Newman) を含むタイトなホーンセクションが実に心地好い。後者は、小気味良いカッティングのギターとうねるベースの上で、ファルセットを交えつつ熱唱するノーザン系のゴキゲンなナンバーです。

A-1: Poor Side Of Town
A-2: What’s Your Name
A-3: Nature Boy
A-4: Call On Me
A-5: I Know Love
A-6: Teach Me (Willing To Learn)

B-1: Please Stay
B-2: There Was Never, Ever, Anyone But You
B-3: Like You, Babe
B-4: Let The Music Play
B-5: Nothin’ In This World

A-4, A-5:
Richard Barbary (vo),
Harold Johnson (tp, flh), Joe Newman (tp, flh), Mel Lastie (cor), Garnett Brown (tb),
Arthur Clarke (sax), Seldon Powell (sax),
Paul Griffin (p, org), Eric Gale (g), Hugh McCracken (g), Chuck Rainey (b),
Bernard Purdie (ds), Herb Lovelle (ds, perc), Art Kaplan (ds, perc).
Recorded at Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, NJ on March 13, 1968.

A-1, B-2:
same personnel as above, except:
add Ernie Hayes (org);
add Winston Collymore (vln), Peter Dimitriades (vln), Richard Elias (vln), Felix Giglio (vln), Jesse James Tryon (vln);
add Julien Barber (viola), Al Brown (viola);
add Sidney Edwards (cello).
Recorded at Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, NJ on March 19, 1968.

A-2, A-3, A-6, B-1:
Richard Barbary (vo),
John Bello (flh), Irvin Markowitz (flh), Dom Gravine (tb),
Hank Freeman (fl), Joe Grimm (fl), Hank Freeman (sax),
George Butcher (p, org), Sal DiTroia (g), Eric Gale (g),
Chuck Rainey (b), Bernard Purdie (ds), Gary Chester (ds, perc), George Devens (ds, perc).
Recorded at Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, NJ on May 14, 1968.

B-4, B-5:
Richard Barbary (vo),
Irvin Markowitz (flh), Marvin Stamm (tp), Alan Raph (tb),
Joe Grimm (sax), Romeo Penque (sax),
George Butcher (org), Sal DiTroia (g), Eric Gale (g),
Chuck Rainey (b), Bernard Purdie (ds), George Devens (ds, perc), Richie Ritz (ds, perc).
Recorded at Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, NJ on June 12, 1968.

Jimmy Wisner (arr & cond of rhythm tracks on A-1, A-4, A-5, B-2),
Horace Ott (arr & cond of orchestra on A-1, A-4, A-5, B-2),
Artie Butler (arr & cond on other tracks).
Rudy Van Gelder, engineer.


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