1曲目の「Bemsha Swing」を初めて聴いたとき、「こりゃあかん。。。」「ヒップにしようとしてスベッとるんちゃうか。。。」とガックリしたものです。しかし改めて他の楽曲を聴いてみると、そんなに悪くないような気が。意外とジャズ的にも面白い聞き所があったり。
気の向くままにテキトーに「Plays Monk」なアルバムを紹介する本稿。T.J. Kirk に続く第2回は、これまたビミョーな Gemini Gemini によるヒップホップっぽいジャズファンクです。ああ早くジャズなアルバムに移りたい(笑)
Gemini Gemini というのは、ウォルフガング・プシュニグ(Wolfgang Puschnig)とジャマラディ-ン・タクマ(Jamaaladeen Tacuma)の二人によるユニット名なんだそうで。スペシャルゲストとして Burhan Öçal なるパーカッショニストが、ウードやオリエンタルパーカッションで参加しています。
Wolfgang Puschnig (as, vo),
Jamaaladeen Tacuma (el-b, vo, narr),
Burhan Öçal (oriental percussions, stringed oud).
Recorded and mixed at Tonstudio Benkö, Vienna, Austria
on March 17-18, 1994.
Produced by Gemini Gemini (Jamaaladeen Tacuma, Wolfgang Puschnig)
Executive Producer: Ulli Blobel
Recording/Mixing Engineer: Stefan Benkö
ジャマラディーン・タクマといえば、オーネット・コールマン(Ornette Coleman)のプライム・タイム全盛期(?)の若きベーシストとして知られる、あの人ですよね。「Dancing In Your Head」のあのグチョグチョ変態ベースで最高!なあの演奏の人。ホント、あのアルバムは革命的に気持ちいい名盤です。
そういえばオーストラリア出身でヨーロッパで幅広く活躍されているブシュニグさんも、未聴ですが オーネットへのトリビュート/オマージュ的なアルバム を出しているんですね。
で、マニアの間では話題になっているらしい、タクマさんの2011年リリースのオーネットへのトリビュート的アルバム。なんと御大オーネット・コールマンも全面参加で双頭リーダー作の様相。ブシュニグさんもフルート(と Hojak なる楽器)で参加してます。これはいいですね。もう随分お年をめされているであろう御大のこの存在感たるや!
ジャマラディーンの変態ベースも炸裂しまくりなのに加え、この若手の ジャスティン・フォークナー(Justin Faulkner)というドラマーがとんでもなくスリリング!
予想通り、今回も脱線してしまいました。。。
で、この「Gemini Gemini」はどうなんだろう、と。冒頭にも書きましたが、1曲目の「Bemsha Swing」は、いわゆる1990年代前半に流行った、ジャズをネタにしたヒップホップトラックの趣き。あの US 3 と同じようなノリです。原曲は切り刻まれ、ステディなリズムボックスにあわせてラップしたり、サンプリングがかぶさったり、と。冒頭がこれですから、そこで聴くのを止めてしまいました(笑)このテのが嫌いな訳ではないんですけど、ちと食傷気味というか、「いまさらこれはないよな〜」的な感じで。
ところが、改めて通して聴いてみると、他の楽曲は悪くない。Tacuma さんのバッキンバッキンなファンクベースと、Puschnig さんの唯我独尊サックスが、かなりリラックスしながらもウネウネとファンキーな流れを作り出しています。
「Straight, No Chaser」などは好例で、ベースとパーカションの生み出すポリリズミックなバックの上で、比較的ストレートにアルトがメロディとソロを奏で、聞き応えもあります。「Epistrophy」も同系統の演奏。
2曲目の「Wee See」も、原曲のほんわかとしたファニーな感じと、超絶エレキベースのバキバキな感じが、そんなにケンカすることなくフツーにジャズファンクっぽくなってます。
けど、まあ、何度も聴き返してみたくなるか、といわれると、微妙なところです。狙いがあまり成功しているとはいえず、モンクのカバーアルバムとしても、タクマさんやプシュニグさんのアルバムとしても、共にかなり下にランクせざるを得ないでしょう。
むしろ久し振りにプライムタイムの諸作を浴びるように聴きたくなってしまいましたが、今しばらくはいろんなアーティストによるモンクのカバー曲を聴き続けます(笑)