Diversity of “Plays Monk”, Pt. 1: T.J. Kirk

ここ数日、仕事中はこのスマートプレイリストばかり聴いています(笑)。


[Monk's Mood]

Monk 本人以外による Monk の楽曲ああれこれ。聴き込んでしまうので BGM にはならないか。。。まだ取り込みしてない CD や、未 CD 化 LP を含めると、手元にあるだけで300曲くらいはいくかもしれません。

久々に四六時中 Monk 漬けになったきっかけは、ある1枚の CD でした。

 
 

それは先日、この CD を聴いてしまい、久々にぶっ飛んでしまったからなのでした。理屈抜きに なんちゅう格好よさ!

Talking Only Makes It Worse

Talking Only Makes It Worse / T.J. Kirk (Rope-A-Dope 16892-56382)

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存在を知った時にはとっくに解散していた。。。というのが残念で仕方ありませんが、この T.J. Kirk というバンドは、その名が示す通り、Thelonious Monk、James Brown、Roland Kirk の曲だけを演奏するという、それだけで気になってしまうジャムバンドです。元々はスター・トレックのカーク船長へのオマージュにもひっかけて「James T. Kirk」というバンド名だったそうなのですが、許可が下りずにやむなく T.J. Kirk という名前にしたんだとか。。。

Will Bernard (g),
John Schott (g),
Charlie Hunter (8-string guitar),
Scott Amendola (ds).

Recorded live in Santa Cruz, CA, 1997.
 
 

セロニアス・モンクThelonious Sphere Monk)に魅せられ続けて、はや25年近く。私にとっては James BrownFrank Zappa (更に加えるなら Egberto GismontiJohnny CashJim Hall なども)と並ぶ 不動の尊師 です。

1941年〜1975年に渡る 本人による演奏 はほぼ全て何十回何百回聴き倒しても全く飽きることはなく、聴く度に新しい発見を与えてくれます。こんなにも時間の流れを自在に操り、笑ってしまいたくなるほどおかしみに満ちあふれ、同時に演奏中の真摯さがキリキリと伝わり鳥肌すら覚え、伝統に則ったスタイルでありながら伝統から最も遠いところにいる尊師の演奏には無限の可能性すら感じます。

同時に、Monk作曲 した幾多の名曲たち。その強烈な個性により、誰がどんな演奏で料理しようとしても、必ずそこには Monk 臭が漂ってしまい、いつもニヤリとさせられます。最も著名な(聴きようによっては、もっともフツーのジャズの曲っぽくある)楽曲であろう「‘Round Midnight (‘Round About Midnight)」だけですら、過去に一体何百もの演奏がレコードやCDに残されてきたか分かりません。

 
 

話を戻すと T.J. Kirk。1995年にファーストアルバム「T.J. Kirk」、1996年にセカンドアルバム「If Four Was One」を出して解散。2003年にオンラインオンリーで限定リリースされた1997年のライブアルバムが、今回の「Talking Only Makes It Worse」というわけです。

2枚のスタジオアルバムもかなり面白い内容でいっぱいなのですが、このライブ盤のダイナミズムは格別なものがあります。

サウンドスタイルは、バンド名に冠した三者のうち、JB に最も準拠しているといえます。自由奔放な現代的ジャズファンク(ときにハードロックっぽくなったり)というのが最も適切でしょうか。しかし、音楽的に最もインスピレーションを受けているのは Monk ではないかと思われます。JB、Monk、Rahsaan の様々な楽曲のフラグメントが見事にブレンドされ、一曲一曲の中でいったりきたりしながら、さっきはあの曲、こんどはあの曲、と、全部知っている人にとってはニヤニヤしっぱなしの至高の時があっという間に過ぎていきます。しかも不自然さが全くありません。

唯一 Roland Kirk 臭は薄めというか、JB と Monk の有機的結合っぷりに比べると若干弱いように感じます。

また、ホントに全員むちゃくちゃうまい。バンドの編成がまたとてつもなくユニークで、ギター3人とドラムスの4人となっています。

そのうちのギターの1人、チャーリー・ハンターCharlie Hunter)が弾くのは 8弦ギター で、これ1本でベースライン、リズムギター、ギターソロを弾く他、様々なエフェクトを駆使して本アルバムではどう聴いてもハモンドオルガンとしか聞こえない演奏まで披露しています。

例えば Monk のデスメタルジャズ(笑)的大名曲「Skippy」。イントロは JB バンドのお決まりのブレイクを模倣、あっという間にシャッフルビートになり、不協和音たっぷりに「Skippy」のテーマが演奏されます。再び JB っぽいブレイクののち、こんどは「Give It Up Or Turnit A Loose」(しかも Bootsy Collins 在籍寺の方のバージョン)の超ファンキーなジャムが続く、といった具合です。その流れのまま次の楽曲、JB’s の「Damn Right, I Am Somebody」に突入。。。。と、全体が JB マナーで Monk 臭プンプン、というジャムが続きます。もうこれは、私のためにある音楽と言わずしてなんと言いましょうか(笑)

「Epistrophy」も、原曲の雰囲気を解釈し直したような秀逸なマッタリしたスローアレンジから始まり、中盤で小気味よいアップテンポへ。ウェスタンスゥイングっぽいアレンジに変わっていったと思ったらヴェンチャーズ的なサーフィンサウンドへ変貌、最後はハードロックっぽい大団円!

「Cross The Track / Thelonious」では、Maceo & The Macks の「Cross The Track」と Monk の「Thelonious」のリフが完全に同一化して、最初からこういう曲だったんちゃうかと勘違いする人もいそうなほど、どこからどこまでどっちの曲か分からないレベルでブレンドしています。

 

T.J. Kirk Plays a Monk tune “Humph” in SF (1994)
 

こういう方向性で活動されていたバンドですから、ネタが枯渇するのも早いんだろうな〜と思っていたら、やっぱり2年程で解散されていた、という。。。けど残された3枚のアルバムはどこまでもスルメ的で、いつまでも楽しめそうです。そして、ここまで大胆にも Monk の楽曲をグチャグチャに壊して JB や Rahsaan と合体しつつ再構築してもなお、Monk 臭がそこはかとなく漂う、というところに、Monk の偉大さを改めて感じさせられました。

とりあえず、個人的には、この愛すべき変態ギタリスト(笑)チャーリー・ハンターのアルバムをまったり探してみようかな〜、と思ったのでした。

 
 
 

というわけで今後、うちにある「Plays Monk」ものを、思いついた順番に紹介していこうかなーと。これで当分ネタには困りませんしね(笑)

モダンジャズしか聴かないマニアの人がジャズ的観点から選ぶ「Plays Monk」集にならないように気をつけます。もう、そういうジャズジャズしたお話って(個人的には)食傷気味というか、せっかくの(ジャズというジャンルすら超えた魅力と臭いを放つ)Monk の一部しか享受しないことになりかねませんからね。。。

毎回1曲をとりあげ、いろんなミュージシャンによるその曲の演奏を横断的に紹介、というパターンも考えたのですが、まあ普通にアルバム単位でとりあげることにします。原則として、1曲だけカバーが入っているアルバムは優先順位を限りなく低くして、アルバム全体でトリビュートっぽくなっているものを優先的にあげていこうかと。さて、次回はなににしましょうかね。


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