Diversity of “Plays Monk”, Pt. 3: Bobby Broom

そもそも「Plays Monk」もの、といえば、ひと昔前は以下のもの辺りが定番(?)でした。

全体的には、一般的なモダンジャズファンにとっては「とっつきにくそう」「難しそう」(モンク好きな人にとっては逆にたまらない)なラインアップとなっていた記憶があります。

Monk の曲が1〜2曲入ったアルバム(多くは「’Round Midnight」や「Ruby, My Dear」などでしょう)までカウントすると、当時からかなりの枚数があったと思われます。それらの多くは、あくまでスタンダードナンバーとして演奏されているものが多く、モンク臭がプンプンしていたわけではありません。

それがいまや、正面から向き合ってアルバム全体で Monk へのトリビュートをやってるものだけでも年々枚数が増え続ける一方で、少しでも気を抜くともはや網羅して追いかけられない程になってきています。時間が経過すればするほど、その重要性が増し、また新しい角度から魅力が再発見され続けていることの証でしょう。また、モンクの音楽がやっと一般レベルでも受け入れられるだけの素地が整ってきたということかもしれません。

T.J. Monk (1997/2003)、Gemini Gemini (1994) とジャズファンク系ヒップホップ系が続いたので、3回目の今回はストレートアヘッドなジャズで。

ギターでモンクの楽曲にがっちり取り組んでいるアルバムは私の知っている限り2枚3枚ありますが、そのうちの1枚です。

 
 

BGM 的にさらりと心地よくさりげなく聴くにもよし、またじっくり聴き込んでもかなり興味深いという、アルバムを通してモンクのフィーリングに実に合っている好アルバムです。

Bobby Broom Plays For Monk

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ボビー・ブルームBobby Broom)というギタリストは、恥ずかしながらよく知らなかったのですが、1980年代に ソニー・ロリンズSonny Rollins)と活動を共にしていたようです(1981年の「No Problem」、1983年の「Reel Life」など)。ロリンズのこの時代のアルバムは、なかなか聴かれる機会が多くないですから、過去に耳にしていたとしても、ギタリストの印象もほとんど残っていなかったようです。ボビーさん、ごめんね。

で、このアルバム。冒頭の「Ask Me Now」で、もう既に好印象。あまり出しゃばらないステディなドラムスとベースを従え、空間を生かした音色とフレーズ、優しささえ感じさせるピッキングで、モンクの原曲の持つ魅力を十二分に伝えてくれます。本人はあまり意識しておられないんだと思いますが、後のりギターというか、ピックが弦を捉えるタイミングが絶妙にゆらいでいて、曲ともマッチしているというのもあるでしょう。ソロフレージングそのものは(いかにもロリンズさんが好みそうな)どこに着地するか分からないフワフワした心地よいものです。「Bemsha Swing」は、あまりハネるリズム感を強調せず、まったりふんわりと演奏されるもので、これもなかなか面白い。

Monk が好んで演奏したスタンダードナンバー、「Lulu’s Back In Town」「Smoke Gets In Your Eyes」も、オリジナル演奏のメランコリックな雰囲気を尊重しつつ、ギタートリオならではの快演に仕上がっています。Monk と Blakey の大名演のひとつ「Work」もブルームさんの演奏は好印象ですが、こういう曲では、リズムセクションがもっと絡みまくって暴れてくれても面白かったかなぁ、とは思いました。

 
 

総じて、モンク初心者にもジャズ初心者にも安心して楽しめる、マニアにも聞きどころ満載で充分に聞き応えのある、好アルバムだと思います。ブルームさんの、時に朴訥と時にふわふわとしたフレージングやトーンが苦手でなければ、比較的万人におすすめできるタイプのアルバムでしょう。「Monk’s Music」を模したオマージュ的なアルバムジャケットデザインだけで「買い」ってのもありますよね。

Bobby Broom (g),
Dennis Carroll (b),
Kobie Watkins (ds).

Recorded at Victorian Studios, Barrington, IL
on January 23-25, 2009.

Recorded and mixed by Josh Richter.
Mastered by ALlan Tucker at Foothill Digital, NYC.
 

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