Pt. 4 まできました。手元にはバラエティに富む「Plays Monk」なアルバムがまだまだあります。折をみてはまだ増えていくでしょう。
さて今回のアルバムは、ピアノレスでダンディズムにあふれ、現代的で踊れるモンク集 です。この格好良さは現在進行形のミュージシャンならではのものであると同時に、1950年代のジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)のダンディズムに通じるものすら感じます。
こんな方向性の「Plays Monk」も素敵です。そしてなにより、モンクの楽曲に新たな可能性を付加することに成功しています。文句無しに大推薦。
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その名もずばり「Plays Monk」というバンド名のトリオ。まず、このピアノレストリオというフォーマットがいいですね。意図的にコード楽器を排することによって、めくるめく音符の連続、パワフルでパルシブなリズムセクションが、贅肉を削ぎ落としたかたちでモンクの楽曲の秀逸さに新たな光を当てています。
しかも、ピアノレストリオのフロントが担当する楽器は クラリネット という凝りよう。演奏する ベン・ゴールドバーグ(Ben Goldberg)さんは、ロザリオ・マッゼオ(Rosario Mazzeo) を師とし、スティーブ・レイシー(Steve Lacy)やジョー・ロバーノ(Joe Lovano)から学んだキャリアを持つ名手。
確かに、彼のクラリネットと、その演奏スタイルは、レイシーのソプラノサックスを彷彿とさせます。
彼はまた、クレズマーのバンド、ニュー・クレズマー・トリオ(New Klezmer Trio)John Zorn)のアルバム「Baal: The Book Of Angels, Vol. 15」にもリーダー名義で参加していますね。
での活動が有名なようです。そういえば、同じくクレズマー系の活動も盛んにやっている、あの ジョン・ゾーン(ベースの デヴィン・ホフ(Devin Hoff)さんもヴァーサタイルなプレーで聴かせます。オーソドックスなジャズからフリージャズ、アヴァンギャルド、ロック、フォークと、様々なジャンルをバックグラウンドに持っている方のようで、ここでもドラムスと共に見事にクラをプッシュしまくっています。
ゴールドバーグさんのクラに匹敵するほど本アルバム全体に貢献しているのが、スコット・アメンドラ(Scott Amendola) さんのドラムス。時に繊細に、時にパルシブに、時に煽りまくり(曲によっては、モンクのバックを叩いていた時のアート・ブレーキーを彷彿とさせるスタイル)で、と、それはもうホレボレするリズムをたたき出してくれます。第1回で取り上げた T.J. Kirk のアルバムでぶっといファンキーなドラムスを叩いていたのも彼です。いやあ素晴らしい。
T.J. Kirk のチャーリー・ハンター(Charlie Hunter)さんとスコット・アメンドラさんはちょくちょく日本に来られているらしい(今年も2月にツアーをやったそうで。。。行きたかった)ので、機会があれば是非ぜひ生で観たい・聴きたいドラマーです。
Ben Goldberg (cl),
Devin Hoff (b),
Scott Amendola (ds).
Recorded at Bay Records Recording Studios, Berkeley, CA
on November 1 & 2, 2004.
Produced by Scott Amendola and Plays Monk
Mixed by Mark Orton at Camptown Waterton Studios, Portland, OR
in March 2007.
アップテンポの難曲「Skippy」「Work」や「Shuffle Boil」「Four In One」「Teo」も、ミドルテンポの「Boo Boo’s Birthday」「Reflections」「Little Rootie Tootie」「Green Chimneys」「Eronel」も、どれもこれも捨て演奏なし、ダンディで格好いい現代的なモンクになっています。これはモンクファン・モンクマニアは必聴でしょう(って自分が Plays Monk を聴いたのもリアルタイムではなかったという。。。トホホ)。ともあれ全力でおすすめです。