エディ・ボー (Eddie Bo)。知る人ぞ知る、なんでしょうか、ニューオーリンズの至宝。自己名義での大ヒット作には恵まれることはありませんでしたが、ニューオーリンズ R&B 〜 ニューオーリンズソウル 〜 ニューオーリンズファンク、そしてジャズ、と、その才能を遺憾無く発揮した自己名義作品、および幾多のプロデュース作品で知られます。アーマ・トーマス (Irma Thomas) やアート・ネヴィル (Art Neville) など錚々たるメンバとの共演やプロデュースでも知られています。また、リトル・リチャード (Little Richard) のヒット曲 “Slippin’ And Slidin’” の元ネタ(パクリ元)がエディ・ボーの1956年シングル “I’m Wise” であることも有名です。
彼の全盛期の作品は、もともとシングルリリースしかされていないものが多く(もちろんオリジナル盤は入手困難)、そして自己名義に加えてプロデューサとしての作品も多く、結果としていろんなコンピレーションに数曲収録されているのがほとんどなので、全貌をとらえるのがすごく難しかったのですが、さすがに21世紀ともなればいろいろ出ていたり聴けたりするようになってきていますので、それを個人的備忘録的にまとめておこう、というのがこの記事の目的です。
Contents / 目次
Early Years (1956-1962) Compilations
以前は Rounder レーベルから出ていた “Check Mr. Popeye” などが定番だったようですが、現在は何種類かまとめられた CD が流通しています。
Jasmine レーベルからリリースされている2枚組CD “Slippin’ And A Slidin’”。1枚目には上記の “I’m Wise” を含む初期 Ace / Apollo / Checker / Chess レーベルに残されたシングルが、2枚目には Ric / Rip レーベルに残されたシングル「ほぼ」全曲も収録されています(こちらは Ace レーベルから “Baby I’m Wise: Complete Ric Singles 1959-1962” としてリリースされた CD と「ほぼ」同内容です)。
New Orleans Soul (1960s) Compilations
1960年代後半〜1970年代にかけての(いまでも人気が高い)ニューオーリンズファンク期より前の、1960年台中盤あたりのニューオーリンズソウル系音源は、まだ包括的にまとめられたものがリリースされていないようです(もしご存知でしたら教えてください)。いろんなコンピレーションにときたま収録されるようで、例えば “New Orleans Soul 1962-1966” などに数曲収録されていたりします。
そんな中、いまのところ入手が比較的容易な Eddie Bo 名義のコンピレーションとしては、2008年に Vampi Soul レーベルから出た “In The Pocket with Eddie Bo” があげられます。Little Bo 名義の1955年デビュー曲 “Baby” や Huey “Piano” Smith 作曲の 1956年 “We Love Mambo” に始まり、主に1960年代中盤のソウル系シングルがまとめられています。そしてファンク期の代表曲が収録され、最後には Eddie Bo にしては珍しいディスコサウンド “When You’re Fingers On The Funk” (1977?) なんてのも収録されています。
New Orleans Funk (1969〜1970s) Compilations
そして Scram レコードに移籍した1969年からが、ミーターズ (The Meters) とタメをはるレベルでいまだに根強い人気のファンク期です。ジェームス・ブラック (James Black) やスモーキー・ジョンソン (Smokey Johnson) と言われるこの骨太ファンクドラムが最高です。この時期も自己名義はもとより、さまざまなアーティストのプロデュースやアレンジを行なっていたため、包括的なコンピレーションが待望されます。上記の “In The Pocket with Eddie Bo” にも主要作が収録されているほか、1997年に Funky Delicacies レーベルから出た “The Hook And Sling” も見逃せません。
また、自己名義の他、プロデュース作をコンパイルした同じく Funky Delicacies レーベルからの “Eddie Bo’s Funky Funky New Orleans” も必聴です。
この時期のエディ・ボーの録音で大活躍の ジェームス・ブラック (James Black) もリーダ作に恵まれなかったドラマーですが、もともとジャズドラマーとしてエリス・マルサリス (Elis Marsalis) バンドでの貢献が有名ですし、キャノンボール・アダレイ (Cannonball Adderley)、ユーセフ・ラティーフ (Yusef Lateef) らとも共演されていたそうです。アーティストとしてのキャリアは Fog City Records の web ページ で詳細にまとめられていて必見です。
そしてファンク系では、1969年、1976年、1982年のレア音源をコンパイルしたアルバム “(I Need) Altitude”が2002年にリリースされています。現在は Bandcamp からロスレス音源がダウンロード購入可能です。
Solo Years (1977〜)
エディ・ボー名義でついにソロアルバムがリリースされたのは1977年、 “The Other Side Of Eddie Bo” (Bo-Sound EB-55379) でしたが、これと2枚目の 1980年 “Watch For The Coming” (Bo-Sound EB-55379, なぜかカタログ番号が同じ…) は、私家盤レベルのリリースのため、あまりにも入手困難で中古価格がうん十万円レベルらしいです(ひえぇぇぇぇ)。CDかディジタルダウンロードでリイシューされてくれるといいのですが。。。
私の手元にあるのは現時点ではかろうじて2枚、 1996年のリラックスしたコンボ演奏 “Shoot From The Root” (Soulciety Records ME-00452) と、1995年のソロピアノ作品集 “New Orleans Solo Piano” (Night Train International NTI CD 7025) です。
まだまだ未聴のアルバムがいろいろあるので、今後もこつこつと探していきたいと思います。