寡聞にしてつい先日まで知らなかったのですが、Zappa Family Trust が(ほぼ)全音源の権利を取り戻したのを記念して、UMe (Universal Music Enterprises) とディストリビューション契約を締結、2012年7月から続々と再発が行われているそうです。
TIME TO FREAK OUT… FRANK’S BACK!
Zappa Family Trust Regains Control of Iconic Musician’s Extensive Catalog Global License/Distribution Deal Signed With Universal Music Enterprises Catalog of 60 Recordings to Be Launched With July 31 Release of 12 Titles
嬉しい副次効果(?)として、それらのアルバムは iTunes Music Store で音源をダウンロード購入 することができるようになりました(購入しないにしても、例えば SoundTracking 的には嬉しいですよね)。
で、注目すべきはその内容。Frank Zappa 氏が逝去される直前の1993年にリマスターした通称「承認マスター」ではなく、オリジナルアナログ音源からの最新リマスター でリリースされているタイトルが少なからず含まれているというのです。
更に、過去の CD 化においては、あまり満足のいかなかったマスタリングとなっていたアルバムも、オリジナルアナログ盤に準じた音質のリマスターが楽しめるようになっています。
ただし、余りにもタイトル数が多い御大のカタログ、その全てを一度に購入することはさすがに憚られます。オリジナルアナログ盤や承認マスター、今回のリマスターの音源を比較して、どのアルバムは絶対に買うべきか、どのアルバムは買わなくてもいいか、世界中のフリークが情報を交換しあっています。
MUST BUY / 買うべし
Absolutely Free
従来の 承認マスターCDと比べて大迫力の音質!オリジナル盤LPが比較的高値安定なので、これは嬉しい再発です。
Hot Rats
大胆にリミックスされた 承認マスターCD とは異なり、オリジナルアナログ盤に準じたミックスとのこと。承認マスターも捨てがたいので、どちらも保持しておきたいところ。うちにはオリジナル盤LPがあるので、買い直す必要はないかな。
Chunga’s Revenge
今回の一押し。やっとCDでオリジナル盤LPに準じたまともな音質で聴けるようになりました。承認マスターCDは窓から捨ててもいいでしょう(うちにもあります)。これもオリジナル盤LP所有。
Fillmore East – June 1971
これもおすすめ。やっと CD でオリジナル盤LPに準じた音質で聴けるようになりました。さらに承認マスターCDでは削除されていた “Willie The Pimp, Pt.2” のパートが復活しています。
One Size Fits All
これもかなりおすすめ。この大傑作も、ついに CD でオリジナル盤LPに準じた音質で聴けるようになりました。リミックスなどはありませんが、一家に一枚レベルの大名盤ですから、承認マスターCDからの買い替えもおすすめです。
Sheik Yerbouti
全力でおすすめ。恐らく多くの方が代表作として挙げるであろうこの盤も、承認マスターCDはあまり音が良くないという評判でしたが、オリジナル盤に準じた音になりました。エンディングがカットされ短くなっていた “I’m So Cute” も元通りになりました。
STILL RECOMMENDED / 準おすすめ
Burnt Weeny Sandwich
オリジナルマスター使用。よりオリジナル盤に近い音に。オリジナル盤にはなかった(1970年代の後期プレスから現れ出した)“Little House I Used to Live In” のイントロの音揺れが直っているとの情報もありますが、私には聴き取れませんでした。オリジナル盤LP所有。
Weasels Ripped My Flesh
オリジナルマスター使用。よりオリジナル盤に近い音に。承認マスターの方がロングバージョンになっている楽曲もあるので、どちらも残しておきたい。オリジナル盤LP所有。
Just Another Band From L.A.
オリジナルマスター使用。よりオリジナル盤に近いドライな音に。
Waka/Jawaka
オリジナルマスター使用。よりオリジナル盤に近いドライな音に。オリジナル盤LP所有。
Over-nite Sensation
オリジナルマスター使用。よりオリジナル盤に近いドライな音に。
Zoot Allures
オリジナルマスター使用。よりオリジナル盤に近いドライな音に。
Studio Tan
個人的な愛聴盤ですが、リミックス・再編集された “The Adventures of Greggery Peccary” が収録されていた承認マスターCD とは異なり、オリジナル盤のミックス・編集に戻されました。マニアは両方キープしておくというところでしょうか。“Läther” にオリジナルミックスが全曲収録されているので、そちらを持っている方はいらないですね。
BETTER SKIP? / 買わなくてもよさそう?
その他のアルバム、例えば以下のタイトルは、承認マスターCDと同一内容(特にリミックス・リマスターなども行われていない)とのことで、1993年承認マスターCDをすでに持っている場合は、わざわざ買い足す必要はなさそうです。
Freak Out!
We’re Only In It For The Money
Lumpy Gravy
Cruising With Ruben & The Jets
Uncle Meat
Roxy & Elsewhere
Zappa In New York
また、1980年代〜1990年代のアルバム(個人的にはこの辺りが一番好きなんですよねー)についても、特に従来のCDとの変化はないだろう、と言われています。
とてもではありませんが、全アルバムについて仔細なチェックをすることはできそうにありません。。。
なお、上に何度も出てくる「1630」というのは、SONY PCM-1630 のことで、当時CD制作時にプレスマスターとして使用されていた規格・フォーマットのことです。
References
- It’s 2012: The Hot Poop on the New Zappa Reissues (or: What We Knew and When We Knew It)
- Frank Zappaを聴いてみたいんですが:番外編 2012年再発