Sonny Clark Trio

先月、都内の某中古レコード店の壁に “Sonny Clark Trio” (Time T-70010) のオリジナル LP が飾ってあるのを見ましたが、そのプライスタグを見てびっくり。なんと 30万円。ひぇぇぇ。

Last month I visited a certain vinyl shop in Tokyo and found the original mono LP of “Sonny Clark Trio” (Time T-70010). The most surprising thing was its price – 300 thousand yen (approximately 2,600 USD) – oh my!

 

ヴィンテージ盤の売価なんて、需要と供給で決まる側面が基本ではあるものの、大抵は お店の言い値 であることがほとんどで、こんな凄い値段がついていても、買う人は買ってしまうところが凄いというか。とにかく、私の様な「コストパフォーマンス重視」の一般ピープル (笑) には全く縁のない世界ではあります。

Usually, a price of a hard-to-find vintage LP is roughly set by the “supply and demand” balance. Also, the price is also usually set by a shop’s own decision. And it’s also surprising that there are some people surely to exist who buy such LPs even though it’s too expensive against “reasonable price”. Anyway I (as one of “ordinary people” who makes much of “cost-performance”) must be a perfect stranger to such an expensive vintage LP.

(. . . the rest of the English edition of this article will hopefully be available in the near future . . .)

 


 

私が “Sonny Clark Trio” を初めて購入したのは 1990年。ジャズを聴き始めてまだ日の浅かった当時、LP でリリースされていた日本盤 (センチュリー) でした。当時から (特にピアノの) 独特の音のこもり具合が気にはなっていたものの、まるで死に急ぐかの様に鬼気迫る怪演と、独特の陰影を帯びた楽曲 (全曲が Clark の自作曲) の素晴らしさには当然ノックアウトされました。聴き手の精神状態が完璧でないと、とても両面通しで聴けない、という意味でも私にとっては初めての体験でした。当時の私は、聴くたびに気持ちがボロボロになりながらも、何度も何度も本盤を聴きこんだのでした (笑)

 
[Time/Century CEJC-00067 Front]

Sonny Clark Trio
(Time / Century [J] CEJC-00067)
 
 

今改めて聴くと、これ以前 (1970年代〜1980年代) にテイチクから出た日本盤と比べて、本盤の音はかなり良くなっています。もともとのマスターテープの時点であまり「ハイファイ」とは言えない音なのでしょうが (ドラムス、ベースと比べて、ピアノだけが極端にナローレンジなのが気になります)、1990年の時点でのマスターテープの音を余すところなく再現しようとする意図は感じられます。ベースが左、ピアノが中央、ドラムスが右、というステレオ配置も、1960年当時としては一般的なもので、そんなに悪くはありません。特に George Duvivier のベースをしっかり収録しようとした狙いは感じられ、そのせいか全体的なバランスを考えてカッティングレベルが若干低くセットされているのが残念なことろです。ですので、本盤を聴く際には、アンプのボリュームをこころもち上げるのが正解だと思われます。それでも、Clark のピアノはやや渇いた明るい音に聴こえますし、Max Roach のドラムスにはあまり迫力が感じられません。

 


 

それから16年。これまた偶然にも先月、セカンドオリジナルのステレオ盤 (Time S-2101) をラッキーにも入手することが出来ました。入手価格は、送料込みでも冒頭に書いたオリジナルモノーラル盤の 50分の1。これ位の値段だったらなんとか買えますね (笑)

 
[Time S-2101 Front]      [Time S-2101 Back]

Max Roach / Sonny Clark / George Duvivier
(Time [US] S-2101)

[Time S-2101 Side-A]      [Time S-2101 Side-B]
 

オリジナルの T-70010 (mono) / ST-70010 (stereo) (*1) のあとに出たとされる M-52101 (mono) / S-2101 (stereo) で、タイトルも「Sonny Clark Trio」から「Max Roach / Sonny Clark / George Duvivier」と変更されています (つまり Clark がリーダー扱いではなくなったということ?)。ジャケット裏では既に Sonny Clark がこの世を去ったことについて触れられていますので、1963年以降のリリースということになります。私が入手した盤は、ジャケットは M-52101 用のもので、表に「STEREO」と書かれたステッカーが加貼されているタイプ。また、本盤 (M-52101 / S-2101) のレーベルには何種類かのデザイン、及び溝あり溝なしのバリエーションがあることも知られていますが、音質の傾向は全て一緒だとのこと。というわけで安心してこの溝なし盤を買ってみたわけですが。

(*1): ステレオのオリジナルとされている ST-70010 ですが、別の情報によるとこれは実際にはリリースされておらず、S-2101 がステレオオリジナルという説もある様です。ただし、私はこの辺をきっちり調べたことはありません (し、あまり深追いする気もありません) ので、実際のところはどうなのかは知りません。
 

もう、ものの見事に日本盤とは別次元の音でした、はい。ナローレンジで曇り気味のピアノの音は相変わらずですが、タッチの力強さが増しています。一番顕著なのは Max Roach のドラムス。もうこれは全然違います。彼の細かいボディブローや Clark をけしかけるさまが、もう透けて見えるかの如くクリアにパワフルに収録されています。カッティングレベルも充分に高く、全体的な迫力も満点です。ただ、若干ハイ上がり気味でカッティングされているせいもあってか、「陰影を帯びた鬼気迫る演奏」とは少し違うニュアンスも聴かせる様に感じられます。まぁけどこの値段にしてこの音、文句無しにお薦め出来ますし、買いものとしては非常にリーズナブルといえましょう。

噂によると、オリジナルの T-70010M-52101 / S-2101 とはまた全然違う音の感触で (よりハイファイという意味ではない)、この演奏に最もぴったりくる枯れた陰影が感じられ、最も狂気が聴き取れるとのことですが、なにせ値段が値段ですからね . . . 少なくとも S-2101 より「50倍」素晴らしい音が聴けるというわけではないと信じて (笑) わたし的にはこれで手を打つことにします、はい。

興味深いことに、このステレオ盤をアンプのスイッチでモノーラルに落とすと (うちのアンプにはモノーラルスイッチがないので、別の方法を使いましたが)、Clark のピアノの音色が面白い様に変化します。確かに、若干陰影を帯びた哀愁の音色、といった風情が出てきます。もともと3トラックマスターテープの各トラックを左右中央に振り分けただけのミックスですから、この疑似モノーラルでも充分に迫力ある音が楽しめます。もちろん、T-70010 そのものの音にはかなうはずもないのでしょうが、7〜8割方の音が楽しめるのであれば、50分の1 の価格はお徳と言えますね (というか、こういう貧乏臭いコメントはしつこいってば > 自分)。

 


 

というわけで、 RCA Victor LSP-2533 (33rpm)、 Blue Note 1577 (78rpm)、 MGM 11283 (78rpm) に続き、 この前 レーベルを載せた6枚のうち 4枚まで紹介しました。残るは 2枚。




A-1: Minor Meeting
A-2: Nica
A-3: Sonny’s Crip (Sonny’s Crib)
A-4: Blues Mambo

B-1: Blues Blue
B-2: Junka
B-3: My Conception
B-4: Sonia

Sonny Clark (p), George Duvivier (b except B-3), Max Roach (ds except B-3).
Recorded in New York City on March 23, 1960.

 

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4 thoughts on “Sonny Clark Trio

  1. shaolinさん、このソニー・クラーク・トリオの2ndステレオ盤・・・相当に良さそうですね。僕がこのLPを最初に聴いた時の印象は・・・「やけにテンポが速いな」でした。どの曲にもセカセカしたような感じがあり、イマイチ馴染めなかったのです。>まるで死に急ぐかの様に鬼気迫る怪演~shaolinさんがこのように表現された部分に、やや過剰反応をしてしまったのかもしれません。
    この2ndステレオ盤については、bsさんのBlue SpiritsというHPにも「音質素晴らしい!」旨の記事があります。ご存知かもしれませんが、以下のアドレスです。
    http://www.geocities.jp/bluespirits4196/remember5.html#trio%20(time)

  2. > セカセカしたような感じがあり、イマイチ馴染めなかったのです
    私は逆(?)でした。当時、Blue Note 1579 のトリオの方が、特に A面ですが、ひたすら前のめりの Philly Joe のドラムスのせいか、セカセカした感じを受けました。また、Two Bass Hit では手癖フレーズ連発であんまり感銘を受けなかった記憶があります。当時中古で買った CD (録音順に別テイクも含めて並べられた東芝盤) だったのが更にいけなかったのかも知れません (笑)
    最近はどちらかといえば、こんこんと湧き出るフレーズが見事な前期 (西海岸時代) ソニクラの方を聴くことが多くなってきました。

  3. いやあ、こういう聴いた時の感じ方~人それぞれだなあ・・・と興味深いものを覚えます。フィリー・ジョーは確かに「前のめり」ですね(笑)ところが逆にローチはキッチリさせてるところが何かこう・・・肩に力が入ってるというか・・・(笑)
    こういうのは多分、全く「好み」の問題でしょうね。
    ソニークラークの初期の「伸びやかさ」は、本当に素晴らしいですね。そのおかげでバディ・デフランコなどもだいぶ聴くようになってしまいましたよ(笑)

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