なんとかロマンチック / ノラオンナ

今は無き エディーズラウンジ で知り合った、柿澤龍介 さん(元「トルネード竜巻」のドラマー)の tweet で存在を知ったアルバム。お恥ずかしいことに ノラオンナ さんの名前も初めて知りました。100部限定で LP+CD でも入手可能とのことで、アナログ好きな私はそちらを購入しました。

なんとかロマンチック / ノラオンナ (NORAONNNA RECORDS NORA-0007A)

なんとかロマンチック / ノラオンナ (NORAONNNA RECORDS NORA-0007A)

 

なんとも形容しがたい独特の世界観に支配された歌詞とヴォーカル。柿澤さんがドラマーとして所属されているユニット、港ハイライト による抜群の演奏と一体となって、類を見ないオリジナリティ溢れる作品となっています。アティテュードとしてはフォーク、演奏スタイルとしてはボッサ / MPB フレーバーたっぷりでジャズ風味をまぶしたポップス、朝昼晩と時間帯やムードを選ばず楽しめる、不思議なアルバムです。おすすめです。

 
港ハイライト:
ノラオンナ (vo),
柿澤龍介 (ds)
藤原マヒト (el-b, key, accordion)
倉谷和宏 (vo on “シャバダバダ”)

古川麦 (g, mandolin, horn, tp)
山田庵巳 (g)

Recorded at Studio Camel House, Kōfu, Yamanashi, Japan
on May 25-27, 2015

Recording Engineer: 田辺玄 (Water Water Camel)
Mastering Engineer: 原真人
   

実は忙しくてまだアナログ盤には針を落とせてないので、CDでの感想となりますが、個人的に少し残念というか不思議に思ったのは、その録音・マスタリングでした。港ハイライトの皆さんの演奏はベースを除いてアコースティックであるのに、今どき(?)のナチュラルでルームアコースティックを生かしたステレオフォニックな音ではなく、中高域を持ち上げ気味のイコライジングでミキシングも比較的マルチモノフォニックな印象です。アコースティックの質感は多少残しつつも、音触が若干ザラザラとしており、打ち込み音源っぽい感触なのか、有線放送やポータブルラジオの音っぽさというか、そういうベクトルも多少志向した音作りなのかな、と感じられました。

 

とはいっても、きっとレコーディングエンジニア(田辺玄さん)とマスタリングエンジニア(原真人さん)の意図がきっとあるんだと思います。機会でもあれば、その狙いについてなにかの方法で伺ってみたいなぁと思いました(笑)

 

なお、CD と LP で曲順が異なるのですが、これは双方でコンセプトが異なるというわけではなく、収録時間とカッティング品質の兼ね合いではないかと推察されます。おそらくノラオンナさんを含めた港ハイライトの皆さんの意図する曲順はCDの方で、その意図を極力損ねない形で片面20分に収めるためにLPで少しだけ曲順をいじった、というあたりでしょうか。

ちなみに、CDの曲順のままだと、A面相当の冒頭4曲の合計時間が15分43秒、B面相当の4曲が21分35秒。実際のLPではA面が17分10秒でB面が20分8秒となっています(秒数はCD版を基準としています)。

 
CD版:

1. シャバダバダ
2. 詩集「君へ」
3. 梨愛
4. めんどくさい
5. 朝食とり下着をとり年をとる
6. お誕生日おめでとう
7. 野菜のはしっこ
8. なんとかロマンチック

LP版:

A-1 詩集「君へ」
A-2 梨愛
A-3 めんどくさい
A-4 お誕生日おめでとう

B-1 朝食とり下着をとり年をとる
B-2 野菜のはしっこ
B-3 なんとかロマンチック
B-4 シャバダバダ



9/21 にライブがあるそうなので、スケジュールが許せばぜひ聴きに行きたいと思っています。

   

2015/08/10 追記:
ノラオンナさんご本人からマスタリングや曲順に関してコメントをいただきました。

   

2015/08/13 追記:
やっと LP をじっくり聴く時間がとれました。以下簡単な感想です。

曲順に関しては、LP の方がよりしっくりきました。A面B面を意識した配曲による流れは、よりストーリーが明確になった印象があります。これはいいですね。

音質・マスタリングについては、CD と LP の違いが明確に表れていました。ルームアコースティックも十分活用され、また中低域のふくよかさが LP では際立っており、特に B-1「朝食とり下着をとり年をとる」のマスタリングは、まさに私好み(笑)のバランスでした。良い意味での1970年代っぽいバランスといいますか。

主に A面や B-3「なんとかロマンチック」B-4「シャバダバダ」では、 CD での印象と同様に、アコースティックピアノやパーカッション(特にスネア)がかなり高域強調気味に(サチる寸前を狙って)ミックスされているように感じました。やはりノラオンナさんの声質を中心に全体の音の感触を組み立てられた感じでしょうか。。。

とかなんとか、あれこれ勝手なことを書いてきましたが(すみません)、愛すべき作品であることに間違いはありません。まもなく Amazon などの一般販売も始まるそうですので、皆さんもぜひお聴きください。

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