いろいろあるレコードサブスク、前回は VINYL ME, PLEASE (VMP) を紹介しましたが、今回はちょっと毛色の異なったサービスということで、World Music Network をご紹介します。
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World Music Network
1994年に設立された World Music Network は、現在5つのレーベルシリーズを抱えています。
その根底にあるのが、特定の音楽ジャンルにこだわらず、文字通り世界中のありとあらゆる音楽を紹介する、というポリシーです。
世界中の音楽への道しるべ
ですので、VMP のような「過去にリリースされ高評価を得てきた問答無用の大名盤や、知る人ぞ知る隠れ名盤」ではなく、「あなたの知らない音楽は世界中にこんなにもあるんですよ」という道しるべとなるコンピレーションがその大半を占めます。唯一 Riverboat レーベルのみが、世界中のいろんなジャンルのアーティストの新譜を紹介する場となっています。
ですので、この World Music Network のリリース群はあくまでスタート地点です。ここから、各リスナーが思い思いにより深く世界の音楽ジャンルと音楽史を掘っていくことになります。音楽という海の案内図のようなものですね。
日本の音楽も紹介されている
もちろん、日本の音楽だって紹介されています(笑)古今東西の良質な日本のポピュラー音楽や民謡などをコンパイルした定番の「The Rough Guide To The Music Of Japan」は日本人にとっても必聴のコンピレーションアルバムです。登川誠仁「安里屋ユンタ」、ソウル・フラワー・モノノケ・サミット「ああわからない」、さらにはあがた森魚「東京節」なんかも収録されていて、センスの良さが光ります。
他にも「Avant-Garde Japan」と「The Best Japanese Music You’ve Never Heard」の2種類もリリースされています。
CD / LP / ディジタルから選べるユニークなサブスク
リリースは、CD / LP / ディジタルダウンロードとなっています。全てのタイトルが、これら3フォーマットで入手可能というわけではないのですが、LP も比較的用意されている方だと思います。
ただ、LP リリースについては、CD やディジタルよりも曲数が少ないものがほとんどです。ただし、ほとんどの LP にはディジタル (320kbps MP3) ダウンロード券が封入されていますので、そこは安心ですね。
あと、ディジタルダウンロードは 320kbps MP3 限定で、ロスレス (FLAC 等) ではないことにも注意は必要です。
で、興味深いのがサブスクの仕組みです。
1ヶ月あたり GBP 5.97 (USD 8.08 / JPY 901 程度) なのですが。
VMP のように「毎月1枚送られてくる」のではなく、毎月送られてくるのは、メールでのバウチャーコード(引き換えコード)です。このコードを使って、World Music Network 全体の在庫から自由に選べるのですが、1コードにつき、以下のような選び方を自由に行えます。
- LP: 在庫から1枚を自由に選ぶ (送料は別途必要になる)
- CD: 在庫から2枚を自由に選ぶ (送料は別途必要になる)
- ダウンロード: 2枚を自由に選ぶ
- CD + ダウンロード: それぞれ1枚自由に選ぶ (CD分の送料は別途必要になる)
LP1枚あたりの送料は GBP 10.95 (およそ JPY 1,600円くらい) で、そんなに高くはありません。
毎月たった1,000円弱で、世界中のいろんな音楽を知る機会を得られるのはとてもお得です。
いわゆる「洋楽」に物足りなさを感じている方はぜひ
アフリカ系、東南アジア系、アラブ系、ケルト系、そういったワールドミュージックもカタログ内に充実していますが、いわゆる古典系(戦前ブルースなど)のコンピレーションもふんだんに用意されています。しかも、アコースティック録音時代(〜1924)であっても、かなりマスタリング品質が良いものが多く、初めて聞いた時はびっくりしました。
新しめの録音についても、非常に音質的に好ましいものが多く、ハズレは相当少ない方だと思います。