いろいろあるレコードサブスクのご紹介シリーズ。
1回目は毎月おすすめレコードが届く VINYL ME, PLEASE、2回目はワールドミュージックのレコード/CD/ディジタルダウンロードを毎月選んで購入できる World Music Network でした。
今回は、またまた違った毛色のサービス、最近夢中になっている NØ FØRMAT! のサブスクをご紹介します。
Contents / 目次
NØ FØRMAT! (NO FORMAT!)
知る人ぞ知る、なのか、みんなご存知、なのか、ちょっとわかりませんが、パリの素晴らしいインディレーベル NØ FØRMAT! レーベルというのがありまして、これがもう、出されるアルバムかどれもこれも、自分的にドストライクというか、毎回唸らされながら聴き込む日々というか、とにかく本当にヘビロテでハマっています。
2004年に設立されたこのレーベル、パンアフリカが主ではありますが、レーベル名の通り、無国籍でなんでもあり、です。そこがたまらない魅力のひとつです。
バラエティ豊かなのに統一感あるレーベルカラー
マリのコラ奏者 バラケ・シソコ (Ballaké Sissoko) とフランスのチェロ奏者 ヴァンサン・セガール (Vincent Ségal) のデュオアルバムがあったり。
ハイチ出身のカナダのシンガーソングライター メリッサ・ラヴォー (Mélissa Laveaux) のハスキーで素晴らしい歌声のアコースティックなアルバムがあったり。
同じ メリッサ・ラヴォー (Mélissa Laveaux) がオルタナロックっぽい作品となって登場したり。
カメルーンの リチャード・ボナ (Richard Bona) + ザイール/コンゴの ロクア・カンザ (Lokua Kanza) とフランスの ジェラルド・トト (Gerald Toto) の超絶アフロポップフュージョンがあったり。
フランスのジャズギタリスト ミシャ・フィッツジェラルド・ミッシェル (Misja Fitzgerald Michel) による ニック・ドレイク (Nick Drake) 作品集があったり。
パリ在住のクラシックピアニスト 中野公揮 (Koki Nakano) が ヴァンサン・セガール (Vincent Ségal) とタッグを組んで実現したアヴァンギャルドな作品があったり。
過去の全カタログ を眺めるとわかる通り、ブラジル系あり、フレンチヒップホップ系あり、エレクトロニカ系もあります。レゲエ/ダブすらラインアップされています。
どれもこれも、本当にバラエティ豊かで、特定のジャンルにとどまらない芳醇な音楽性にあふれ、そして現在進行形の音になっています。
多彩な音楽ジャンルやそれらのミックスなのに、レーベルカラーがしっかりしていて、かつ無国籍的でなんでもあり。こんな 良心のかたまりのようなレーベル が現在進行形で存在しているなんて。
現時点でうちにあるのはアナログレコードで15枚前後、CDやディジタルダウンロードまで含めても36アルバム分というところですが、ぜひコンプリートしたくなります。
PASS NØ FØRMAT!
こんな私のように、NØ FØRMAT! レーベルにぞっこんな世界中のファンのために、 PASS NØ FØRMAT! という名でサブスクも提供されています。
World Music Network 同様、アナログレコード / CD / ディジタルダウンロードの中から選べるのですが、それぞれ別のコースになっています。
2021年時点では、ディジタルダウンロード (320kbps MP3 とロスレス WAV)の場合は 40ユーロ。
CD の場合は 57ユーロ。
アナログレコード(ディジタルダウンロード権付)の場合は 73ユーロ。
となっており、その年にリリースされた全作品を手に入れる権利、というのが、このサブスクのシステムです。また、過去の任意の作品を2割引で購入する権利もあります。
割高? いやいや、応援ですから
つまりこのサブスクは、NØ FØRMAT! レーベルや所属ミュージシャンへの応援 / クラウドファンディングの側面も兼ねている、というわけです。
実際、2021年は、ここまでにすでに5枚のアルバムがリリースされています。そう考えると、サブスクの料金も割高とは言えませんよね。
一方、コロナ禍が始まった2020年は、2枚のアルバムしか出ませんでしたが、そういうのも込みでレーベルやミュージシャンを応援しているようなものです。
極上の録音、極上の再生音
もうひとつ特筆・強調すべき点は、どれもこれも本当に録音が非常に素晴らしい、ということです。
ラインアップから想像されるように、アコースティックな楽器による演奏が多めではありますから、なおさらレコーディングスタジオのルームアコースティックが空間的に見事に表現されています。そして、弦やパーカッションの震える音や楽器の胴鳴りまでも見事に捉えられ記録されているアルバムが非常に多いです。
もちろん、エレクトリック楽器を使った作品についても、下から上まで美しくそして力強く捉えられていて、オーディオ的にも最高の素材となっています。
オススメ!
こういう音楽が大好きな方にはホントにおすすめのサブスクです。絶対お得ですよ。
(以下は Ballaké Sissoko と Vincent Ségal のデュオアルバムより。我が家のオーディオチェック盤の定番です。)
ディジタルダウンロードであれば、お馴染み Bandcamp からも入手可能です(一部提供されていないアルバムもあり)。