Sunrise, Sunset / Sir Roland Hanna and George Mraz

ここ最近、いろんな デュオ演奏 のアルバムを好んで聴いています。デュオというフォーマットは、ソロ、トリオ (あるいはそれ以上) とはなにか異なる、なにか特別な形態なのかもしれません。二人という形式でしかなし得ない、両者の流れる様な対話が、時に二人だけではなし得ないかの様な音楽的な多様性を生み出すこともあったり。Sir Roland HannaGeorge Mraz というスーパーデュオによるこのアルバムも、私にとってはそんな一枚です。

I’ve been picking up and enjoying various duo albums for a while. Sometimes duo performances create something special other than unaccompanied solo, trio or whatsover – they have fluent dialogue and chemistry between two players (which only two persons can achieve), which sometimes results in musical diversity as if more than two persons can achieve. This album by Super Duo – Sir Roland Hanna and George Mraz – is one of such things for me.

(the rest of the English edition of this article will be available in the near future . . .)

[LDC-1019 Front Cover]      [LDC-1019 Back Cover]

Sunrise, Sunset / Sir Roland Hanna and George Mraz
(LOB [Japan] LDC-1019)

Sir Roland Hanna の変幻自在でかつ美しさに溢れたピアノと、それと自由闊達に絡む力強くメロディアスな George Mraz。長年トリオ、デュオ、カルテット、その他のフォーマットでタッグを組んでいただけあって、二人の呵吽の呼吸はもはや神憑り的なレベルに達しています。ミュージカルの主題歌集となった本アルバムでも、お互いが提示したメロディにお互いが流れる様に呼応しあい、さらにタッチやメロディの方向性の違いでもって全方位的な魅力を発し続けるこの二人の演奏。いつまでも聴いていたい、と思わされる程、あまりにもあっという間にレコード両面は過ぎていきます。A-2 “Maria” の筆舌に尽くしがたい美しさといったら . . . ゴージャスに、ドラマティックに、そしてダイナミックに音を敷き詰める Hanna と、これぞジャズベースの醍醐味という音色とアタックを惜しげもなく使いきってエモーショナルな怪演を披露する Mraz の絡みは、もはや人間国宝級の芸術といって良い程。

[LDC-1019 Side-A]      [LDC-1019 Side-B]

1979年リリースの、お馴染み LOB レーベルから出されたダイレクトカッティング盤 (過去に本 web に掲載した LOB レーベルのアルバムはこちら:「Shiny Stockings / Barney Kessel (LOB LDC-1004)」、「He’s Funny That Way / Ann Burton (LOB LDC-1005)」)。唯一の難点と感じるのは、そのマイクセッティングでしょうか。ライナーノーツにマイクセッティングの写真が掲載されていますが、それぞれの楽器に近接された各2本のマイクが、お互いに非常に近い位置にセッティングされています。いかにもジャズ録音らしい力強さを得ることに成功してはいるものの、各楽器のステレオフォニックな響きという点では、若干物足りなさを感じてしまうのも事実です。ミキシングは、それぞれが中央左寄り (ピアノ)、中央右寄り (ベース) に定位するものですが、各楽器にもう少し自然な広がりがあった方が、この二人の万華鏡魅力を発する演奏にはあっている様に思えます。しかし、演奏内容の素晴らしさが、そんなことすら吹き飛ばしてしまっているわけで . . .

なおライナーノーツによると、本レコーディングセッション中には、ダイレクトカッティングに興味津々の Helen Merrill がコントロールルームで見学していたそうです。




A-1: Sunrise, Sunset
A-2: Maria
A-3: When You Wish Upon A Star

B-1: I’ve Grown Accustomed To Your Face
B-2: Can’t Help Lovin’ Dat Man
B-3: I’ve Never Been In Love Before

Sir Roland Hanna (p), George Mraz (b).

Recorded at Pioneer Studio, Tokyo, Japan on September 6, 1979.
Producer: Keiichiro Ebihara.
Director: Takao Ishizuka.
Recording Engineer: Yoshihisa Morimoto.
Cutting Engineer: Osamu Kasahara, Michiru Ogura.




2006.7.5 追記:
本録音は現在「星に願いを / ローランド・ハナ」という CD で入手可能のようです。 追加トラックとして、1975年キング録音の Ron CarterBen Riley とによるトリオ 3曲が収録されているようです。

[When You Wish Upon A Star]

When You Wish Upon A Star / Roland Hanna
(All Art [J] ABCJ-217)


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