新しい音楽との出会いを求め、自分なりの好みを探究するために、いろんなレコード屋さん巡りをする人々。わたしもその1人でしたが、今となってはリアル店舗訪問もめっきり少なくなり。
ヴィンテージ盤コレクターすら、リアル店舗で買うよりはヤフオクや eBay、Discogs で買う人が多くなり。
ロスレスやハイレゾのストリーミングすら一般的となりつつある現在では、CDやLPといったメディアを買って聴く行為は、もはや絶滅危惧種といっていいのかもしれません。寂しいですけど。
そんな中、レコードの各種サブスクリプションサービスが人気です。私もいくつかお気に入りのサービスを契約しています。
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VINYL ME, PLEASE
みんな大好き Vinyl Me, Please (ヴァイナル・ミー・プリーズ)、略して VMP は、2021年1月から利用しています。毎月1枚、今月のレコード的に送られてきます。
お値段は1ヶ月 $52 (アメリカ国内は $43)、3ヶ月契約だと1ヶ月あたり $50 (米国内は約 $39.7)、6ヶ月契約だと1ヶ月あたり $47 (米国内は $36.5)、12ヶ月契約だと1ヶ月あたり $42 (米国内は $33.25)、となっています。前払いです。
じゃっかんお高めではありますが、海外から送料込みのため、法外に高いとはいえないでしょう。
ただ、2020年9月より前はもっと安く設定されていたようで、値段があがったタイミングでかなり話題になったようです。
選べる4つの購読コース
現在、購読コースは4つあります。
2013年1月にスタートした「Essentials」が、最も古くからあるコースで、ジャンル横断的に、かつ、新旧とりまぜ、ぜひ聴くべき各ジャンルからのセレクトとなっています。
2021年10月のアルバム「Veckatimest / Grizzly Bear (2019)」で 106番目のリリースです。
2017年6月にスタートした「Classics」は、ジャズ/ブルース/ソウル系にフォーカスした、いわゆる「名盤」と言われる、少し古め(〜1970年代)のリイシューとなります。
2021年10月のアルバム「Life is a Song Worth Singing / Teddy Pendergrass (1978)」で 53番目のリリースです。
その3ヶ月後の2017年9月からスタートした「Hip-Hop」では、ラップやヒップホップの高評価盤を毎月セレクトしてくれます。
2021年10月のアルバム「When the Smoke Clears: Sixty 6, Sixty 1 / Three 6 Mafia (2000)」で50番目のリリースです。
2021年3月から追加されたばかりの「Country」では、時代を超えたカントリー系の新旧名盤を毎月リリースしてくれています。
2021年10月のアルバム「Montevallo / Sam Hunt (2014)」で8番目のリリースです。
スワップも可能
面白いのが「スワップ」という仕組みで、普段は Essentials を購読してるけど、次に届く盤はすでに持っている盤だから、今回だけ別のコースからの盤に変えたい、といったことが可能です。もちろん、複数のコースを同時購読も可能ですし、1ヶ月だけスポットで別コースの盤を追加購入することも可能です。
実際、私は原則「Essentials」を購読しているのですが、2021年9月の「Enter the Wu-Tang (36 Chambers) / Wu-Tang Clan (1993)」はCD音源で持ってるし、レコードとしてはいらないかなぁ、と思って、「Country」の「Pieces of the Sky / Emmylou Harris (1975)」にスワップしました。
ただ、人気の高い盤はすぐにオーダー数上限に達してしまうので、スワップは前もって早めに行っておく必要があります。
ディジタル時代に人気のレコードサブスク
2017年に書かれた上の記事に書かれている通り、
であったり、
といった辺りが、世界中の多くのファンの支持を得ている理由でしょう。
色とりどりのプレス
たった12人、ほぼ内輪メンバによる購読で始まったという2013年当初のリリースは、かなりマニアックな盤のセレクトが多かったようですが、徐々にビジネスとして軌道にのってくると、大手レーベルや腕利きエンジニアとの協力体制も強化されていきました。
また購買欲や所有欲を高めるためか、マルチカラーヴィニールやスプラッターヴィニールでのプレスも増えてきました。音質的は通常の黒盤の方が安定していると言われますが、最も音質が悪いことで知られるピクチャーレコードよりは音質的デメリットはほぼないと言え、またコレクター心をくすぐる仕掛けとして、うまく機能しているように思います。
音質面でのメリットも
しかも、ここ最近の VMP レコード復刻におけるマスタリング技術やプレス品質の更なる向上 も、個人的には見逃せないポイントです。
アナログ時代の旧譜については、ほぼ例外なく、オリジナルマスターテープからのラッカーカッティングとなっています。
しかも、マスタリングやカッティングを担当するのは ライアン・スミス (Ryan Smith, Sterling Sound) や バリー・グリント (Barry Grint, Alchemy Mastering)、たまに バーニー・グランドマン (Bernie Grundman) といった名手揃いときています。
そして、多くが VMP Exclusive Pressing、つまり、Vinyl Me Please 購読会員でないと入手不可能な新規マスタリング/カッティングの盤となっているのです。
ストリーミングやディジタルダウンロード、CDリッピングなどで楽しんできた各種アルバムが、とてもスペシャルな物理メディアとして購入し所有できる。そういったニーズとしっかりマッチしていると言えますし、そのレコードで得られる再生品質も(元の録音自体のクオリティに依存するとはいえ)最上級のものです。
いつまで購読を続けるかは悩みどころ
未知のジャンルや未聴のアルバムを含めて、1ヶ月に1枚、キュレートされた盤が届く。
この絶妙なペースは、じっくりレコード再生で音楽に向き合うにはとてもいいのですが、同時に物理メディアが毎月1枚増えることも意味します。
とりあえずは1年は続けてみようと思っているのですが、そういう時に限って「おー、来月リリースの盤はむっちゃ欲しい!」というセレクトになってたりするんでしょうね。
収納場所の継続的確保という悩ましい問題も引き続き考えつつ、購読をどこで打ち切ろうか、今後も悩むことになりそうです。