Technics SU-R1000 試聴記 #01: ディジタル系をアナログ入力で試聴

パナソニック勤務の友人の計らいにより、2021年6月19日〜7月2日の2週間に渡って、話題のフルディジタルインテグレーテッドアンプ Technics SU-R1000 をお借りして自宅環境で試聴することができました。本当にありがとうございます。

Technics SU-R1000 Web

お借りしていた間、試聴記を毎日 Facebook に投稿していたのですが、2ヶ月近くたった今頃になって、それらをブログに転載しておこうとふと思い立ちました。

特にオーディオマニアでもない人物によるシロート(笑)なりの書き殴り文章のため、分量がとても多くなりましたので、FB 投稿と同様、全14回 の長編で(加筆修正の後)ここにも転載していこうと思います。

まずは、初日の 6月19日、初めて箱から出して単純に繋いで音出ししただけの状態から。

あらすじ

2021/06/19: Technics SU-R1000 試聴機を借りました

というわけで、某氏のはからいによって、世界中(のオーディオ業界)で絶賛の嵐(?)とかなんとか、の噂の フルディジタルインテグレーテッドアンプ Technics SU-R1000 を試聴用に半月ほど貸していただいてます。

SU-R1000 Box on Bora V6 4Motion

とてもわたしごときに買える(≒買おうと思う)値段ではないですが(笑)

SU-R1000 Unboxed

埋まり気味のラック(やっぱりもう1段増やすかなぁ)、および現状のケーブル長、などの制約があって、トライオード TRX-P300S PSVANE WE300B との比較はあきらめ、普段聴き/BGM 用の エルサウンド EPM-10W (SICショットキーバリアダイオード出川式電源) との比較をするべく接続しました(EPM-10W もホンマにコスパ最強なんですよ、この値段でここまでまともな音が出るのは)。

SU-R1000 Unboxed

ちなみに、2021年6月時点での自宅オーディオ環境はこんな感じです。

仕事中のBGMとしてディジタル系、がっつり聴くときはアナログ系がどちらかというとメイン、という感じです。

System Configuration before testing SU-R1000

さて、このフルディジタルアンプは、楽しみどころがたくさんあって、スピーカの出力補正機能 (LAPC)はもとより、アナログレコードのクロストークキャンセラ、カートリッジレスポンス最適化、など、ディジタルならではの興味深い技術が満載 です。それがオカルト系じゃなくて、ロジカルにきちんと理解可能な説明なのがいい

TAS Jul/Aug 2021

TAS (The Absolute Sound) July / August 2021 号のレビューでも「再生音は」大絶賛の嵐

まずは何も考えずにポン付けで音出しから

で、貸していただいている間に、順に試していくのが楽しみですが、まずはディジタル再生のみから始めることに。

つまり、いま使っている DAC/プリアンプ MYTEK Brooklin DAC+ からのアナログRCA出力を単純に入れた状態で、なんの補正もしないで、素のアンプとしての比較 です。USBからのディジタル直接入力などはあとのお楽しみに。

SU-R1000 Rear View

SU-R1000 のリア
多種多様な入力を備えています

オーディオデザイン社の 高性能スピーカセレクタ を持っているので、ふたつのアンプで A/B テスト的に遊べます。

AudioDesign HAS-3S Pro

AudioDesign HAS-3S Pro

TRX-P300S の代わりに SU-R1000 を接続したので、構成はこうなります。

Brooklyn DAC+ は XLR アナログ出力も備えているのですが、(この試聴時点では)家に XLR ケーブルがなかったので、EPM-10W からの RCA パススルー出力をそのまま SU-R1000 に突っ込む、という安直なセットアップです。

System Configuration as of June 19, 2021

2021年6月19日時点でのシステム構成図

とにかく、どこまでもとことんニュートラルな音の感触 です。「ディジタル臭さ」ってなにそれおいしいの、っていう位、ニュートラルです。うちのシステムも(スピーカ以外は)基本的には色付けなしなニュートラル系(レベルは低いけど)だと思ってるので、違和感なく聴き始められました。

で、SU-R1000 通電直後は「おー、ソリッドステートの EPM-10W、安いなりにすごく頑張ってるじゃないの、やっぱり素性はいいね〜」という感じで、正直なところ微妙な差しか感じませんでした。

初回通電後数時間で早速音が凄い変化

ところが、通電後数時間経って、徐々にその差が大きくなってきました

特に高音域の透明感と無歪感が素晴らしい。どこまでも透明です。

逆にむしろ EPM-10W の「ソリッドステート臭さ」を感じてしまうほどです。

実際には、EPM-10W に罪があるわけじゃなくて、10W+10W の最大出力では大音量時に十分にドライブできてないってことなんでしょうけど。ここはうちの 8W+8W な 300B アンプと比べても劣る箇所でもあります(やっぱり TRX-P300S と比較したかったナ〜)。

SU-R1000 Front View

圧倒的に1970年代っぽい外観
Technics SE-A1 (1977) や SE-A7000 (1992) へのオマージュもありそう

で、この「異常なほどの無歪感」は、 SU-R1 から採用された「JENO (Jitter Elimination and Noise-shaping Optimization)」、および SU-R1000 初採用の新技術「ADCT (Active Distortion Cancelling Technology)」というものの効果みたいです。後者は「組み合わせるスピーカーの逆起電力と電圧降下によって生成されるパワー出力段の歪みを除去できる」「スピーカー端子出力とJENO出力の差を判断してひずみを正確に抽出、出力デジタル信号に補正を適用するという仕組み」だそうです。

JENO (Jitter Elimination and Noise Shaping Optimization)

海外向けプレス資料から JENO の解説ページ

ADCT (Active Distortion Cancelling Technology)

同じく海外向けプレス資料から ADCT の解説ページ

とにかく、菅野沖彦さん録音のピアノの倍音とか、空間ぽい録音が秀逸なパーカッシブな音源とか、3ポイントマイクのクラシック録音とか、きてますきてます、いい感じです。アンプの「味」とか「絶妙な色付け」とかじゃなくて、生々しい描写です。なにこれおいしいよ。

遊べるパラメータ満載なのがこれから楽しみ

まだ RCA アナログ入力しか試してない のに既にこれなので、まだまだ遊べるパラメータがたくさんあるのは楽しいです。

あと、インテグレーテッドアンプだから仕方ないとはいえ、やっぱり 物理的にでかい んですよね〜。個人的には機能や性能をスリムダウンした廉価版とか、一部機能を切り出したセパレートとかがあれば、対象に入るかも、くらい(けど、フルディジタルで全てが一体化してるからこそできることでもあるわけで、難しいところですネ)。

SU-R1000 vs TRX-P300S

TRX-P300S がコンパクトな手乗りアンプに見えてしまう

30年前、いや20年前、の自分に聴かせてあげたい(コスパはさておき)素晴らしい音でした、この時点で。

買うことはないですが(しつこい)、これ以上沼にはまらないよう気をつけます(笑) なにごともバランスが大事大事。。。

【2021/09/07 追記】
SU-G700M2 が出ましたね。ADCT 非搭載なのが残念ですが。

SU-R1000 試聴記 #02 (2021/06/20, LAPC テスト)」に続く . . .

Leave a Reply

Your email address will not be published.