Technics SU-R1000 試聴記 #11: 内蔵ディジタルフォノイコ (補正前)

試聴11日目 (2021年6月29日) は、ついに SU-R1000 内蔵のディジタルフォノイコを試します。ただし、まずは測定レコードを使った補正はなしで。

パナソニック勤務の友人の計らいにより、2021年6月19日〜7月2日の2週間に渡って、話題のフルディジタルインテグレーテッドアンプ Technics SU-R1000 をお借りしての自宅環境で試聴です。

前回 まで同様、当時 Facebook に毎日載せていた試聴記の(加筆修正後の)転載となります。

GyroDec / GE VRII playing EmArcy 78 rpm

あらすじ

2021/06/29: やっと内蔵ディジタルフォノイコの試聴に

SU-R1000 とは関係ない「某機器」を本日 MUTEC につないで、あれこれ設定してみたところ、ディジタル再生で再びヴェールが2枚も3枚もはがれました。なんじゃこりゃ凄すぎる、鳥肌。

この件はまた改めて。

で、この借りているテクニクスの高級プリメインアンプは、あと数日で我が家から去っていくので、耳を以前の音に慣らすために、今日は1〜2時間、元々使っていたBGM用アンプで聴きながら仕事をしました。SU-R1000 を借りる前は、この音で満足していたんだよなぁ、と思いながら、耳と感性のダウングレード作業です(笑)

さて、ポチっていた Belden 88760 2m が届いたので、ついにアナログレコード再生、というか、SU-R1000 内蔵のディジタルフォノイコの性能を確かめる時がやってきました。フォノケーブル差し替えなので、俊敏に切り替えて A/B テストができないのが残念ですが。

SU-R1000 Manual

SU-R1000 (製品版) マニュアル PDF より引用
左が英語版、右が日本語版

SU-R1000 Manual

2021年6月29日のシステム構成図
ついに SuperNova を介さずに直接 SU-R1000 にフォノ入力

最初にかけるレコードは、敢えて古い盤に

ディジタルフォノイコ試聴にあたり、一番最初にかけるレコードは、あえて最新録音とか高品質プレスとかではない、60年以上前の Capitol レーベルの愛聴盤、中古ジャズレコードです。

スクラッチノイズなどがどう聴こえるか、絶対気になるはず、と見込んで。

結果として、この見込みは正しかった、とあとになって分かりました。

Capitol ST-993 Label A

長年の愛聴盤、1957年9月17日録音の至極の名人芸
“Jazz Ultimate / Bobby Hackett & Jack Teagarden” (Capitol ST-993)

Jazz Ultimate / Bobby Hacket and Jack Teagarden

左はモノーラル盤 (Capitol T-993)、右はステレオ盤 (Capitol ST-993)

(以下の Apple Music では、1955年モノーラル録音の “Coast Concert” からの音源もランダムに配置)

満を持してディジタルフォノイコ試聴準備

まず、6日目10日目 同様、現在のフォノイコ Musical Surroundings SuperNova II の出力をアナログで SU-R1000 に繋いだ音から再確認。カートリッジは、いちばん大好きな SPU Royal G Mk.II です。

透明度が高く、SPU Royal らしいコクもいい感じで引き立てられ、さらに SU-R1000 のノンカラー感・無歪感・高鮮度感とあいまって、聴き慣れた音がさらにヴェールをはがしたような、素晴らしい音です。そして SuperNova II のポテンシャルが最大限に聴き取れるのが嬉しいです。

この音は数日前にすでに体験済みです。

ここで SU-R1000 に直接つなぎます。

SU-R1000 のフォノ入力 は、MC 入力の場合 入力インピーダンス 50Ω とのことで、内部インピーダンス7Ω、推奨負荷インピーダンス100Ω以上、である SPU Royal G とベストマッチングではないかもですが、とりあえず聴いてみます。

「不思議な」音

ものすごく鮮度高く鮮烈な音に聴こえます。まるでアナログじゃないみたい

とにかくレコード再生で聴いたことのない感触の音です。

けど、あれ、なんだかたまに薄っぺらく感じるぞ。そして音がとてもディジタルっぽくシャリシャリ感が増しているような気が。

さらに、プチノイズの音の感触が、なんかおかしい。すごくクリーンでいい音でもあるんだけど、やっぱりどこか人工的な音に聴こえます。特にスクラッチノイズが違和感ありまくりでした。

スクラッチノイズの音をシンセで再現したような謎の音の感触。インピーダンスマッチングだけが理由じゃないような気がします。

やはり本領発揮はキャリブレーション後か?

これは意外な結果でした。

なぜなら、いままで散々聴いてきたディジタル系再生では、確かに直接 SU-R1000 に USB や S/PDIF RCA 入力した場合は、若干シャキシャキ感が増して聴こえる気がする(MYTEK からのアナログを通すとえもえわれぬ美しい音になる)ものの、とてもディジタル音源とは信じられない美しい音を出していたのに(個人的には MYTEK からのアナログ入力の方が好みでしたが)。

SuperNova II からのアナログ入力による、レコード再生も素晴らしいものだったのに。

なのに、なぜか内蔵ディジタルフォノイコを通すと、言うなればシャリシャリ感が増して聴こえます。帯域バランスも、下が薄いというか、上が出過ぎというか。ほぼ誤差のない RIAA カーブという謳い文句だったのに、これはいったいどうしたことだろう、と。

もちろん、すごくいい音であることには間違いなく、重箱の隅レベルでの指摘かもなのですが。けどやっぱりなにか違和感が残ります。

アナログ入力のフルディジタルアンプとしてはもうメロメロになりそうなくらい素晴らしいと感じるのに、ディジタル入力で使うと(わたしには)違和感が感じられる。ディジタル入力の方が使いこなしが難しいってことなんでしょうか。それもなんだか不思議な気がします。普通逆ですよね。。。

けど、私は知ってます。

この SU-R1000 には、さらなる目玉機能である「カートリッジ特有のクロストーク特性を測定・改善する『Crosstalk Canceller』」そして「カートリッジの周波数特性の乱れを補正する『PHONO Response Optimiser』」というディジタルならではの補正機能があることを。

SU-R1000 Calibration Record Label A

SU-R1000 に付属している、測定用レコードのレーベルA面

明日、付属している測定レコードを使って、その機能を試して、音がどう変わるか、楽しみにしています。

しかし SuperNova II はやっぱり優秀だなぁ〜と再確認できたのも収穫でした、Michael Yee さん、改めて本当にありがとう。

SU-R1000 試聴記 #12 (2021/06/30, 測定レコードによる補正後、ディジタルフォノイコ試聴)」に続く . . .

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