試聴 3日目(2021年6月21日)は、主にUSBディジタル入力とRCAアナログ入力の比較テストです。ディジタル入力のフルディジタルアンプ、対、アナログ入力のフルディジタルアンプ、軍配はどちらに?
パナソニック勤務の友人の計らいにより、2021年6月19日〜7月2日の2週間に渡って、話題のフルディジタルインテグレーテッドアンプ Technics SU-R1000 をお借りしての自宅環境で試聴です。
前回 まで同様、当時 Facebook に毎日載せていた試聴記の(加筆修正後の)転載となります。
Contents / 目次
あらすじ
- #01: アナログライン入力、何の補正もせずに試聴
- #02: アナログライン入力、LAPC補正の効果を試聴
- #03: USBディジタル入力で試聴
- #04/#05: S/PDIF RCAディジタル入力との比較
- #06: 外部フォノイコ経由アナログ入力でのレコード再生
- #07/#08/#09/#10: 引き続き、外部フォノイコ経由アナログ入力でのレコード再生
- #11: 内蔵ディジタルフォノイコでのレコード再生、ただし測定レコードによる補正なし
- #12: 測定レコードによる補正ありでの、内蔵ディジタルフォノイコの試聴
- #13: 12日間の試聴をうけての、雑感あれこれ
- #14: 総論と後日談
2021/06/21: USB 直入力を試してみました
3日目の今日はついに、ディジタル (USB) で直接 SU-R1000 に入力してみて、MYTEK Brooklyn DAC+ からのアナログRCA入力との比較を行いました。
つまり、アナログ入力のフルディジタルアンプと、ディジタル入力のフルディジタルアンプとの比較です。
MYTEK に直接接続していた USB ケーブルを SU-R1000 の USB-B 端子につなぎました。もう1系統のUSB(MUTEC → MYTEK → RCA出力)との比較です。
当初、そもそも mac から SU-R1000 が認識されなくて一瞬焦りました。
あれ、なんでだ?と思っていたら、SU-R1000 側で PC (USB) 入力を選択しないと、mac 側から USB デバイスとして認識されない ということのようです。
つまり、音質を優先するために、セレクタで USB 入力を選んでない時は、電気的に完全に遮断してる ようです。なるほど。
アナログ入力 vs ディジタル入力、比較試聴は?
で、比較試聴ですが、正直どちらも素晴らしい です。
ただ、好みの差こそあれ、SU-R1000 に直接ディジタルデータをぶっ込んだ方が、確かによりニュートラルで、透明で澄み切ってます。
直接 SU-R1000 に USB ディジタル入力した場合に比べ、MUTEC → MYTEK → SU-R1000 というアナログ入力の方は、中低域に少し色がつく感じになります。あと高音域の透き通り方にも微妙に違いが感じられます(「鮮度の劣化」ではないですが)。
もちろん SU-R1000 直刺しの方がより「ピュア」「元データに忠実」なんだと思いますが、評価軸1次元ではなく、ここまでくると好みで分かれる気はします。
つまり、相当ニュートラルだと思っていた MYTEK ですら、そのアナログプリアンプ部分で、ある程度「色」がついている、ということを確認できたということになります。そういうことを客観的に認識できただけでも大収穫だと思います。
個人的には、MYTEK Brooklyn DAC+ のアナログプリを通って、SU-R1000 にアナログ入力された音の方が、じゃっかん中低域に色はついているものの、好みの音だと感じました。
いずれにせよ、パワーアンプとしての SU-R1000 の無歪感透明感が素晴らしいことに変わりはありません。接続される機器それぞれの個性を淡々と表現していると感じられます。
そういう意味で「リファレンス」という名前は非常に適切だと感じました。
ちなみに、この時の試聴音源は、先日同様 ナタリア・M・キング さんの「SOULBLAZz」(2014) というアルバムの、ディジタル配信のみのボーナストラックに入っている「Who Knows Best」 (24/44) という曲、および、フランク・ザッパ (Frank Zappa) の大名盤「Hot Rats」(1969) の未発表セッション等集大成ボックス「The Hot Rats Sessions」(2019) の前半部分です。手の込んだミキシングやライブ/スタジオ録音の編集などで知られる御大ザッパさんですが、ミキシング前のマルチトラックマスターからストレートにダウンミックスされた音源は格別です。
USB入力 + LAPC ON では 0.8秒程度の再生遅延あり
一方、あることにも気付きました。
SU-R1000 に直でUSB接続した状態で 先日の LAPC 測定時の動画 を SU-R1000 から流してみていたのですが、MYTEK アナログ出力を SU-R1000 に繋いだ場合に比べて、映像より音声が0.8秒程度遅れています。
MUTEC→MYTEK からのアナログ入力の場合は正しくシンクロしています。
ということは、SU-R1000 の USB 入力は、内部で相当量バッファリングを行い、ジッター除去してDSP処理かましたのち、パワー段に送っているってことですね。
同じく DSP 処理をしている LAPC については、アナログ入力の場合、LAPC ON/OFF にかかわらず、音声の遅延は発生していないので、USB 入力まわりに特有なのかもしれません。
念の為、読みにくいマニュアル(笑)を読んでみたところ、こんな記述がありました。
「LAPC」を「On」設定中に音声が遅延する場合は、「Low Latency」に設定し調整してください。
で、仰せの通りに Low Latency に設定してみました。
結果、0.8秒程度の遅延が0.4秒程度になりました。明らかにバッファを小さくしてますね(笑)けど 0.4秒程度ですから、知覚可能な(気になる)遅延です。
で、LAPC ON を OFF にすると、USB入力であっても、確かに一切遅延がなくなります。
で、繰り返しになりますが、アナログ入力の時は LAPC ON でも OFF でもほぼ(知覚可能なレベルでの)遅延はありません。
よって、USB 経路からの LAPC ON による DSP 処理の時のみ、遅延が発生している ようです。
Facebook 上で知人から
えっ、て事はUSBはピュア専用でAV用途には使えない?
何か設定が有るのでしょうか?
というコメントをいただきました。
けど、よく考えたら、AV目的ならばきょうび HDMI 入出力が主となるわけで、アンプ内部でディジタル音声処理する遅延にシンクロさせて映像をHDMI出力すればいいだけですよね。
つまり、HDMI 入出力を備えていない SU-R1000 は、もともとAV用途なんて考えてないピュアオーディオ製品である、と。
わたしのように、安直にPCに接続し、BGM を流したり YouTube を観たり、はては zoom オンライン会議の音声出力に使ったり(笑)なんてカジュアルユースは想定外、というわけです。そらそうだ。
ともあれ、明日以降 S/PDIF RCA 入力で遅延が発生するか、確認してみます。
明日以降も楽しみ
明日以降は、
- mac → (USB) → MUTEC → (AES/EBU) → MYTEK → (アナログRCA) → SU-R1000
- mac → (USB) → SU-R1000
の比較に加えて、
- mac → (USB) → MUTEC → (S/PDIF RCA) → SU-R1000
の経路、つまりMUTECそのものの効果を探ってみます。
本当ならば超高精度外部クロックを導入してからにしたかったですが、とりあえず。
いちばん試したいアナログ(レコード)系統は、まだまだ先になりそうです。。。
「SU-R1000 試聴記 #04/#05 (2021/06/22-23, 娘による試聴、および S/PDIF ディジタル入力のテスト)」に続く . . .