Kohji Matsubayashi (松林弘治)

Howard Roberts, Teo Macero and Miles Davis

先日、Twitter 上で Sugar さんが、Miles Davis の Nefertiti について、こんなことを書かれていました。

プロデューサーがテオ・マセロのものと、ハワード・ロバーツが担当のものと2種類で構成されている。プロデュース担当曲数もほぼ同じ(ジャケ裏参照)。で、このハワード・ロバーツって一体誰なの?まさかギタリストではないよね。またテオ・マセロがプロデュースした曲の録音エンジニアはフレッド・プラウトで、ハワード・ロバーツがプロデュースした曲はスタン・トンケルが録音担当となっているけど。

Sugar-san's tweet on 13:59, May 20, 2023

さすがにあの Wrecking Crew の Howard Roberts さんじゃないよね…、ってことで、この方のことを自分なりに調べてみました。

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Kohji Matsubayashi (松林弘治)

Good Vibrations (78 rpm) / The Beach Boys

世界で最も有名な未完のアルバム、といってよいであろう、ビーチ・ボーイズ (The Beach Boys) の「SMiLE」関連の音源は、過去に何度となくリリースが噂されてきました。古くは1973年にリリースしようとしていたことが明らかになっていますし、1988年にもボックス化される話がありました。

Maybe the most famous “unreleased” album ever – “SMiLE” by The Beach Boys. There has been so many rumors and announcements in the past about releasing the SMiLE era outtakes in one package. The oldest attempt to finish the Smile album known so far was in 1973. Later in 1988 another attempt was made to release SMiLE materials.

 

で、今回も「Smile Sessions」が出る出ると話題になっていますが、さて本当に出るのでしょうか。予想通り当初の予定からは遅れつつあるようで、現時点での最新情報では2011年8月9日リリースとのことです。

Recently yet another announcement was made that the “Smile Sessions” will be released in 2011 – the release date was slated again several times, but anyway the most recent news says it will be out on August 9, 2011.

 

先月、そのリリースの予告編として、“Good Vibrations”“Heroes And Villains” をカップリングした10インチアナログがリリースされました。なんと 78回転 です。

Last month an interesting title was released, probably as a trailer of the Smile Sessions – double 10-inch vinyl release, coupling “Good Vibrations” and “Heroes And Villains”, on microgroove 78 rpm!

 
Good Vibrations c/w Heroes And Villains / The Beach Boys
(Capitol 509990 98341 18)
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Kohji Matsubayashi (松林弘治)

My Best 5 Acquisitions in 2005

あっという間に2005年は過ぎ、2006年を迎えました。今年も宜しくお願いします。

The year 2005 passed so fast, and here comes the next year 2006 already. I sincerely hope you’ll have another nice year as vinyl/music collectors.

昨年1年間は、コレクターとしてはあまり成果があった年とはいえませんでしたが、またまたいろんな音楽に出会うことができました。振り返って個人的ベスト 5 (プラス、番外編) を列挙してみましょう。

Speaking of myself, the year 2005 was not the best one as a collector, but there are several “great” acquisitions as well as finding a great music. Here is my own “best five” (plus an extra title) …

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Kohji Matsubayashi (松林弘治)

Triangle / The Beau Brummels

Rhino Handmade, a renowned label recognized for its numerous invaluable limited-edition CDs, has been satisfying the desires of hardcore collectors since its inception in 1999. This project is a standout endeavor by Rhino Records. Over the years, there have been countless titles on my wish list that I’ve been unable to obtain. Here’s a look at the latest release from the Rhino Handmade label, which I was fortunate enough to purchase recently.

Rhino Handmade RHM2-7892 Spine

Magic Hollow / The Beau Brummels
(Rhino Handmade RHM2-7892)
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Kohji Matsubayashi (松林弘治)

Pete LaRoca’s Turkish Women at the Bath

Blue Note レーベルにおいて Sonny Rollins, Jackie McLean, Joe Henderson, Freddie Hubbard といったアーティストと共演し、同レーベルに唯一のリーダーアルバム “Basra” (Blue Note BLP-4205/BST-84205, CD リイシュー) を残した Pete ‘LaRoca’ Sims。 その独特のタイミング/リズムセンスで個性的なドラミングを披露したスタイリストの、 引退直前の 1967年に Douglas レーベルに残したリーダーアルバムです (1979年に復帰されますが)。

Pete ‘La Roca’ Sims is a drummer who played with such artists as Sonny Rollins, Jackie McLean, Joe Henderson, Freddie Hubbard (all on Blue Note label), and who also left his leader album “Basra” (Blue Note BLP-4205/BST-84205, CD reissue). This LP, presented here, is the last leader album on Douglas label by the unique drum stylist with refreshing rhythmic/timing sense, just before he decided to leave music in 1968 (BTW he came back playing Jazz in 1979).

[SD-782 Front Cover] [SD-782 Back Cover]
Turkish Women at the Bath / Pete La Roca
(Douglas SD-782)
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Kohji Matsubayashi (松林弘治)

37 Years After the SMiLE


[T-2580 Front Cover]    [79846-2 Front Cover]
左は 1990年前後(?)にリリースされたブート CD (No Label T-2580),
右は今回の CD (Nonesuch 79846-2)

先週,とうとう Brian Wilson Presents Smile がリリースされました (本国版は 9月末リリースだったそうですが). 遅れ馳せながら本日米国版 CD を購入,涙を流しながら聴き入りました.

データの類や,「語られつくされつつある」お馴染みのストーリーはレコードコレクターズ11月号の特集記事などを見れば分かることなので,ここではあまり触れませんが,今まで断片的に公開されてきた Beach Boys の音源 – “Smiley Smile”,“20/20”,“Sunflower”,“Surf’s Up”,“Rarities”,ブート LP 数種,ビデオ “An American Band”,幾多のブート CD,“Good Vibrations” ボックス,1990年代の CD リイシューのボーナストラック,その他いろいろ – や,Domenic Priore 氏の書籍 “Look! Listen! Vibrate! Smile” などを通して,永遠に解けないパズルと格闘するかの様に悶々としてきたファンも多かった “Smile” (多分に洩れず私もそのクチです).それが,ここ最近復調著しい Brian Wilson さん御本人と現在のバックバンド,そして Van Dyke Parks さんなどによって作られたこの新録 “Brian Wilson Presents Smile” によって,一応のピリオドが打たれたというわけです.

この CD で聴ける新録 Smile は,近年のライブ活動を通じて丹念に練り上げられたアレンジをベースにしています.既に Smile ライブ音源もあれこれとブートで出回り出しているようです (未入手.正規で出るまでは買わないとは思いますが…).

見ての通り,ジャケットはかなりしょぼいです (オリジナルで使われるはずだったジャケットも充分にしょぼいですが).けれども,内容は全然しょぼくなかった.これは嬉しい誤算でした. ある意味,これでやっと「万人に文句無く勧められる」作品になってくれたとも言えます.

新録であるけれども,アレンジはオリジナル録音の断片に忠実で,また録音もあの「空気」を見事に再現したもの.足りないところは新たに作詞作曲し,構成も練りに練って,本人の手によってようやく完結した今回の CD.単なるセグメントの羅列ではなく,きちんとトータリティを打ち出した三部の組曲風に仕上っているのは,(それが本来の “Smile” になるはずだったものと同じかどうかはさておき),本人作ならでは.ヴォーカルは残念ながら (当然) あの天使のようなハイトーンが全く出ない現在の Brian さんではありますが,内容の余りの充実ぶりには文句無しに感服しました.1967年に出るはずだった “Smile” そのものではあるはずがありませんが,それに最も近い (あるいはその発展形) ものであることは確かです.

1995年にリリースされるはずだった (けれども Brian さん本人の許可が降りずに日の目をみなかった) “Smile Sessions” ボックスに相当するものは,Brian さんが元気に活動している限り出ることはないでしょう.けれどもあくまで未発表アルバム (になるはずだったものの断片群).ご本人が,37年後にこうやって新録ではあれ一応のおとしまえをつけ,しかもそれが (危惧していた様に「昔の名前で出ています」的なズッコケ新録音になることなく) 実に素晴しい作品になっていることに,何はさておき感謝感激するしかありません.私が 1999年にライブを聴きに行った時には,まだかなり音程も怪しく,懐メロ大会的なライブでしたが,ここ数年でぐんとパワーアップした結果がこのアルバムの充実ぶりに表われています.

今後の活躍に期待せずにはおれません.いや,こんな切札をとうとう切ってしまったのですから,この次のアルバムが本当の正念場になることでしょう.

“Pet Sounds” 同様,「時代の音」から超越しているであろうこのアルバム.今,私が興味があるのは,Brian のことも Smile にまつわるあれこれのことも何も知らないリスナーが,この 2004年に予備知識なしに初めてこのアルバムを「新譜」として聴いてみて,どういう感想をもたれるのだろうか,ということです.

… 「幻」であったが為か,ここ10年程余りにも祭りあげられている感なきにしもあらず,の Smile ではありますが,ここは何も言わず,素直にこの CD を聴き敬礼することにしましょう …