2024/10/30

How Records Were/Are Manufactured (5)

第1回第2回第3回第4回 に続き、戦後のレコード製造工程や原材料の歴史を改めて調べてみた、そんな記録です。

5回目となる今回は、1964年の Burt Bacharach = Hal David 両氏へのインタビュー記事に登場する射出成形スチレンシングル盤への不満という面白いエピソードのほか、英国の射出成形ヴァイナル盤研究開発を捉えた興味深い動画の紹介、同じく射出成形ヴァイナル盤製造を1970年代に行っていた日本コロムビアの学術論文、最後に21世紀になって登場した「エコフレンドリーな」射出成形PET盤について、それぞれみていきます。

レコード業界における射出成形による製造法の役割が、長期的なコスト削減および生産効率向上、という目的から、持続可能なレコード文化存続へ、とシフトするさまを現在進行形でみているんだなぁ、という思いを強くした学びでした。

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2024/04/06

Things I learned on Phono EQ curves, Pt. 21

EQカーブの歴史、ディスク録音の歴史を(私が独りで勝手に)学ぶ本シリーズ。前回 Pt.20 では、1954年〜における米国の各レーベルの RIAA 対応状況について各種資料から追いました。また、過去〜現在における EQ カーブ調査の系譜についてまとめました。

On the previous part 20, I looked for trace of how the U.S. labels migrated to RIAA, after the standardization of RIAA Recording and Reproducing Standards in early 1954, by researching various documents and magazines. Also I examined the genealogy of the studies and researches on EQ curves, from past to the present.

多忙等のため少し間があいてしまいましたが、今回の Pt.21 です。もともとは、今回を最終回として、今まで触れられなかった小トピックのほか、ここまでの学びの総括を行い、全体をどのように捉えるのがもっとも論理的整合性が高いと考えられるか、を考察するつもりでした。

After a long absence, here’s the Pt. 21. Initially I was thinking to make this part the summary and conclusion part of the entire series, including some other minor topics, as well as my final consideration of the history of the EQ curves, based on the whole study I have conducted, to find the most logical and consistent.

しかし、その「小トピック」のひとつを書き始めてみると、予想以上に分量が増えてしまったため(笑)、今回は、録音カーブの視点から眺めた「テストレコード」についてのみ扱うことにします。

However, once I started writing one of the “minor topics”, it became longer and longer… so this time I’m going to deal only with a variety of “Test Records”, from the viewpoint of disc recording curves.

ですので、当連載はもう少しだけ続く予定です(笑)

So this series of articles will be continued for a little while longer 🙂

Freq. Response Graph FPR0468H3 of DENON 103-R No. 9076 plotted using JVC TRS-1005

Frequency response graph sheet (Nippon Columbia FPR0468H3) that came with DENON 103-R Serial No. 9076, plotted using JVC TRS-1005 test record.
私が所有する DENON 103-R カートリッジ(シリアル番号9076)に付属してきた、JVC TRS-1005 テストレコードを使った特性グラフシート(日本コロムビア FPR0468H3)

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2023/04/02

What the “EP” Originally Stands For, Pt. 2

10年近く前に、「レコードにおける『EP』とは、いつ生まれた用語なのか、元々どういう意味で使われていたのか」について調べた記事を掲載しました。いろんな方に読んでいただき、また多くの方に追加情報を寄せていただきました。

今回は、その2012年の記事の後に、知った/見つけた/分かった、追加情報について、後日談としていくつか紹介してみることにします。

Now RCA VICTOR introduces “EXTENDED PLAY 45”

source: “How to play records for money”, The Billboard, Vol.64, No.43, October 25, 1952, p.44

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2022/04/11

First commercial Direct-to-disc LPs in 1969

In 1969, “the world’s first” “commercial” “Direct-to-disc” microgroove LP records were released, from the Nippon Columbia label. The “Columbia 45rpm Direct Cutting Series” consists of six 45 rpm Direct-to-disc albums.

「世界初」の「市販用」「ダイレクトカッティング」LPレコードがリリースされたのは1969年のこと、日本コロムビアレーベルからでした。シリーズ全6枚、すべて45回転でした。

Columbia 45rpm Direct Cutting Series

(from inside gatefold of 45PX-2008-AX)

This wonderful set (containing superb performances in wonderful sound quality) of six records are the very first examples of Direct-to-disc LP records – many of that were produced by various labels around the world and sold mainly in the 1970s.

1970年代に世界中のさまざまなレーベルから、主に「オーディオファイル向け」と銘打ってダイレクトカッティングレコードが大量にリリースされる先駆けとなるものです。実に生々しくそして素晴らしい演奏内容となっています。

Please note that almost all of the 78 rpms (until mid-1940s) were Direct-to-disc records; also, during the microgroove LP years, many of the audio testing records (primarily for audiophiles etc.) were also Direct-to-discs.

また、元々はSP盤の時代、1940年代前半までは、全てのレコードがダイレクトカッティングであったわけですし、LP時代に突入してからも、オーディオチェック用のテストレコードなどは、ダイレクトカッティングで製造されているものが多かったことも記しておきます。

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