How The Funk Was Won: The Simonger & Funk Story, Pt. 5 (Extra Edition)

サイモンガー&ファンクの主要メンバー(サイモンガーさん、ファンクさん、ファンクラ大臣さん)へのロングインタビューは、前回の Pt. 4 でついにサイモンガーさんとファンクさんが出会われた時期(1993〜1994年頃?)まできました。

今回は、インタビュー本編はちょっとお休みさせていただきまして、年末特別編 として「今までに影響を受けた20枚」をお届けします。

2015年11月7日のインタビューの際、皆さんに「思い入れのある、あるいは強く影響を受けたレコード/CDを持ってきていただければ」とお願いしました。また後日メールで、インタビュー当日にお持ちいただいた盤を含め20枚を改めて選出していただき、それぞれにまつわるエピソードも含め、お三方に熱く語っていただきました。

インタビューのバックナンバー

  • パート0(ちびっこインタビュー編)
  • パート1(サイモンガーさんと大臣さんの小中学生時代〜初めて出会うまで)
  • パート2 (Extended Version)(豊橋・豊川での精力的なバンド活動編)
  • パート3(圧倒的なインプットの時期、レコード漁り編)
  • パート4 (ファンクさんの音楽ことはじめ〜サイモンガーさんと初めて出会うまで)



またまたライブ告知

ファンクラ大臣さんの12月20日「momoholic in tokyo – joint live 2015 winter -」は大変な盛況だったそうです(私は行けずに残念。。。)

かたや サイモンガー・モバイル さん。2015年12月26日(土)、新宿の ゴールデンエッグ にて、FREEFUNK さんと2マンで大忘年会ライブを行います。クリスマスのあとはモバイルファンクで熱く盛り上がりましょう!(私も行けるといいな。。。)

12/26、新宿ゴールデンエッグで今年最後のライブ! FREEFUNKさんとともに盛り上がりますよ!

Posted by サイモンガー・モバイル on Sunday, November 29, 2015



それでは特別編のはじまりです。サイモンガーさん、ファンクさん、大臣さんの順で、それぞれ思い入れのある盤を20枚ずつあげていただきます。最後におまけもあります。

インタビュー登場人物

サイモンガーさん

サイモンガー(加藤)さん

ファンクさん

ファンク(小野寺)さん

大臣さん

ファンクラ大臣(陶山)さん

筆者の娘 (8歳)

筆者の娘(8歳)
(写真は5歳当時)

筆者

筆者




影響を受けた20枚:サイモンガーさん編

インタビュー当日にお持ちくださった、サイモンガーさんセレクション

インタビュー当日にお持ちくださった、サイモンガーさんセレクション

1. Technodelic (1981) / YMO

「売れた作品の後に、そのスタイルにとらわれず新しい事をやる」という姿勢に強い影響を受けました。プリンスの「Around The World In A Day」、椎名林檎「加爾基 精液 栗の花」なども近い匂いを感じる作品です。

2. Now Do-U-Wanta Dance (1977) / Graham Central Station

タイトル曲の A-2「Now Do-U-Wanta Dance」から、B-1「Crazy Chicken」まで続く、血管のちぎれそうなファンク連発に爆笑するしかなかった作品。このアルバムをダビングしたテープが大臣から郵送された際、封筒に「殺人予告」と書いてありました。

3. Chocolate City (1975) / Parliament

このアルバムの「コンパクトなファンクがまとまっている感」がお気に入りです。ライブでは長くやってくれてもいいんですが、スタジオ音源は短いのが好きです。

4. かくれんぼ (Human’s Lib) (1984) / Howard Jones

音楽のスタイルにさほど影響を受けたわけではありませんが、デビュー当時のハワード・ジョーンズがやっていた「ひとりライブ」には感銘を受け、現在のサイモンガー・モバイルのお手本となっております。
輪唱コーラスをディレイで再現したり、曲中のシーケンスパターンは一つにしぼってそのシーケンスが不要な時はボリュームペダルで下げるなどの、元曲からの引き算の仕方に痺れました。

5. It’s Your World / Gil Scott-Heron & Brian Jackson

ギルスコとボビー・バードが理想のボーカリストです。

6. 思いきり気障な人生 / 沢田研二

小二の頃にはじめて観に行ったコンサートがジュリー。シングルバージョンだとサビで始まる「サムライ」が、Aメロから地味に始まるところとかが気に入って良く聴いてました。

7. Black Album / Prince

87年(88年でしたっけ?)の発売直前にリリース中止となった瞬間から各種ブートが出まくったアルバムで、入手自体がゲームのようだった作品。大臣が最初に買った盤は、隣の部屋で鳴ってるのを生録りしたような音質の上に半音高いというヒドイ代物でしたが、私が買ったCDはそこそこ良い音で、しかも「Movie Star」などの人気ブート曲も一緒に入ってるお徳な盤でした。この作品を入手するまでの色々がなければ、プリンスにここまでハマることもなかったのかな、という意味で大きな一枚です。

8. Cameosis / Cameo

バース1小節目2拍目のスネアを抜くとカッコイイ。「モバイルファンクの頂点」でも何曲かやってるので見つけてみてください。

9. Cyclone / VOW WOW

高校の頃に衆議院や圧力団体とは別に、VOW WOWのコピーバンドでキーボード弾いてました。山本恭司の作る曲は、なんかフュージョンみたいなコードを多用していて、コピーをすることでコードの勉強にもなって有り難かったのです。作曲面での影響をかなり受けています。人見元基のボーカルも大好きです。

10. As One / Bar-Kays

アルバムのたびに様々なパクリ芸を見せるバーケイズが Cameo を豪快にコピーした1枚ですが、「Boogie Body Land」はバーケイズの曲としても超弩級のカッコよさで、いつぞやの来日公演がこの曲で始まった時は燃え上がりました。バーケイズから受けた一番の影響は、髪型です。

11. JB全般

James Brown 1969

(original photo by ABC Television. Public Domain)

サイモンガー・モバイルの曲終わりにいちいち入るキメは、もちろんJBからの影響です。どの曲をやっていてもこのキメで終われるのは便利だし、その機能はドリフのコント終わりのSEとほぼ同じです。

12. There’s a Riot Goin’ on / Sly and the Family Stone

ファンクの聴き始め頃に、「ファンクの名盤」としてこれを聴いた時、ファンクとやらの奥の深さに呆然としたのを思い出します。「シェフ脱帽」という楽曲はスライへのオマージュです。

13. Bread Alone / Junie

美メロを操るファンク界の変人。憧れます。最近この人、「Knee Deep」のチップチューンアレンジとかやってて、指向性が私と遠くない気がしております。

14. Aliens Ate My Buick / Thomas Dolby

美メロを操るテクノポップ界の変人。2012年の来日公演に行けなくて悔しい。

15. Fulfillingness’ First Finale / Stevie Wonder

「You Haven’t Done Nothing」を元ネタに作ったのが「いぶりがっこ」。

16. 家庭教師 / 岡村靖幸

上京した頃に付き合っていた彼女が岡村ちゃん好きで、当時プリンス狂だった私は多少舐めてかかっていたのですが、聴けば聴くほど、むしろプリンスの影響を剥がした部分の個性が強く刺さってくる事に気付き、いつの間にかファンになって今に至ります。 岡村ちゃんから影響を受けたというか、そもそも声が似ていると言えなくもないので、なるべく影響を受けないように気をつけているのですが、其処彼処に影響は出ていると思います。

17. 9 tunes (for mirai) / 人生

電気グルーヴの前身にあたる、石野卓球と畳(ピエール瀧)を中心とするユニット、86年の作品です。当時豊橋豊川のバンド界隈で猛烈な人生ブームが起こり、かごやはうすでの初ライブには(当時のアー写を模した)新聞紙を着用した高校生男子が大挙して押し寄せる事態となりました。毒と下ネタに満ちたチープで短いテクノポップで、シンパシーを感じながら活動を追いかけておりました。コピーバンドもやりました。

18. Dial M-A-C-E-O / Maceo Parker

この人のタイム感が目標です。サックスはもちろんボーカルが素晴らしい。本人はボーカルに自信がないとの事ですが、もっと歌ってほしい。

19. Tin Drum / JAPAN

YMOで音楽に入った人間は、その後クラフトワークかジャパンのどちらかに進路を決めるわけですが、私はYMOを歌モノのバンドと捉えていたので当然ジャパンに行きました。当時のキーボードマガジンに「錻力の太鼓はYMOの『BGM』そっくり」と書いてあったのもジャパンに傾いた原因です。

20. GAME / Perfume

Perfumeは、物事に打ち込む姿勢においてのお手本。師匠です。直接的な影響で言うと、私のライブの「PDCAコーナー」はPerfumeの「PTAコーナー」からの頂き物です。

影響を受けた20枚:ファンクさん編

インタビュー当日にお持ちくださった、ファンクさんセレクション

インタビュー当日にお持ちくださった、ファンクさんセレクション

1. おふくろさん / 森進一

母親が大好きでいつも大音量で流れていた。テープで聴くぶんにはよかったが、当時テレビで観る森進一は凄まじかった。 子供心にも「大丈夫かな?」と心配になるくらいに怖かった。いつからか急に普通の歌い方になってしまったが、私が小学生の頃はまさに押さえきれない感情の爆発という感じでソウルとういかパンクというか、唯一無二の歌手だった。

2. 東村山音頭 / 志村けん

初めてお小遣いをためて買ったレコード。小学生男子の会話の半分はドリフだったんじゃないかと思うくらい、ドリフドリフだった。中でも荒井注に変わって加入した志村けんの人気は凄くて、休み時間になるとそこら中で「イッチョメ!イッチョメ!ワーオ!」と叫びながら踊っていた。お祭りの時と同じような高揚感で楽しくて楽しくて、ドリフと共に小学生はあっという間に終わっていった。

3. サムライ / 沢田研二

ヒット曲だらけの阿久悠の中でも「サムライ」の「片手にピストル、心に花束、唇に火の酒、背中に人生を、あぁあぁ」で始まる歌詞。ちょっと前まで「イッチョメイッチョメ」言ってた小学生にわかるはずがないのに、なんとなく「男の歌なんだな~、うん、カッコイイ」と心に残った。阿久悠は凄すぎる。数年前に居酒屋のカウンターで知らない酔っぱらいの爺さんが「片手にピストル~心に花束~か、、」とつぶやいていた。男だな。

4. プロレス大全集 / オムニバス

小学生から中学生時代はまさにプロレスブームまっただ中!外国人レスラーにただただびっくりしていた。世界にはこんなに恐ろしい人達がいるんだと。そんな衝撃以外にプロレスは素晴らしい音楽も教えてくれた。
ブッチャーのテーマ、「吹けよ風、呼べよ嵐」ミル・マスカラスのテーマ「スカイ・ハイ」、ザ・ファンクスのテーマ「スピニング・トー・ホールド」、スタン・ハンセンのテーマ「サンライズ」、ブルーザー・ブロディのテーマ「移民の歌」。そして猪木の「炎のファイター」。後に本家モハメド・アリの「アリ・ボンバイエ」(マンドリル)はpart1/2共に大好きなアフロファンクでかなりの影響を受けた。

5. 燃えよドラゴン, バトルクリーク・ブロー / ラロ・シフリン

大のブルース・リーファンだった少年は当然のようにジャッキー・チェンにも熱をあげた。ブルース・リーが「燃えよドラゴン」でアメリカに進出し、ジャッキーが「バトルクリーク・ブロー」で同じ監督そして同じラロ・シフリンでアメリカ進出を果たしたのが本当に嬉しかった。「燃えよドラゴン」はスケールの大きい東洋を意識した強烈な曲だったが、このバトルクリークブローは狭い路地裏のようなこじんまりとした落ち着いた雰囲気の曲。印象的なウッドベースとメロディを口笛で吹いているのがかっこ良くて、友達と近所の土手に集まる時はよくこの曲を口笛で吹きながら集まった。

6. パブリック・プレッシャー / イエロー・マジック・オーケストラ

中学生になり、友達になった奴に「これカッコいいよ、テクノだよ。」と聴かせてもらったアルバム。コンピュータ音楽。ライブアルバム、しかも海外でのライブ。初めてづくしのアルバムは家に帰っても忘れられず小遣いを貯めて自分で買った。しばらくして初めて床屋で「モミアゲまっすぐに切ってください」と言った。小さい頃から髪を切ってくれている床屋の親父は「本当にいいの?」と心配していたが、テクノになりたかった。

7. BLUE / RCサクセション

姉がキャーキャー言ってるので何かと思ったら「レコードを買ってきたから聴こう!」と一緒に聴いた。RCの「ラプソディ」だった。この時は興奮している姉をよそ目にそんなでも無かった。
その次の「プリーズ」もそんなでも無かった。いい曲だけど、音質があまり好みでは無かった。だけど次の「ブルー」は違った。いきなり(当時は)どうやって演奏しているのかわからない音からはじまり、一気に最後の曲まで聴いた。かっこ良くて呆然とした。中でも一番好きな曲は「よそ者」。「港の見える店 遠くに浮かぶあんな船に乗れたら、すぐにおまえをさらってっちまう」色気づいてきた少年はいつかこんな事をしてみたいと思うようになった。

8. 蒼ざめたハイウェイ / チープ・トリック

RCですっかりロック少年になってしまった。そんな時に聴いたのがチープ・トリック。名前のセンスがいい。それとメンバーがいい。色男二人とお笑い担当?二人で、ジャケットの表がイイ男二人がバイクに跨がっているカラー写真。裏面が面白二人が自転車に乗っている白黒写真。しかも逆さまと、徹底的にキャラ設定がしてあって、バンドは音楽をやるだけではなく、こういう所までしっかり考えて作る物なのか。と感心させられた。

9. オートアメリカン / ブロンディ

あぁ愛しの「デボラ」。音楽的にはラップありレゲエありと良い曲がたくさん入っていてブロンディの中で一番すきなアルバム。ラップで有名になった「ラプチャー」の、短いがハードなギターソロの入る所が絶妙で、違う所でこのソロが入っても効果的では無いのだろうなぁと、音楽は構成も凄く重要なんだと認識させられた。でも、買った時はレコードよりもポスターが欲しくてかった。デボラハリーに釘付けだった。このポスターはいまだに宝物だ。

10. ドック・オブ・ベイ / オーティス・レディング

RCの清志郎があまりに「オーティス!オーティス!」言うので、聴いてみた。これがソウルなのか。後半に向かってジワジワと盛り上がってくる。絵が浮かぶ素晴らしい曲だ。
英語はまるで分からなかったが、歌ってみたくなった。ブラックミュージックに入っていく瞬間だった。

11. ブルース・ブラザーズ (サウンドトラック)

この映画を観て「バンドを組んで歌ってみたい!」と初めて思った。レイ・チャールズ/アレサ・フランクリン/ジョン・リー・フッカー、そして!そして!ジェームス・ブラウン!監督のジョン・ランディスは前作のアニマルハウスでファンになっていたが、この映画そしてマイケルの「スリラー」で当時一番好きな監督だった。映画の一番の見所はやっぱりジェイクとエルウッドがジェームス・ブラウン神父の説話でによってバンドを組む、あの教会のシーンだ。あの熱は凄い!映画史に残る名シーンだ。

12. ブルー・マンデー / ニュー・オーダー

ブラックミュージックどっぷりになりかけていた俺に強烈なパンチを浴びせたのがニューオーダーだった。YMOは相変わらず好きだったが「胸キュン」時代に入っていて、ブラックミュージックの合間に聴くような感じだった。そこに久しぶりに強烈なエレクトリック音で、来日公演まで行ってしまった。何かを叩くときについ、あのイントロを叩いてしまう。

13. ジェームズ・ブラウン

James Brown 1973

(original photo by Leahtwosaints. CC BY-SA 2.0)

「ブルースブラザース」を観て以来大好き。リーゼントのJBも、髪が短くてスーツ姿のJBも、ヒゲのJBも、おばさん頭のJBもとにかく全部が好きで、こんな人は二度と現れないんだろうな。
今回のテーマは「20枚」ですが、JBはどうしても入れなきゃいけないし、かといって選べないし。すみません。「ジェームス・ブラウン」という事で。

14. グレイテスト・ヒッツ / ロジャー&ザップ

アルバムも好きで聴いていたが、あの有名なTVショーのライブ?が衝撃的だった。あんなに楽しいライブってなかなか無いのではないか。メンバー全員が楽しそうだし、ロジャーのエンターテインメントぶりは、プロ中のプロだと感激した。
あんなに楽しそうにホースをくわえる人がいるだろうか?ロジャー以外にもトークボックスを使うミュージシャンを観たが、何か「凄いだろ」的な雰囲気をまとっていてホースをくわえる仕草から演奏中まで、底抜けに明るく自然なロジャーとは雲泥の差があるように感じた。ホースをはずした時の声も本当に素晴らしいエンターテイナー。

15. コズミック・スロップ / ファンカデリック

音楽よりもペドロベルの描くイラストが好きでアルバムを揃えた。好きな曲はいろいろあるけれど、この「コズミック・スロップ」のミュージックビデオが凄い。こんなに下品でオバカで意味のない物を真剣にやっている!まわりで観ているギャラリーがひいているようにも見える。イントロと一緒にメンバーがトンネル?から両手を上げて走ってくるシーン。あんなに痛快なミュージックビデオがあるだろうか!あれをやりたい!あんな事を練習したり台割を描いたりして真剣にやりたい。手の上げ具合、表情がダメだとやり直したりしたい。

16. フレッシュ / スライ&ザ・ファミリー・ストーン

「サンキュー」や「ハイヤー」はカッコイイと思ったが「暴動」や「フレッシュ」は地味な印象であまりピンと来なかった。サイモンガー&ファンクの後に始めた自分のバンド「アフロディジアク」。ライブの度にのフライヤーをデザインしていた。バンドメンバーの知り合いのグラフィックデザイナーの人がそれを見て「ウチで働いてみないか?」と声をかけてくれた。3人の小さなデザイン事務所だったが壁にスライの「フレッシュ」が飾ってり、3人共スライの大ファンだった。そこで働くようになり、フレッシュのジャケットを眺めながら、曲を聴きながら毎日を過ごしていると、いつの間にか虜になっていた。それ以来、死ぬ前まで聴き続けるだろうアルバムになった。ジャケットデザインも、色、構図、大胆なホワイトスペース等全てが完璧で、こんなデザインが出来るようになりたいと必死だった。

17. スカイ・ジャイアント / ナターシャ・アトラス

フリーランスで働くようになり、東南アジアを旅するようになった。メコン川を上りベトナムからカンボジアに入る時にこの曲が流れてきた。それから旅の間中青空を見ると頭の中に流れだした。アラビア語?の独特のイントネーションが非常に魅力的で灼熱の太陽が良く似合う。

18. スーパー・エイプ / リー・ペリー

このアルバムを夏に聴いた後、全く仕事をする気力が無くなった。フリーランスなのに来る仕事全て断っていた。カブに跨がり多摩川を少し下り羽田空港近くの海に行っては飛行機を眺めながらボンヤリしていた。何日もそんな事をしていた。リーペリーは本当に楽しそうに音楽を作る。マスタリング作業?をノリノリでグイグイと卓のつまみを動かしていく。神経質になる事もなく(映像を見ている限り)子供がオモチャを手にしたように本当に楽しそうだ。ライブで観た時も、おじいちゃんなのに一番元気で楽しそうだった。やはり音楽はこうじゃなくちゃ!

19. アンダーグラウンド・システム / フェラ・クティ

アフロビートという言葉を初めて聞いたのは多分、江戸アケミ率いる「じゃがたら」を聴いた時だったと思う。その時はアフロビートを意識せず普通に日本のロックバンドとして聴いていた。それから何十年も後に、大阪のブラックミュージック師匠であるIZUI氏から、「これ聴いて」とテープが送られてきた。フェラ・クティの曲をIZUI氏がセレクトしてくれたそのカセットテープを聴いた時の衝撃は凄かった。なんだかわからなかった。何度も聴くうちに徐々に身体に染込んできたのか、アフロビートこそが自分の好きな音楽の最終形なのではと思うようになった。それから数多く曲を聴いたが、遺作となったこの曲の一歩間違えば音楽として成立しなさそうな危うさをクールにまとめるフェラ・クティはやはり偉大だ。

20. ブラック・ヴォイス・リマスター / トニー・アレン

フェラ・クティのバンドのドラマー。フェラ・クティを聴いて最終形と思ったが、トニー・アレンはいろいろなミュージシャンとコラボレーションして、アフロビートを進化させ続けている。フェラ・クティとやっていた頃と違って現在のクリアな音質がトニー・アレンのドラムには良く合うと思う。



影響を受けた20枚:ファンクラ大臣さん編

インタビュー当日にお持ちくださった、大臣さんセレクション

インタビュー当日にお持ちくださった、大臣さんセレクション

1. Controversy / Prince

殿下の中で、一番最初に出会ったアルバムが、偶然これで、本当に良かった。だからFUNKが好きになれた。幸運としか言いようがない。Let’s Work!!

2. Every Shade Of Love / Jesse Johnson

実は殿下を見る前に、MTVでデビューシングル “Be Your Man” の PV を観て衝撃を受けた。圧力団体はここを目指すべきだと思った。さらにいうと、このひとがプリンスだと思い込んでいた。そのジェシの最高傑作。

3. よい / 爆風スランプ

僕らがかごやはうすで観ていた頃の爆風からは、随分浄化されてしまったけど、B面「生録サイド」は、本来の爆風が半分くらい残されてて嬉しかった。このアルバムの1/4が、本来の爆風スランプということになりますね(笑)。
(注:インタビュー Pt. 1 のエピソード参照)

4. Graham Central Station / My Radio Sure Sounds Good To Me

Pow! 神様です。LGがいなければ、今のファンクラ大臣はなかった。

5. Stone Jam / Slave

Mark Adamsも、神様です。本当に神様になってしまって、悲しくて仕方ない。

6. Injoy / Bar-Kays

うちに数千枚あるFUNKのアルバムの中で、1枚選べ、といわれたら、実はこれ。しかも、代表曲の”Move Your Boogie Body”よりも、1曲目”More And More” これが、大臣FUNKの、基準点であり、全てです。

7. Kilowatt / Kay-Gee’s

タイトル曲を何万回聴いたことか。mp3になった今でも、再生回数は伸び放題。

8. Kwick / Kwick

Bar-Kaysの弟分のヴォーカルグループ。パクリの多さで有名なBar-Kaysの256倍パクってるのに、例によってオリジナルを超えているという。美しさと哀愁が最高です。3枚とも良いが、明らかにこの1stがベスト。2曲目のバラード“Why Don’t We Love Each Other”は、週に1回聴かないと生きられない。

9. Mr. Everything / Reggie Griffin

Mr. Everything
殿下と同列に扱われるべき、文字通りマルチタレントの“Mr. Everything”。僕にとってのスーパースターであり、目標でもあります。

10. Hot Fingers / Griffin

Hot Fingers
以下同文。ただし、この2ndは、あまりに過小評価されてて、未だにCD化すらされませんが、打ち込み80’s FUNKの最高峰だと断言します。シングルカットの“MOVE”は、ファンクラ大臣トリオ!デビューライヴの1曲目で、念願のカヴァーをやらせてもらった記念碑です。20年前はエサ箱の常連でしたが、今かなりレア盤になってるのでは?

11. Off The Wall / Michael Jackson

お金をかけても、いい物は作れる。一点の隙もない、ジャクソンファミリーのマスターピース。RIP。

12. Let Me In / General Caine

お金をかけなくても、いい物は作れる。そこかしこに隙だらけの、粘っこくてイヤラシイFUNK。ベースヴォーカルの心の師匠。RIP。

13. Funky Entertainment / Brainstorm

セールスが極めて悪くても、ヤケクソになれば人間どこまででもいい物は作れる。身体を張って、汗を飛び散らせて、それを教えてくれたLP。爆発的、破壊的。

14. Funk City / AFRIKA

Afrika
日本のFUNKは大阪にある、という、厳然たる事実を思い知らされ愕然とした。アルバムの仕上がりは、時代の流れで小綺麗すぎるけど、かごやはうすでの2回のライブは本当にすごかった。出会えて本当に良かった。RIP。そして、ベースの丸本修さんが、今、日本のFUNK界を引っ張っているという、たのもしすぎる事実。そしてその丸さんに、DCSのライヴを観に来て頂けたのは、一生の光栄。

15. Cameo / Knights Of The Sound Table

ブログの通りです。たとえあの時、18,500円でも、やはりイントロだけで買ってたと思います。
(注:インタビュー Pt. 3 のエピソード参照)

16. Hearsay / Alexander O’neal

自分が一番辛かった時代に、Rick James “Wonderful”とともに、心を支えてくれたアルバム。今でも全く色褪せないし、たぶん僕が死んだあとも色褪せてないはず。

17. What Me Worry? / 高橋幸宏

FUNKが、ファンクラ大臣の「動脈血」だとしたら、「静脈血」が、この系譜。中学時代は1日4回は聴いてました。今でも月に1回は聴きます。

18. FREESTYLE / EPO

ファンクラ大臣の「大静脈」。EPOさんご本人は、ご自身のこの時代に否定的なようですが、ロンドン制作のこのアルバムは、”The Nightfly”に並ぶ、スタジオワークの最高峰。10枚以上買って、大切なひとにいっぱい配った。それ程素晴らしいのに知られていないアルバム。大名作バラード「夏の約束」は、ファンクラ大臣トリオ!で定番カヴァーさせていただいております。

19. うわさの人類 / ヒカシュー

ブログの通りですが、ヒカシューがテクノポップの呪縛から解放され、本物のヒカシューになった革命的なLPだと思います。そして、巻上さんがベースヴォーカルを担当した、最後のアルバム。僕にとってヒカシューのダントツ最高傑作。小学校時代に何千回聴いたことか。
(注:インタビュー Pt. 1 のエピソード参照)

20. 南洋でヨイショ / チャクラ

ヒカシュー、プラスチックスと一緒に出演した、山城新伍の深夜TV番組「金曜娯楽館」で、小5の頃初めて観たチャクラ「福の種」。衝撃過ぎて、一目で大好きになりましたが、豊橋豊川ではレコード売ってなかった。このアルバムのツアーで、まさかのかごやはうすライヴが観られて本当に幸せでした。「本当のこと言えば」「まだ」を聴いて、思春期の大臣が、何百回泣いたことか。そして、2012/11/15、さらにまさかの1回限り再結成ライヴに立ち会えるとは!ステージ最後の「まだ」で、40年分の涙が一気に噴き出しました。ライヴで泣いたのは人生でこれっきりです。かえりに妻にとてもなぐさめてもらいました。チャクラは大臣の「リンパ液」でしょうね(笑)。

おまけ

以下、筆者の娘と筆者のセレクションです。興味のある方、おヒマな方はどうぞ(笑)

だいすきな20きょく:筆者の娘編

1. BABA1960 / サイモンガー・モバイル

メロディがかっこよくて、ファンキーで、かしがとてもおもしろくて、曲を作ったきっかけが、すごく、体にたいしてたいへんなことなのに、かしも、メロディも、とてもすてき!

2. That’s a Plenty / Bobby Hackett

元気がよくて、トランペットとか、トロンボーンとか、きんかんがっきの音がきれい。きいたらウキウキするようなメロディ。レコードジャケットのひこうきおじさんもかっこいい!
(注:当ブログ過去記事「That’s A Plenty! (Part 2)」参照)

3. When The Saints Go Marchin’ In / James Brown

「聖者の行進」がファンキーになってかっこいい。そして、どんどんキーがかわっていくのがステキ!

4. 組曲「道化師」作品26.1 プロローグ

こんどのバレエのはっぴょうかいでおどる曲。とってもげんきで、バレエではこびと役のおともだちがおどるシーンなんだけど、鳥とか、鹿とか、しぜんの動物もいそうなかんじの明るい曲だから、だいすき。

5. プンプン野郎 / 谷啓(クレイジーキャッツ)

「プンプン」の音がおもしろすぎて泣き笑いするくらい大好き。「ちんくしゃめんの ヘチャムクレ」のかしのいみがわからないけど、ことばがおもしろい。

6. Let’s Make The Water Turn Black / The Mothers of Invention

パパに、えいごのかしのいみをおしえてもらったけど、そんなへんなことをうたってたなんてしらなかった。スキップしたくなるくらいたのしくてウキウキするステキなきょく。
(注:当ブログ過去記事「We’re Only In It For The Money / The Mothers」参照)

7. How Could I Be Such A Fool / Alexei Aigui and Dietmar Bonnen

Black Water
ザッパさんのきょくを、ピアノとバイオリンでむちゃくちゃにひいてるのがおもしろい。こわれたバイオリンみたいなおとと、きれいなバイオリンのおとが、つぎつぎなるのがたのしい。

8. Shuffle Boil / John Zorn

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モンクさんのシャッフル・ボイルもクールでかっこいいけど、こっちはぐちゃぐちゃで変なおとがたくさんなって、たのしくてすてき。
(注:当ブログ過去記事「 Diversity of “Plays Monk”, Pt. 6: Hal Willner – That’s The Way I Feel Now」参照)

9. Soul Captives / Bob Marley & The Wailers

Eテレの「0655」のさいしょにかかる曲。テレビではにほんご(注:真心ブラザーズによる日本語版)の「あさがきた」というきょくだけど、パパがほんもののほうをきかせてくれて、もっとすきになった。きょうもいちにちがんばるぞー、ってげんきになれる。

10. T.S.O.P. / MFSB & The Three Degrees

ソウル・トレインの DVD だいすき!この曲をきくと、きかんしゃが町やうちゅうを走ってるところをおもいだす。

11. Little Rootie Tootie / Thelonious Monk Trio

ピアノでむちゃくちゃな音が「バンバンバン」となるのがかっこいい。きかんしゃの音みたい。

12. Seventh And Union / Hank Garland

ギターのおとがすてき。メロディもげんきがでるウキウキえんそう。
(注:当ブログ過去記事「Seventh And Union / Hank Garland」参照)

13. アイスクリーム / 高田渡

とてもみじかい、かわいいきょくなんだけど、「あんまりなが〜くほっておくと、おぎょうぎがわるくなる」がおもしろい。ギターのおとがとってもきれい。

14. The Tears of a Clown / Smokey Robinson & The Miracles

曲はとてもげんきでかっこいいのに、イントロのおとがすごくかわいいから、だいすき。

15. Heroes & Villains / The Beach Boys

いろんなおもしろいおとがつぎつぎなるので、かわいいしかっこいい。パパがもってるおおきなはこのCDに、この曲をいろんなうたいかたをしたものがたくさんはいっていて、どれをきいてもたのしい。

16. Dusty Dots (ゲーム Two Dots のメインタイトル)

パパもわたしもだいすきなアイフォンのゲームでかかる曲。「8ビットバージョン」っていうなまえの、むかしのゲームみたいなおとでなるやつがいちばんだいすき。

17. Pascal Pinon

ふたりのかわいいおねえさんが、リコーダーとかギターとか、きれいなチャイムみたいなキラキラした音を出しながら、かわいくうたうのが、とてもだいすき。

18. 渡り鳥 / HIS

「カモかもしれない〜、ガンカモ科もカモか〜」だじゃれがたくさんで、曲もたのしくて大好き。パパはいっつも さいごの曲 をききながら「このきょく、かんどうする、なみだでそう」といってる。

19. トルコ行進曲 (モーツァルト)

がっこうでならったトルコ行進曲はベートーヴェンだったけど、そっちのげんきな行進曲とちがって、モーツァルトのはなめらかで、すてきなメロディで、すぐすきになった。

20. 東京節 / あがた森魚

はじめてきいたときに「東京のジュースはま〜るのうち〜」かとおもって、まるのうち、っていうジュースしかうってなかったのかとおもった。パパにきいたら、もともとはとてもふるいじだいの歌で、ジュースじゃなくて「ちゅうすう」っておしえてもらった。とにかくかわいくてだいすき。

影響を受けた20枚:筆者(インタビューア)編

1. Yesterday and Today / The Beatles

なんだかんだ言って、最初にディープなリスナーへといざなってくれたのは、中2の2学期中間試験の前日深夜のFMラジオでかかった「Nowhere Man」と「Girl」でした。全音源を揃えたのち、今度はテイク違い、ミックス違いにもハマり、最後はブートも大量に買いました。ブートのライナーを読みたい、と日々翻訳に勤しみ昼休みに職員室に乗り込んだおかげで、英語が大好きになったのも懐かしい思い出です。

2. Present Tense / Sagittarius

高校生の時に深夜のFMラジオで聴いた「ガレージ・サイケ特集」で、Music Machine の「Talk Talk」と並び衝撃を受けた、Sagittarius の「My World Fell Down」シングルバージョンは本当に感涙ものでした。中間のブレークでSEが入りグチャグチャ感が増すあたりにグッときました。アルバムバージョンでは小綺麗なポップチューンになっているのは残念でしたが、アルバムとしてのトータリティ、胸キュンコード進行はさすがカート・ベッチャーというところでしょうか。
(注:当ブログ過去記事「Present Tense / Sagittarius」参照)

3. Sunflower / The Beach Boys

ビートルズと同じく、ブートを追い続けたバンドです。特に SMiLE 音源。けれども、「Pet Sounds」~「SMiLE」の時期の神々しいまでの天才的音楽性が発揮された音源以上に、夢破れて反隠居状態にふっと本領を発揮した「Friends」、そしてブライアンの穴を埋めるべく全メンバーが持てる才能をフルに発揮し、そこにブライアンの必殺転調&複雑なハーモニーのヴォーカルが絡む楽曲が多数の「Sunflower」は、格別の神々しさがあります。これと「Surf’s Up」は西新宿で購入しました。

4. Nowhere / Ride

大学1年の時にリアルタイムで買ったLP。今ではもちろん My Bloody Valentine の「Loveless」や Slowdive の「Just For A Day」の方がすごい気がしますが、当時の私にはこのアルバムはあまりにも衝撃でした。特に B-1「Dreams Burn Down」は、これぞシューゲイザーの醍醐味!と感激したものです。当時の来日ライブも大阪でみました。Stone Roses のライブも衝撃でしたが、それより圧倒的に満足したことを覚えています。

5. Thelonious Monk and Sonny Rollins

同じく大学1年の時に、初めてジャズという音楽に触れました。自分がピアノをやっていたから、という理由だけで、初めて買ったLPが Bill Evans の Alone と Monk の Standards という、ともにピアノソロアルバムだったのはなんとも。自分のタイム感で、かつ一音一音考えながらアドリブを丁寧に弾き、かつ不協和音てんこもり、という異端の芸術が腑に落ちたときの衝撃は今でも忘れられません。結局、Blue Note 期のパンキッシュな問題作 Skippy と並び、最も相性の良かったドラマー Art Blakey とやったトリオ曲 Work の恐ろしいほどの完成度がしびれる、このアルバムを。ラストの「Friday The Thirteenth」のハチャメチャ振り、不協和音っぷりも悶絶です。

6. It’s A Mother / James Brown

父親が持っていた、世界の音楽全集、だか何だかという名前のえんじ色のLPボックス。その中に Sex Machine と It’s A Man’s Man’s Man’s World が収録された盤がありました。中学生当時から格好いいと愛聴していましたが、ミスター・ブラウンのすごさを知るきっかけになったのは、大学生当時の音楽仲間だった友人から勧められたコンピ「In The Jungle Groove」でした。最初は意味がわからず10回、20回、30回と聴くうちに突如ポリリズミックなグルーヴの革新性に気付き、その後 JB に異常なほどにはまり尊師と仰ぎ今に至ります。アルバム単位だと愛聴曲 Mother Popcorn が収録されていて、ジャケがクールなこのアルバムになります。

7. Gentleman / Fela Kuti & Africa 70’s

JB から Fela に行くのは必然でしょうが、このアルバムの3曲の格別さたるや。初期のハイライフっぽい時期とも違い、後期のもっと政治的に尖った時期とも違い。最もバンドが音楽的に充実していたであろう時期を代表する愛聴盤です。シリアスなアフロビートあり、おもしろおかしい歌詞もあり。しかしどれもこれも JBファンクとは全く別次元のグルーヴがのたうちまわり。のちに新旧さまざまなアフリカ音楽を掘るきっかけになった1枚です。

8. Crawfish Fiesta / Professor Longhair

意外なことに Dr. John 文脈からたどりついたこのアルバム。この軽いリズムでコロコロ転がるピアノのどこがファンクなんだ?と当初は意味がわかりませんでしたが、聴き込むほどにその先進性、偉大さに気付かされました。いわばファンク界の John Coltrane(= Sheets of Sound)でしょうか。音符を極限まで敷き詰めてもなおグルーヴを感じさせる、そのキーがリズムセクションにあって、そして饒舌なピアノのフレーズがファンキーに聞こえてくる。そんなことを教えられた一枚でした。

9. Night Beat / Sam Cooke

大愛聴盤である Otis Redding の Otis Blue でサザンソウルの素晴らしさに気付かされたあと、Sam Cooke の良さに気付くまでには時間がかかりました。このポップな感じのアレンジメントの裏に潜む末恐ろしいほどディープなブルースフィーリング、ソウルフルなタッチ。このLPで、ドラマーが Beach Boys の Pet Sounds の人(= Hal Blaine)と一緒だ、というのが聴いて分かって嬉しかったのも懐かしい思い出です。若い頃の Billy Preston のキーボードがまたいい仕事してます。1995年ABKCO盤と、のちに手に入れたオリジナル盤で冒頭の曲順が微妙に異なり、どちらが流れ的にトータリティがあるか?と自問自答したのも懐かしい思い出です。
(注:当ブログ過去記事「R.I.P., Mr. Billy Preston」参照)

10. Metal Machine Music / Lou Reed

Velvet Underground との出会いはもう少し前でしたが、1990年だか1991年だかにアルバム「New York」(大愛聴盤)リリース直後の来日ライブを観てからハマった Lou Reed。次作の John Cale との「Songs For Drella」も素晴らしい LP でしたが、このメタルマシンミュージックの美しいことといったら。ひたすらギターのフィードバックやSEのみの一聴単調な作品なのですが、全く聞き飽きず、アナザーワールドにトリップさせてくれる大名盤です。ちなみに娘も大好きです(笑)

11. The Yellow Shark / Frank Zappa

尊師 Zappa の全作品を飽きるほど聴き込んできたあと、自分が一番好きなのはロックミュージシャンとしての Zappa ではなく、現代音楽家としての Zappa なんだ、と結局気付かされた、Zappa の生前最後の作品。ロック系では「We’re Only In It For The Money」や「Burnt Weeny Sandwich」「Weasels Ripped My Flesh」が大愛聴盤ですが、1枚に絞ると結局この作品になってしまいます。映像も素晴らしい。

12. From A Whisper To A Scream / Allen Toussaint

Meters、特に Josie 時代はシビれまくりでほぼ毎日3枚のアルバムを聴き続けた時期もありましたが、それと負けないくらいに愛聴したのが、このアルバムのB面です。同じピアノでもこんなにもジャズとは違うファンキーなグルーヴが出せるんだ、と驚愕しました。特にオリジナルの Scepter 盤には収録されていなかったCDボーナストラック B-4「Number Nine」の軽やかなニューオーリンズファンク的ジャズチューンはたまりませんでした。

13. Jazz Impressions of Japan / Jim Hall

無言歌
バカテクではなく、音のニュアンス、音の「間」、ハーモニーで独自の世界を構築した不世出のギタリスト Jim Hall。1970年代の最充実期に日本で録音してくれた、しかもトリオのバック2人も完璧、さらにオーディオマニアには嬉しいダイレクトカッティング、そして Jim Hall の曲で群を抜いて大好きな楽曲 Careful も収録(ダイレクトカッティング盤の数年後に出た通常盤のみ)、という、1枚あげるとしたらこれ以外は考えられない感じです。
(注:当ブログ過去記事「Jazz Impressions of Japan (無言歌) / Jim Hall」参照)

14. American VI / Johnny Cash

この遺作となったアルバムの重みたるや。演奏技術でもない、歌唱技術でもない。そんなものを超越した説得力と個性こそが音楽なのだ、ということを体現している奇跡的なアルバム。初期のロカビリー時代から San QuentinFolsom Prison のライブ盤、どれもこれも恐ろしいほどの圧倒的存在感ですが、最後の最後に録音したこのアルバムの特別さは変わりません。
(注:当ブログ過去記事「Maestro Michael Yee’s New DAC Is On Its Way」参照)

15. RAVEL: Piano Concerto for the Left Hand / Samson François, Andre Cluytens

クラシックピアノをやっていた時から、フランソワのドビュッシー、特に子供の領分は特別でした。あとになって考えると、こんなに自由奔放な感情的な解釈も、クラシックでも「あり」なんだ、というか、その抗しがたい魅力と芸術性を教えてくれた録音です。そしてこのラヴェルの左手でも、ぶっちぎりのオリジナリティを披露しており、未だに聴くたびに感涙ものです。少しでも良い音で聴きたいので、オリジナル盤LPはいつか手に入れたいのですが、コレクターズ市場であまりにも高価なため、半ばあきらめています。

16. Jazz Ultimate / Bobby Hackett & Jack Teagarden

思えば、モダン以前のジャズへの強い興味を花開かせてくれた(そしてモダンジャズへの極端なおもいい入れを払拭してくれた)きっかけをくれたのは、このアルバムだったような気がします。ハッピーで、メランコリック。メジャーキーなのに、その裏ににじみ出るブルースフィーリング。お祭りのように楽しく弾いているように聞こえて、実はとてつもなくエモーショナル。おかげで戦前ジャズの素晴らしさに気付くことができ、SP盤を買い始めるきっかけにもなり、初期の Duke Ellington のハチャメチャな素晴らしさにまでたどり着くことができました。同様の気づきをカントリーやブルーグラスでも、ハンク・ウィリアムス、フラット&スクラッグス、そしてデビュー当時のジョージ・ウィリアムズからも教えてもらいました。

17. Songs For Young Lovers / Frank Sinatra

12インチLP(Swing Easy とのカップリング)ではなく、絶対的に8曲入りの10インチLPです。世界初のトータルアルバムといって差し支えない、その恐ろしいほどの完成度。すべての曲のキー、すべての曲のヴァース、更には曲順にすら意味があり、その流れも完璧に計算しつくされ、そしてすべての曲のヴォーカルも完璧にコントロールされている。無人島行き筆頭です。
(注:当ブログ過去記事「Songs For Young Lovers / Frank Sinatra」参照)

18. Balançamba / Lúcio Alves

サンバ時代からの名手がボッサ・ノーヴァ時代に新進気鋭の ELENCO レーベルに残したアルバム。いかにブラジルでシナトラの人気が高かったか、それを感じずにはいられないほどアレンジがネルソン・リドルっぽく、同時にルーシオ・アルヴィスでしか出し得ない上品さとボッサ・ノーヴァらしからぬジャジーなセンス。ホベルト・メネスカル&ホナルド・ボスコリによる作曲も恐ろしいほど完璧で、当時のブラジル音楽シーンの多様性を示す好例です。価格が高騰する前にブラジルからELENCOオリジナル盤LPをたんまり買っておいて良かった。
(注:当ブログ過去記事「ME-2: Balançamba / Lúcio Alves」参照)

19. Smooth Sailing / Arnett Cobb

B級コテコテソウルジャズ系といえば当然、ハモンドオルガンが欠かせません。Charles Earland、Big John Patton、Wild Bill Davis、Jack McDuff、Freddie Roach、Baby Face Willette などなど、多数の名プレーヤーがいましたが、個人的愛聴盤は、このマイナーなオルガニスト Austin Mitchell が参加した Arnett Cobb のアルバム。A-1の古いスタンダード「Charmaine」が、原曲の甘い雰囲気を尊重しながらブリブリコテコテに変貌した音にノックアウトされました。

20. Pure Trash / Dosh

2005年に中身もミュージシャンも全く知らずにジャケ買いで即LPを買った盤。いわゆるテクノやエレクトロニカはそんなに好みではなかったのですが、「ローファイ + ハイファイ + きちんとしたメロディ構成 + パーカッション + 意外性 = 絶対的正義」という方程式を教えてくれた大名盤。以後、ドイツの MORR レーベルを中心に、エレクトロニカ系ポップにハマっていきました。
(注:当ブログ過去記事「Pure Trash / Dosh」参照)

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