2024/08/30

“Monaural” on Compact Disc Digital Audio

Introduction / 余談からスタート

我が家のオーディオ環境では、2004年に TEAC VRDS-25X の中古を導入するまでは、カーオーディオと兼用していたポータブルCDプレーヤや、タダで譲り受けた LD/CD プレーヤなどで、CD を聴いていました(笑)

In my home audio environment, until I installed a used TEAC VRDS-25X in 2004, I listened to CDs with a portable CD player (which was also used with my car audio system), or with a LD/CD player I got for free 🙂

当時はアナログ再生がメインだったからですが、かといって「アナログマンセー」だったわけではありませんし(笑)、今でもディジタル再生も同じくらい好んでいます。

This was because analog was my main source for listening at the time, but that does not mean that I was an “analog supremacist”, and I still prefer digital playback as much as analog playback.

2012年初頭、(のちに Musical Surroundings MYDAC II として製品化された)DAC のプロトタイプ基板 を開発者の Michael Yee さんにいただいたことをきっかけにして、CD を直接再生することはなくなり、CD をリッピングしたのち PC から DAC 経由で再生するようになりました。ここから我が家での本格的なディジタル再生が始まりました。

In early 2012, Mr. Michael Yee, the developer of the audio components, kindly gave me a prototype DAC board (which later commercialized as Musical Surroundings MYDAC II). After that, I stopped playing CDs directly, and my primary digital audio playback method became “playing digital files (that were ripped from CDs) from PCs via DACs”. This was the beginning of full-fledged digital playback in my home.

以前から CD を購入するたびに、XLD (X Lossless Decoder)Exact Audio Copy を使い、ALAC (Apple Lossless) 形式のディジタルファイルとして SSD や NAS に保存しており、現在はこれを Audirvāna Origin + Music app (旧名 iTunes) から DAC に流し込んで再生しています。

Even since before 2012, I have always used such software as Exact Audio Copy and XLD (X Lossless Decoder) to rip the CDs as digital files in ALAC (Apple Lossless) format on my SSD or NAS. Recentely I always play these audio files using the combination of Audirvāna Origin and Music app (was: iTunes) via the DAC.

System Configuration as of August 25, 2024

2024年8月25日時点での我が家のシステム構成図


Michell Orbe 追加後、特に変更はありません

いまだに Audirvāna Origin を「Music Integrated Mode (legacy)」モードで使っている(Audirvana はあくまでバックエンドで、iTunes/Music をフロントエンドとして使用)のは、取り込み年月日、再生回数、最終再生年月日などのデータを、iTunes/Music から他のアプリに持って行けないからです(笑)

I still use Audirvāna Origin in “Music Integrate Mode (legacy)” mode (i.e. Audirvana for backend, iTunes/Music for frontend), simply because there is no way to bring statistical data (such as imported date, play count, last played date etc.) to other apps.

Audirvana Origin “Music Integrated Mode (legacy)”

上記余談はさておき、CD 上の音源を PC 上にもってくることで、ディジタルデータとしての客観的な数値やパラメータを目にすることが容易になります。

Returning to the main subject — by bringing the sound source on the CD to the PC, it becomes much easier to see the objective values and parameters as digital data.

今回のお題、「CD におけるモノーラル音源」も、そんな中で気づいたものでした。

The subject here, “monaural sound sources on CDs” was also something I noticed in this context.

2012年7月下旬、あるモノーラル音源のCDをリッピングしている時、トラックによってファイルサイズがかなり違うことが気になったのです。残念ながら、この時の CD がどれだったのか、いまだに思い出せずにいるのですが。

It was in late July 2012, while I was ripping a certain monaural CD (which I still can’t remember it was, though), I noticed that the file size varied considerably from track to track.

PLEASE NOTE / 注

以下、本稿を通じて、「左右チャンネルがバイナリ一致したモノーラルCD」と「そうではないモノーラルCD」との間での優劣について書いているわけではなく、両者の差が生じる要因に純粋に興味があることにご留意ください。

Throughout this article, I am NOT going to discuss “is the true 2-track mono CD (with binary identical channels) better audio-wise than the CD which is not?”, but am just interested in what made this difference.

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2024/08/08

Things I learned on Phono EQ curves, Pt. 24

EQカーブの歴史、ディスク録音の歴史を(私が独りで勝手に)学ぶ本シリーズ。前回 Pt.23 では、1970年代民生用アンプに内蔵されたフォノイコの RIAA 偏差 に関する興味深い記事、および、米国で伝統的に使われていた LCR 録音イコライザの話などを紹介しました。

In the previous Part 23, I learned an interesting article on RIAA deviation of 1970’s consumer amplifiers, as well as LCR recording/reproducing equalziers that had been the legacy especially in the United States.

今回の Pt.24 では、音声信号が最終的にレコードの溝として記録されるまでに通過するシグナルチェーン、そこで使われる機器の歴史的変遷などについて、改めて復習していきます。

This time on Pt.24, I am going to revisit and learn the signal chain from the audio source to the groove cut into lacquer discs, as well as the history and evolution of these.

Recording process flow chart

source: RCA Engineer, Vol. 3, No. 2, Oct.-Nov. 1957, pp.8-9
1957年のRCA社内エンジニア向け紀要に掲載された、録音プロセスのフローチャート
“Recording process flow chart” from 1957 technocal bulletin for RCA’s engineers.

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2021/02/24

78 rpm stereo microgroove – Hooray for Rivermont Records!

78回転。マイクログルーヴ、ステレオ。

78 rpm, microgroove, and stereo recording.

そんなレコードが「新譜で」この世に存在することは奇跡的といっていいでしょう。

It’s nothing but miraculous that such records exists (and are still released).

Rivermont Records 596 Side-A Continue reading
2015/12/25

How The Funk Was Won: The Simonger & Funk Story, Pt. 5 (Extra Edition)

サイモンガー&ファンクの主要メンバー(サイモンガーさん、ファンクさん、ファンクラ大臣さん)へのロングインタビューは、前回の Pt. 4 でついにサイモンガーさんとファンクさんが出会われた時期(1993〜1994年頃?)まできました。

今回は、インタビュー本編はちょっとお休みさせていただきまして、年末特別編 として「今までに影響を受けた20枚」をお届けします。

2015年11月7日のインタビューの際、皆さんに「思い入れのある、あるいは強く影響を受けたレコード/CDを持ってきていただければ」とお願いしました。また後日メールで、インタビュー当日にお持ちいただいた盤を含め20枚を改めて選出していただき、それぞれにまつわるエピソードも含め、お三方に熱く語っていただきました。

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2015/12/02

How The Funk Was Won: The Simonger & Funk Story, Pt. 2 (Extended Version)

諸事情ありまして、予定より遅くなってしまいましたが、大変おまたせしました!インタビュー Pt. 2 です。

今回は 拡大版 (Extended Version) でお届けします。

インタビュー Pt. 0(ちびっこインタビュー編)、Pt. 1(サイモンガーさんと大臣さんの小中学生時代〜初めて出会うまで)に続き、本インタビューの中で最初の山場となるであろう、豊橋・豊川でのバンド時代のエピソードです。

当時の雰囲気を可能なかぎり再現したく、追加質問や事実確認をメールやメッセンジャーなどで数多く行いました。そして時系列を整理、メンバーの皆さんですら久々に思い出したであろう濃厚なエピソードの数々が明らかとなり、私もたいへん興奮しながら作業したパートです。

加えて幸運なことに、当時のバンドメンバーの方にも追加インタビューを行うことができ、別の視点から当時の状況がさらに肉付けできたのではないかと思います。

ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございます!

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2011/06/10

Good Vibrations (78 rpm) / The Beach Boys

世界で最も有名な未完のアルバム、といってよいであろう、ビーチ・ボーイズ (The Beach Boys) の「SMiLE」関連の音源は、過去に何度となくリリースが噂されてきました。古くは1973年にリリースしようとしていたことが明らかになっていますし、1988年にもボックス化される話がありました。

Maybe the most famous “unreleased” album ever – “SMiLE” by The Beach Boys. There has been so many rumors and announcements in the past about releasing the SMiLE era outtakes in one package. The oldest attempt to finish the Smile album known so far was in 1973. Later in 1988 another attempt was made to release SMiLE materials.

 

で、今回も「Smile Sessions」が出る出ると話題になっていますが、さて本当に出るのでしょうか。予想通り当初の予定からは遅れつつあるようで、現時点での最新情報では2011年8月9日リリースとのことです。

Recently yet another announcement was made that the “Smile Sessions” will be released in 2011 – the release date was slated again several times, but anyway the most recent news says it will be out on August 9, 2011.

 

先月、そのリリースの予告編として、“Good Vibrations”“Heroes And Villains” をカップリングした10インチアナログがリリースされました。なんと 78回転 です。

Last month an interesting title was released, probably as a trailer of the Smile Sessions – double 10-inch vinyl release, coupling “Good Vibrations” and “Heroes And Villains”, on microgroove 78 rpm!

 
Good Vibrations c/w Heroes And Villains / The Beach Boys
(Capitol 509990 98341 18)
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2004/10/14

37 Years After the SMiLE


[T-2580 Front Cover]    [79846-2 Front Cover]
左は 1990年前後(?)にリリースされたブート CD (No Label T-2580),
右は今回の CD (Nonesuch 79846-2)

先週,とうとう Brian Wilson Presents Smile がリリースされました (本国版は 9月末リリースだったそうですが). 遅れ馳せながら本日米国版 CD を購入,涙を流しながら聴き入りました.

データの類や,「語られつくされつつある」お馴染みのストーリーはレコードコレクターズ11月号の特集記事などを見れば分かることなので,ここではあまり触れませんが,今まで断片的に公開されてきた Beach Boys の音源 – “Smiley Smile”,“20/20”,“Sunflower”,“Surf’s Up”,“Rarities”,ブート LP 数種,ビデオ “An American Band”,幾多のブート CD,“Good Vibrations” ボックス,1990年代の CD リイシューのボーナストラック,その他いろいろ – や,Domenic Priore 氏の書籍 “Look! Listen! Vibrate! Smile” などを通して,永遠に解けないパズルと格闘するかの様に悶々としてきたファンも多かった “Smile” (多分に洩れず私もそのクチです).それが,ここ最近復調著しい Brian Wilson さん御本人と現在のバックバンド,そして Van Dyke Parks さんなどによって作られたこの新録 “Brian Wilson Presents Smile” によって,一応のピリオドが打たれたというわけです.

この CD で聴ける新録 Smile は,近年のライブ活動を通じて丹念に練り上げられたアレンジをベースにしています.既に Smile ライブ音源もあれこれとブートで出回り出しているようです (未入手.正規で出るまでは買わないとは思いますが…).

見ての通り,ジャケットはかなりしょぼいです (オリジナルで使われるはずだったジャケットも充分にしょぼいですが).けれども,内容は全然しょぼくなかった.これは嬉しい誤算でした. ある意味,これでやっと「万人に文句無く勧められる」作品になってくれたとも言えます.

新録であるけれども,アレンジはオリジナル録音の断片に忠実で,また録音もあの「空気」を見事に再現したもの.足りないところは新たに作詞作曲し,構成も練りに練って,本人の手によってようやく完結した今回の CD.単なるセグメントの羅列ではなく,きちんとトータリティを打ち出した三部の組曲風に仕上っているのは,(それが本来の “Smile” になるはずだったものと同じかどうかはさておき),本人作ならでは.ヴォーカルは残念ながら (当然) あの天使のようなハイトーンが全く出ない現在の Brian さんではありますが,内容の余りの充実ぶりには文句無しに感服しました.1967年に出るはずだった “Smile” そのものではあるはずがありませんが,それに最も近い (あるいはその発展形) ものであることは確かです.

1995年にリリースされるはずだった (けれども Brian さん本人の許可が降りずに日の目をみなかった) “Smile Sessions” ボックスに相当するものは,Brian さんが元気に活動している限り出ることはないでしょう.けれどもあくまで未発表アルバム (になるはずだったものの断片群).ご本人が,37年後にこうやって新録ではあれ一応のおとしまえをつけ,しかもそれが (危惧していた様に「昔の名前で出ています」的なズッコケ新録音になることなく) 実に素晴しい作品になっていることに,何はさておき感謝感激するしかありません.私が 1999年にライブを聴きに行った時には,まだかなり音程も怪しく,懐メロ大会的なライブでしたが,ここ数年でぐんとパワーアップした結果がこのアルバムの充実ぶりに表われています.

今後の活躍に期待せずにはおれません.いや,こんな切札をとうとう切ってしまったのですから,この次のアルバムが本当の正念場になることでしょう.

“Pet Sounds” 同様,「時代の音」から超越しているであろうこのアルバム.今,私が興味があるのは,Brian のことも Smile にまつわるあれこれのことも何も知らないリスナーが,この 2004年に予備知識なしに初めてこのアルバムを「新譜」として聴いてみて,どういう感想をもたれるのだろうか,ということです.

… 「幻」であったが為か,ここ10年程余りにも祭りあげられている感なきにしもあらず,の Smile ではありますが,ここは何も言わず,素直にこの CD を聴き敬礼することにしましょう …