2024/10/11

How Records Were/Are Manufactured (1)

今回は、SNS 上でみかけたあるレコードの特徴をきっかけにして、戦後のレコード製造工程や原材料の歴史を改めて調べてみた、そんな記録の前編です。

Preface / はじめに

レコードは何から作られているか。レコードのプレスはどのように行われているか。なんとなくでもご存じの方は多いでしょう。

レコードの主たる原材料として使われてきたものには、シェラック、ベークライト、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、PET などがあります。当然、圧倒的に主流なのはポリ塩化ビニルです。

また、レコードの製造(プレス)方法としては、圧縮成形が主流で、射出成形のものもあります。

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2023/12/10

Things I learned on Phono EQ curves, Pt. 20

EQカーブの歴史、ディスク録音の歴史を学ぶ本シリーズ。前回 Pt.19 では、1950年代中盤〜1970年代の代表的なカッティングアンプと内蔵録音フォノイコの取説や回路図を調査し、どのように RIAA 録音カーブが実現されていたかを学びました。

On the previous part 19, I learned how the RIAA recording curve was accomplished with various recording amplifiers and built-in recording EQs from the mid-1950s to 1970s.

今回の Pt.20 では、1954年前半に RIAA 録音再生特性の標準規格化が策定されたあと、米国の各レーベルがどのように RIAA に移行していったか、その痕跡を探すと同時に、過去〜現在における EQ カーブ調査の系譜についてもみていきます。

In this Pt. 20, we’re going to look for traces of how the U.S. labels migrated to RIAA, after the standardization of RIAA Recording and Reproducing Standards in early 1954, as well as to examine the genealogy of the studies and researches on EQ curves, from past to the present.

CSL (Columbia Standard Level)

SIDE II, ZRD 431-1A (from my own collection)
COLUMBIA STANDARD CHARACTERISTIC as per R.I.A.A. — N.A.R.T.B. industry norm.
A playback system equalized to this standard should reproduce this record ± 1 db from 10 KC to 30 cycles, and from 15 KC to 10 KC ± 1 db at 6 db below that from 10 KC to 30 cycles.

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2023/06/21

Michell Orbe SE, here it comes!

我が家にあるのは、1994年製の GyroDec です。2003年に中古で購入した際 は、SME Series II Improved トーンアームがついていましたっけ。すぐに SME 3009-R に交換してしまいましたが。

My turntable is 1994 GyroDec, which I obtained second-hand in 2003. I remember it was equipped with the SME Series II imp tonearm, that was instantly swapped with the SME 3009-R tonearm.

もう20年のおつきあいになりますが、いちども手放したいと思ったことはありません。

It’s been twenty years already with this turntable, and I have never thought it time to let that go.

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2023/06/10

Things I learned on Phono EQ curves, Pt.14

EQカーブの歴史、ディスク録音の歴史を学ぶ本シリーズ。前回 Pt.13 では、RCA Victor が1949年に発表した7インチ45回転盤(そして敗北した Columbia 7インチ33 1/3回転盤)にまつわるエピソードと、45回転盤、オートチェンジャー、録音再生EQカーブなど、技術的側面などをみてきました。

On the previous part 13, I studied more on the history of RCA Victor’s 7-inch 45 rpm records (and Columbia’s 7-inch 33 1/3 rpm records that RCA Victor defeated), as well as its technical aspects of the 45 rpm records, dedicated record changer attachments, and recording/reproducing characteristics, etc..

今回の Pt.14 はその続きです。今回は、LP や 45回転盤登場直後における各レーベルの「回転数競争」中の対応状況について、時系列でみていきます。ここは、11年前の記事「What The EP (Extended Playing) Originally Stands For」と一部重複する内容もあります。

This time as Pt.14, I am going to continue learning the history of disc recording — a chronology how record labels (except Columbia and RCA Victor) reacted to the new formats and technology (and to the “Battle of the Speeds”). So this shares several contents as previously shown in “What The EP (Extended Playing) Originally Stands For”, the article I published evelen years ago.

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2023/06/03

Mercury Popular Autographed Photograph Series

先日、カナダとアメリカの国境近くに住む Bernie さんから、こんなメールを受け取りました。

The other day I got an e-mail from Mr. Bernie Crawley (who lives near the border of Canada and the U.S.), which reads:

Hello. Enjoyed your website, great job.

こんにちは。あなたのサイト 楽しませてもらいました。

I just picked up a sleeve, (no disc I’m afraid) to a Buddy Rich 10 inch I think.

ところで、Buddy Rich の10インチ盤用に作られたと思われるスリーヴを入手しました(残念だけど盤はなくてスリーヴ単体でした)。

It is part of the “Mercury Records Popular Autographed Photograph Series“, the back of the sleeve has a bio, similar to what you might find on a long player. There is no mention of a catalogue number & I’m not sure if it was a 78 or a 10” LP.

それは「Mercury Records Popular Autographed Photograph Series」の1枚らしく、スリーヴ裏にはバイオグラフィーが書かれていて、ちょうどLPの裏ジャケみたいになっています。スリーヴにはカタログ番号は書かれておらず、これが78回転盤用のスリーヴなのか、10インチLP用のスリーヴなのかもわかりません。

Have you seen one of these before? Any ideas?

このようなスリーヴを過去に目にしたことはありますか? なにかご存知のことはありますか?

Email I got from Bernie Crawley on May 11, 2023

私もそのようなスリーヴの存在を知りませんでしたし、ネット上であれこれ検索してもまったく情報がありませんでした。ともあれ、その後もメールのやりとりを続けて情報交換をしました。

No, I have never seen such sleeves before. Furthermore, no matter how much I searched on the web, I couldn’t find any information on the “Mercury Popular Autographed Photograph Series”. Anyway I tried to keep in touch with him, and had shared several information.

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2021/10/30

HumminGuru Review 3: 10インチ盤クリーニング、そして気になる点

Note for non-Japanese readers:
FYI here’s the automatically trasnlated English version of this HumminGuru Review article by Google Translate.

1回目のレビュー(ハミングルが届くまで、そして最初に使った時の印象)、2回目のレビュー(レコードクリーニング前後の音を比較)に続き、最後となる今回は、KickStarter で入手した人に無料でついてきた10インチ/7インチレコード用アダプタのテストを行なってみます。

同時に、この超音波レコードクリーナーについて、いくつか気になる点、使用時の注意点、なども書いておきます。

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2021/10/13

HumminGuru Review 1: 超音波レコードクリーナ ハミングル 到着!

Note for non-Japanese readers:
FYI here’s the automatically trasnlated English version of this HumminGuru Review article by Google Translate.

UPDATE (Oct. 18, 2021):
I created two demonstration videos on YouTube (and the web article) demonstrating how a particular record sounds BEFORE and AFTER the HumminGuru cleaning.
クリーニング前と後での音の変化を動画にしてもらえないかと頼まれたので 動画を YouTube に置いて記事を書いておきました

2021年10月13日18時59分、レコード用超音波洗浄機 HumminGuru ついに届きました!

昨年12月に pledge してから 10ヶ月。長かった〜。

以下、開封の儀と、試しに1枚LPをクリーニングしてみた、という、簡単なレビューです。

詳しくは明日以降に。ともあれ楽しみだ〜!

配送はスムーズに完了

2021年9月29日、「You Are Selected!」というメールが届き、マスプロダクション前のテスト製造分を送ってくれることになりました。

HumminGuru - You Are Selected!

そして、10月6日、FedEx に追跡番号が登録され、いまかいまかと到着を心待ちにしていました。

FedExDeliveryProof

広東省珠海市の製造工場から直接届いたようです

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2021/09/12

Technics SU-R1000 試聴記 #12: 内蔵ディジタルフォノイコ (補正後)

試聴12日目 (2021年6月30日) は、SU-R1000 の最大の目玉機能といえる機能のテストです。

内蔵ディジタルフォノイコを、測定レコードによる補正を行って聴いてみます。

パナソニック勤務の友人の計らいにより、2021年6月19日〜7月2日の2週間に渡って、話題のフルディジタルインテグレーテッドアンプ Technics SU-R1000 をお借りしての自宅環境で試聴です。

前回 まで同様、当時 Facebook に毎日載せていた試聴記の(加筆修正後の)転載となります。

The Inner Treaty / San Araw Continue reading
2021/01/19

Scarce Mix of “What A Diff’rence A Day Makes”

ダイナ・ワシントン (Dinah Washington)、大好きです。初期ブルース/R&B時代も、中期ジャズ時代も、後期ポピュラーシンガー時代も。いかなる曲でも、いかなるジャンルでも、あの声が聴こえてきたとたんに全てが彼女の音楽になってしまいます。特定のジャンルにとどまらなかったことで、ブルース畑からもジャズ畑からもハードコアな(?)音楽マニアからは注目されにくいいのが、本当にもったいないです。

最初期のキーノート (Keynote) レーベル (1943年) やアポロ (Apollo) レーベル (1945年)、晩年のルーレット (Roulette) レーベル (1962年〜1963年) を除いて、そのキャリアの大半 (1946年〜1961年) の音源はマーキュリー (Mercury) とその傍系レーベルに残されており、人気盤は現在に至るまで幾度となくリイシューされてきました。集大成となるボックスセットもありますので、ほぼ全音源が現在でも入手可能です。ストリーミングでも聴くことができます。

音楽マニアではなく、多くの一般リスナーにとっての代表的な曲といえば、なんといっても名曲「What A Diff’rence A Day Makes」(邦題:「縁は異なもの」)でしょう。1959年2月19日、ニューヨーク録音。夏には Billboard の R&B チャートで1位、ポピュラーチャートで8位を記録した大ヒット曲で、1959年グラミー賞で最優秀R&Bレコードも受賞しました。

Mercury 71435x45

1959年リリースのシングル(もちろんモノーラル盤です)

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2020/09/25

(Too Long) List of “Music To (…) By” Records

During the many years of my hunting records (and loving exploring listening to music), I sometimes encounter the ones with the title “Music To (blah blah) By“. I find it interesting – the phrases ending with “By”, not with “To” nor “For”.

レコード蒐集や音楽探求をこれだけ長く続けていると、時に「Music To (なんちゃらかんちゃら) By」というタイトルのレコードや曲にたびたび遭遇します。このタイトル自体がとても興味深いといいますか、最後が「To」でも「For」でもなく、「By」というのがいい味出してる気がします。

It also makes me wonder – why are there so many records containing the music intended (or effective) for listening while doing something?

そして、「〜をしている時にかかっている音楽」「〜してる時に聴くと良い音楽」「これさえあれば〜できる音楽」と銘打たれたアルバム(や曲)が、なぜあれやこれやと(しかも最後が「By」のパターンで)これだけ世に出ているんだろう、と。

So here’s the list of such titles I could find (so far) 🙂

で、そういうタイトルのものを探して一覧にしてみました(笑)

PLEASE NOTE: THIS ARTICLE IS VERY LENGTHY! I never thought there was so many…

注意:むっちゃ長いですよ。 こんなにたくさんあるとは思いませんでした…

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